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米粒に文字を書くのに適した塗料はどれなのか?

 年明けから米粒に米を書くのに執心していたのですが、その甲斐あってある程度技術的に確立できてきました。
 多分先行研究はないと思いますので参考にしていただければ。
 ただし、米文字界隈(なにそれ)では「やり方を知っている」ことと「実行可能である」であることの間にはケルマデック海溝よりも深い溝があります。したがってこのエントリーは読んだ人全員が米に文字を書けることを保証するものではないことにご注意ください。

前提

 米粒に文字を書くとは言いますが、実際に食品の米を使うともったいないので検証には実物大レプリカを使いました。
 私は光造形3Dプリンターで量産しましたが、UVレジンで型を取って作っても良いと思います。
 また、プラモデルやフィギュアの塗装に技術を転用できるようプラモデル用の塗料に限って実験を行いました。墨汁派のストイックな方とはここでお別れです。

結論

 先に結論を書いてしまうと、ベース(米自体の塗装)にはアクリジョン、その上に書く文字はファレホが良いです。

使ってみた塗料一覧

 使ってみた塗料はこちら。

使った塗料。アクリジョンだけ写真に写っていないのは塗料瓶をひっくり返してしまい汚れてしまったために写真を撮っても何なのか判別できないからです。

・GSIクレオス アクリジョン ブラック(光沢)
・シタデルカラー ベース コーヴァスブラック
・ファレホ モデルカラー ブラック
・ガイアノーツ エナメル ブラック
・タミヤカラー エナメル ブラック

道具

 道具は何を使ったかですが、今回文字を書くのに面相筆は使っていません。
 モデラ―の方は面相筆でも書けるのかもしれませんが、私がやってみたところ筆を使うと米粒まで筆先を持っていくまでに塗料が乾いてしまい、狙った位置に塗料を落とすことができませんでした。

 では何を使ったかというと、針です。
 100均の縫い針の直径が約0.5mmのため、これをシャープペンシルに入れて使いました。
 ただしそのままでは塗料が針の先端に乗らないため、先端を少し加工しました。
 ベースの塗装にアクリジョンを推奨しているのはこのためで、ファレホやシタデルカラーでは塗膜が弱く針で簡単に塗膜が剥がれてしまいます。

※ベースの塗装の必要性について
 私は米粒をレジンに封入できるよう米粒全体に白の塗装を施しています。
 塗装がないとレジンに封入したときに米粒の輪郭がぼやけてしまうためです。
 逆に言えばレジンに封入するなどの用途がないのであればベースの塗装は要らないと思います。

各塗料を使ってみた所見

GSIクレオス アクリジョン ブラック(光沢)

 まずはベースと同じアクリジョンから。
 頑張れば書けないこともないのですが、乾燥が早すぎるのともったりしたテクスチャで団子になりやすく書きにくいです。
 乾燥についてはリターダーを使うことである程度対策できますが、リターダーが多いと色が薄くなり、ここの調整はとてもシビアに感じました。

シタデルカラー ベース コーヴァスブラック

 次に筆塗りでお馴染み、シタデルカラー。
 書いてみた感じ、塗料の伸びが良くアクリジョンより断然書きやすいです。
 シタデルカラーは乾燥を遅らせるため水で希釈しますが、後述のファレホに比べると水分の調整が難しい印象がありました。

ファレホ モデルカラー ブラック

 ファレホも筆塗りでは有名な塗料ですね。
 これも塗料の伸びが良く書きやすいです。
 シタデルカラーと比べると水分の調整が緩くてもなんとかなる印象を受けます。ただウォーターパレットを用意できるならそれに越したことはないと思います。値段も安いのがGood。
 難点は塗膜が弱いことでしょうか。塗装後1日置いても爪を立てれば跡が残るくらい軟らかいです。それと国内の販売代理店がボークスのため入手性もネックです。

ガイアノーツ エナメル ブラック
タミヤカラー エナメル ブラック

 エナメル系塗料はスミ入れに使われる塗料のため細かい塗装に向くのではないかと期待していましたが、実際はおすすめできません。
 使ってみると塗料が糸を引きやすく、関係ないところに塗料が付きます。専用の薄め液を使ってみてもこの性質は変わりません。
 念のためエナメル系2種類両方試してみたのですが、どちらも糸を引くのでこれはエナメル系塗料に共通する特徴なのでしょう。

実験結果

 というわけで、米粒に文字を書くのに適した塗料は「シタデルカラー」もしくは「ファレホ」になります。
 シタデルカラーは水分の調整がやや難しいと書きましたが、正直なところ誤差の範囲内です。それでも敢えてファレホをお勧めするのは同等の書き心地ならわざわざ高価なシタデルカラーを使う必要はないからです。逆にシタデルカラーが使い慣れており手元にあるという方ならファレホをわざわざ用意する必要はないです。

 前提でも軽く触れましたが、米粒に文字を書く技術はプラモデルやフィギュアの細かい部分の塗装に転用できると思います。アイペイントとか。
 もしモデラ―の方でアイペイントが得意な方がいらっしゃれば、筆先の乾燥対策など聞いてみたいですね。
 それではみなさん、良い米文字ライフを。

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