花の精油あれこれ。どんなときに手に取りますか。(その1)
こんにちは、さざなみきょうこです。いつもお読みくださいまして、ありがとうございます。
最近芳香浴をしていて、「今日は柑橘系より花の香りがいいな」と思う日が数日ありました。そこで、花から採取する精油についての私の使い方・感想や考え方を3回に分けて書きます。
本題に入る前に、私のアロマテラピー(の精油の香り)に対する根本的な考えの主なものとして、以下の2つがあります。
A)「かいで『良い、ほしい』と思った香りが、今の自分に必要な精油」
B)「アロマテラピーで全てが解決するわけではない。必要な医療はちゃんと受ける」
これらはアロマテラピーを始めた2005年から、ずっと変わっていません。
人は、そのときの自分に足りない部分を補ってくれるものを本能的に求めているのだと思います。また、どこのスクールに行っても「自分やお客様が、正当な医療を受ける機会を失わせないように配慮する」と教わってきました。(「トリートメント上の注意」としてアロマテラピーアドバイザー認定講習会テキストにも掲載されています)
さて、花から採取する精油は基本的に高価です。理由は、精油を採取するために多くの原料(花)を必要としたり、人の手で摘んだりする、といった手間がかかるからです。例えばローズは、1滴の精油を採取するのに30本~50本の花が必要とのことです。
それから、花の精油は人間の「生殖器官」(あと、女性ホルモン)に作用することが多いとも教わりました。花を植物の「生殖器官」(受粉する)と考えれば、それもうなずけます。
しかし、花の精油は生殖器官だけでなく、心に働きかけることも多いのです。
今回のお題では7種類の精油について、3回に分けて書きます。種類は以下のとおりです。
1) ネロリ精油、ローズ・アブソリュート精油
2) カモミール・ローマン精油、カモミール・ジャーマン精油
3) ローズ・オットー精油、ジャスミン・アブソリュート精油、イランイラン精油
それでは、1)について書きます。
1)「ネロリ精油とローズ・アブソリュート精油は、悲しいときにそっとそばにいてくれる、背中をさすってくれる」
疲れ、悲しみや寂しさで辛いところ、何も言わず背中をさすってくれるような香りが1)の精油です。
・ネロリ精油
ミカン科の花(ダイダイ/ビターオレンジ)から採取されます。また、同じ植物の葉と枝からは、プチグレンという精油が採取されます。学名は同じですが、これら2種類の精油の香りは異なります。
17世紀イタリアのネロラ公国の王妃が愛用し手袋につけて、あっという間に社交界で流行したという歴史があります。上品と爽やかな甘さの印象があります。
香りはこのように上品で爽やかなのですが、いつも何か不安や心配ごとがある、色々な問題を抱えこんで精神的に疲れている…といったとき、ティッシュペーパーに1~2滴つけてかいでみてください。少しずつ、重く張り詰めた気持ちがほぐれてきます。
私は実際に、仕事と家事と家族の看病に追われているとき、部屋の隅で膝を抱えて泣きながらこれをやったことがあります。いつだかのCMにあった「聞いてア〇エリーナ ちょっと言いにくいんだけど 聞いて〇ロエリーナ…」
・ローズ・アブソリュート精油
◎妊娠中の方、妊娠の可能性がある方は使わないでくださいね。
バラ科の花から「揮発性有機溶剤抽出法」で採取されます。精油は黄土色、褐色のこともありますが、これは有機溶剤の色です。
ローズ・アブソリュート精油とローズ・オットー精油の違いは主に抽出方法と、含まれる化学成分です。
あくまでこれまでに私がかいだ精油の印象ですが、ローズ・アブソリュート精油のほうがローズ・オットー精油より繊細で深みがある印象があります。ブランドによっても香りが若干違いますので、採取したてほやほやの精油の香りをかいだら印象が変わるのかもしれませんが。
ローズ・アブソリュート精油は、精神的に疲れているといったほか、自分に自信がない、悲しくて寂しくてどうしたらいいかわからない…といったとき、ネロリ精油と同様に、ティッシュペーパーに1~2滴つけてかいでみてください。「大丈夫だよ」と背中をさすってもらっている気持ちになります。
私は実際に、仕事と家事と家族の看病に追われているとき…はい、ネロリ精油のところで書いたことと同じことをやりました。
花の精油を香水やトリートメントオイルに使うと、華やかで素敵な香りが出来上がります。それだけでなく、悩んでいるけれどなかなか人に言えない、考えることが多すぎて疲れる…といったとき、心への作用を期待して花の精油を使うのもお勧めです。
もちろん、花の精油が良い香りだと思うときに、必ず生殖器官や心の問題がある…というわけではありません。
もし、もう心が耐えられない、すでに追い込まれている、といった場合はあなたの緊急事態です。心療内科などを受診したり、勤務先の産業医の先生に相談したりしてくださいね。
最初に書いたとおり、アロマテラピーはあくまでお手伝い。よろしくお願いいたします。
最後に※精油を使うときに注意していただきたいこと
精油を直接肌につけたり、飲んだりしないでください。あの1滴1滴にたくさんの化学成分が凝縮されていますので、あなたの肌や内臓を痛めてしまうことがあります。
もし肌についてしまったら、すぐに水道の水をたくさん出して、精油を洗い流しましょう。そして万が一、かぶれたり赤くなってしまったりしたら、皮膚科を受診してください。その際は、精油を持って行ってくださいね。よろしくお願いいたします。
ここまでお読みくださいまして、ありがとうございました。
<参考文献>
・公益社団法人日本アロマ環境協会 アロマテラピーアドバイザー認定講習会テキスト Vol.12、公益社団法人日本アロマ環境協会(当時は社団法人)、2005年
・「『アート』と『サイエンス』の両面から深く学び理解する 香りの『精油辞典』」、太田奈月著、BABジャパン社、2014年
・「中村あづさアネルズの誰も教えてくれなかった精油のブレンド学」、中村あづさアネルズ著、BABジャパン社、2013年