非正規女子のメンタルヘルスについて
こんにちは、ふつうのくらし代表のあずみです。
活動を続けていると、いろいろな方に色々な言葉を「アドバイス」としていただきます。ありがたいお言葉ももちろんあるのですが、今日は、その中で一番言われて悔しかった言葉について紹介したいと思います。
それは、あるキャリア専門家の女性に言われた「非正規職を繰り返すシングル女性で、所得が少ない人は、みんなメンタルの問題を抱えている」という言葉です。
その言葉の後には、「だから、通常のキャリア支援は成り立たない」という旨の言葉が続きました。
私は、この言葉を聞いたときには怒りで震えが止まりませんでした。
私や私の大学の友人たちも、多くが非正規職を繰り返しています。私たちは本当に「メンタルの問題がある」のでしょうか。また、「メンタルに問題がある」とラベルを張られなければいけない存在なのでしょうか。
彼らは、私や、私の大切な友人たちや、これまで関わってきた、日々一生懸命に生活されている人たちです。その人たちが、なんでそんなひどいことを言われなければならないのでしょうか。後日、友人に話を聞いてもらいながら、声をあげて悔し泣きをしたのを覚えています。
とはいえ、感情に任せて怒るだけでは前に進みません。既存の論文を調査し、非正規女子のメンタルヘルスについて統計的な情報を確認してみることにしました。
低所得層では、そうではない人の1.6倍メンタルの不調を感じている人がいる
残念ながら、非正規職であることとメンタルヘルスの関係について直接的に測定した研究は、管見の限り見つけられませんでした。
ただ、貧困とメンタルヘルスについては相関関係があるという研究があり、アメリカの研究が主ですが、統計的なデータの蓄積もなされています。( 例えばこちら)
日本においても、所得とメンタルヘルスについてこのような研究がありました。
厚生労働統計協会のこちらの論文では、所得が下位1/3(年収250万円相当)の人は、そうではない人に比べ、1.62倍「気分が沈み込んで,何が起こっても気が晴れないように感じ」た、「自分は価値のない人間だと感じ」たなどのメンタル不調を示す割合が高くなっています。
メンタルの不調を恒常的に感じている人は10%台
ただし、それらを「いつも」「たいてい」感じるとした人の割合は、低所得層で13.4%でした。つまり、86%の人はメンタル不調を恒常的に感じているわけではないようです。
冒頭の方が言っていた「メンタルの問題」が「メンタルヘルスの問題」なのかは定かではありません。冒頭の言葉には大変ショックを受けましたし、もしかしたらそこに取り違えがあるのかもしれません。
また、もしかしたら「もっと多くの非正規職の人がメンタルの問題を抱えている」といった論文もあるかもしれません。
でも、少なくとも「みんなメンタルの問題を抱えている」といった言説には疑いの余地があると思います。
重要なのは、偏見だと感じたら、反証できる証拠を探すこと
重要なのは、冒頭の方のように「非正規職を繰り返して所得の少ない人は皆メンタルの問題を抱えている」とキャリアの専門家でも考える現実があることだと思います。
彼女の言説にどんなエビデンスがあったのかはわかりません。一方で、私たちができることは、偏見を惹起させるような言説が出た時、反証をしていくことなのではないでしょうか。また、それに反証をする論拠が出てくるかもしれませんが、そうすることで当事者たちの抱えている問題への理解が深まっていくようにも思います。
文章を整理しながらそう感じました。