今日ご紹介するのは、昨年発売されてベストセラーになっている、ひろゆき氏の『1%の努力』(2020年、ダイヤモンド社)。
ひろゆき氏は、日本最大級の匿名掲示板「2ちゃんねる」開設者であり、実業家である、西村博之氏だ。メディアにも頻繁に登場する有名な方なので、ご存知の方も多いだろう。
私は、ひろゆき氏の、歯に衣着せぬ辛口コメントやトークが、結構好きだ。メディアで同氏のコメントを見聞きして、共感したり、膝を打ったりすることも多い。そのひろゆき氏の話題の著書ということで、読んでみることにした。
読んでみて、この本は、日本社会で生きづらさを感じている多くの人にとって、気持ちをラクにしてくれる本だと思った。同調圧力に抗えず、他人と同じレールを歩きがちな日本人にとって、視点を変えて、人生を賢く歩んでいくためのヒントが、たくさん書かれている。特に、若い人に有益だと思うが、アラフィフの私にもたくさんの気づきがあった。
以下、印象に残ったくだりを引用させていただく。
まずは全体の感想。平易な文体で読みやすい。あっという間に読めた。著者の赤羽での生い立ちや、2チャンネルの創設の話など、読み物としても興味深い。
読みやすさを追求しており、大事なところしか太字にしない、と断言している。お忙しい方は、太字の部分だけを拾い読みするのでも、十分に得るものがある。
この本は、読者を、努力神話から解放してくれる本だと思った。周りと同じことを良いことだと盲信し、思考停止してしまう、典型的な日本人の悪いところを指摘してくれる。そして、ラクに賢く生きるための考え方を教えてくれる本である。
サボれるところで、サボる。余白を作る。やりたいことを追求する。自分が頑張らなくても結果を出せる分野を探し、逆張りする。たまたまのチャンスを待ち、それを逃さず、しっかりとつかむ。
みんなから抜きんでるために、唯一の役割を買って出る。みんなが空気を読んで意見を言わないところで、どんどん意見を言う。迷わずに、とりあえず行動してみる。
他方で、いきなり好きなことだけを仕事にするのは難しい、という現実も、冷静に指摘する。社会のニーズに合わせて、できることから始めて、まずは安定収入を確保することも勧めている。
また、ガツガツと競争し成果を追い求めるばかりが人生ではない、とも述べる。「いい人」になって、雰囲気作りの面で会社に貢献する、という生き方があってもよいし、会社にしがみついて生きていく人生があってもよい。
そのためにできる、1%の努力は、人によって違う。それが何かを考える。
これらのメッセージを通じて、ひとつの決まったレールの上を走らなければいけない、といった均一的な価値観の呪縛から、読者を解放してくれる。
これを読んで、ひろゆき氏のようなオピニオンリーダーや、このような著書が、あと20年前に出ていれば、日本の経済力や活力も、ここまで落ちることはなかったのではないかと感じた。
私のようなアラフィフ世代や、さらに上の世代の人は、昭和の日本の価値観を刷り込まれて育ってきたのではないだろうか。理想の人生とは、男性の場合は、大企業に入社してサラリーマンになり、会社が求める仕事を要求どおりにコツコツとこなし、長時間働いて、努力を評価され、会社の典型的な出世コースに乗っていく。女性の場合は、夫を立てて、家事や育児を完璧に行い、家庭を守ることに専念する。そういうものが、あるべき人生であると教えられた。少なくとも、私の実家や義実家では、そうだった。
しかし、そういう価値観に縛られたままでいれば、クリエイティブな発想やアイデアは生まれにくく、社会は発展しにくい。また、多数派と感覚の合わない個人にとっては、人生を幸せだと感じられなくなるだろう。
この本を読めば、社会や他人の目を気にすることなく、自分が好きなことや勝負できるところを探し、そこに資源を集中して、効率的に、ラクに生きればいいんだということを、自然と悟ることができる。そして、多数派と違う生き方をすることに、罪悪感を抱かなくてもいいんだと気づくことができる。
そういうマインドを持てる人が増えてくると、ひろゆき氏が2ちゃんねるを立ち上げたように、色々なアイデアやイノベーションが生まれ、社会もどんどん活性化されていくのではないか。
アラフィフの私にとって、この本は、残りの半世紀を、いかにラクに、好きなことを追求して、幸せに生きていくかを考えるための、良いきっかけをくれた。私より若く、この先の人生がずっと長い人ほど、この本から受ける恩恵は、もっともっと大きいだろう。たくさんの若い人に読んでいただけるとよいなと思う。
これからも、ひろゆき氏の著書や、メディアでの発言などをフォローしたいと思っている。
ご参考になれば幸いです!
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