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健康学園について

 明治三十三年の第三次小学校令で義務就学規定を明確化したが、その際、病虚弱児童には就学の義務を免除又は猶予すると規定された。そのため就学義務を免除・猶予された児童への教育をいかに保障するかという問題が生じた。
 そこで医療団体、教師、地域、教育行政などが「家庭修学」として病虚弱児童の為の学校を設立する活動を起こした。
 そのときに東京市・区は独特な制度として、学籍を地元小学校に置き、「校外教授」の形式で他県で運営を行い、現在も23区の病虚弱児童学校は千葉県、神奈川県、静岡県にある。
 但し館山さざなみ学校の前身である大森区臨海学園は館山さざなみ学校と同様に学籍をも当該校に置いていた。
 
1)健康学園の歩み                                        文部科学省-近代教育制度の発達と拡充より                           身体虚弱・病弱児の指導は、明治中期からの学校衛生の重視に伴い次第に課題視されてきたが、それが自覚的に取り上げられるのは大正中期以降であった。既に夏季休暇中の虚弱児保養施設としては明治三十八年東京の小児科医の提唱による神田精華小学校の妙義山麓(ろく)への休暇集落を嚆矢とするが、恒常的な養護・教育施設の最初は四十三年に千葉県勝山に開設された東京市養育院安房分院であり、養護学校としての最初は結核予防団体である社団法人白十字会が大正六年八月神奈川県茅ケ崎に設立した林間学校であった。これ以後大阪・千葉・静岡などにも類似の学校が設置されていった。栄養学級・養護学級などと呼ばれた虚弱病弱児のための特別学級は昭和十年には全国で209学級に達した。       
2)東京市養育院安房分院
 東京市養育院安房分院は渋沢栄一によって虚弱児童の転地療養施設として明治42年に千葉県舟形に開設された。
 養育院では小学校教育はしたが、義務教育の履修が出来なかった。
1936年(昭和11年)家庭修学規定[家庭等学校以外のでの修学]を適用し、小学校資格を得ることが出来るようになったが、その後国民学校令によって家庭修学認められなくなり、1941年(昭和16年)館山市と船形国民学校分教室とする覚書を取り交わし、小学校としての認可を受けた。
 現在も同地に東京都舟形学園として保護者のいない児童等を養護し、自立支援をしている。
3)白十字林間学校
 結核予防団体白十字会が1917年(大正6年)に神奈川県茅ヶ崎町大和田浜にフランスのウェルネー林間学校を参考に開設した、体質虚弱又は腺病質の児童を対象とする寄宿制小学校です。小学校令第36条第1項但書による「家庭修学」の認可を得たキリスト教に基づく私立小学校で、日本における最初の養護学校となった。
現在は同地において児童養護施設として継続している。
 
*その後、身体虚弱・病弱児のための学校は各地に誕生し、1923年(大正12年)から1935年(昭和10年)までに14校になった。
 また小学校内で虚弱児教育を行う養護学級は1931年(昭和6年)までに89校が開設された。
 
4)熱海外気学校
 熱海外気学校は1931年(昭和6年)静岡県熱海町で高塚医院を営む内科医高塚賢三が、同町の咲見町に設立した病・虚弱児の寄宿療養と小学校教育を行う学校として設立された。
 東京市の教育局長の藤井ほか、東京市各区の有力な校長先生達の自発的参加により東京市のモデル事業として計画された。
 
5)麹町臨海学園・・・最初の公立養護学校
 1934年(昭和9年)熱海外気学校の成果をもとに、東京麹町区が神奈川県鎌倉に開設した。
 
*養護学校はこの後、昭和11年以降急速に増加し、東京では昭和18年までに都立・区立計16校となった。
 
6)大森区臨海学園・蒲田区臨海学園
 館山さざなみ学校の前進である 大森区臨海学園は1936年(昭和11年)千葉県安房郡岩井町に、蒲田区臨海学園は1939年(昭和14年)静岡県伊東市宇佐美町に設立された。
 
*1964年(昭和39年)ごろから大気汚染による喘息問題に呼応して、健康学園が増加するようになった。

7)現在も存続する東京都内の健康学園
  下記の学校は病弱特別支援学校になっています。
  又、体験入学があります。

葛飾区立保田しおさい学校
https://school.katsushika.ed.jp/swas/index.php?id=hotashiosai_e
板橋区立天津わかしお学校
https://www.ita.ed.jp/swas/index.php?id=1310301
大田区立館山さざなみ学校
https://blog.goo.ne.jp/tateyamasazanami

教育的特徴

現在は、不登校児や、引きこもり児童も精神的な病弱児として受け入れています。

健康学園の教育的特徴は、寄宿制、少人数制により、常に大人が子供たちを見守っていることです。
その様な環境の中で子供たちは自主的に考え、行動する習慣を身に付け、自らを律するようになります。


(参考資料)
病弱教育史―桐山直人
      桐山直人氏の病弱教育史研究のホームページ
 
茅ヶ崎の小さな学校-桐山直人 草土文化
          白十字林間学校の32年間 
   
子供が変身する学校-前田武彦 雲母書房
  中野区立館山健康学園(現在、廃園)の教師  
  として過ごした4年間の記録と思い出                   
 

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