10/18新刊読書会in鱗 課題句集『醒睡』岡田一実
荻窪にある俳人の集まる店、屋根裏バル鱗kokeraさんの新刊読書会に参加した。
岡田一実句集『醒睡』が今月の課題本。だったのだが、自分はこの句集をきちんと読み込むことが出来たのか。正直なところ、全く自信がない。
好きだと思う句はたくさんあり、とても惹かれる句集だった。
読書会当日の選を掲載する。
この新刊読書会は10句選、うち1句特選を発表していくスタイルだ。
以上が並選。
読んですぐに「わかる」句を中心に選んだため、日常詠が多くなった。
自分がそういったわかる句を好んでいるからだが、この選の仕方は今後改善していきたいと思っている。
特に今回の『醒睡』では「わかる・わからない」だけではない俳句の魅力を強く感じた。
句集の纏う空気感を味わうことで心身が充たされていく、そんな感覚。
発見と、それを伝えるための表現と。
「岡田一実」という見方で切り取った世界は、さり気なさを装い、読み手の心を侵食していく。
その侵されていく気分を心地よいと思えるかどうかが、この句集を好きと思えるかどうかなのかもしれない。
特選には以下の句を選んだ。
鈍行列車でも特急でもない「新幹線」の「ぱつと闇」になる瞬間。
一瞬を捉えているのだが、その前後の主体の表情が見えてくるようだ。
新幹線の「小春」に満ちた窓から外の景色を眺める、旅の少し浮足立った表情。からの、闇の世界である。
しかもそこには薄っすらと自分の顔が映っている。その虚無感。
最後に闇の中で自身と対峙する様子を想像し、心に留まった句だった。
句集の中には正直私には難解な句もあった。
それは事実として受け止めなければならない。
しかし、難解だと感じた理由は主にこちらの知識不足によるもので、きちんと調べていけば理解が及ぶ句も多かったはずだ。
まずそこを怠ってしまったことを深く反省したい。
折角、世界を広げるチャンスを作者が下さったのに、それを無下にしてしまった気持に勝手になっている。
読書会という絶好の機会でそれが出来なかったことは猛省しなければならない。
俳句においての「わかる・わからない」の重要性を今一度考え直したい気持になった読書会だった。
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