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RUBYネプリ第4号 感想

俳句ユニットRUBY(ルビイ)によるネプリ第4号。
ルビイの3人のそれぞれの6句とその相互鑑賞、鼎談「句集の読み方」が掲載されている。

初日記だれにも見せぬ丁寧語  ギル

RUBY第4号「別の梯子」

「あけましておめでとうございます」とでも書いたのだろうか。「初日記」の高揚とそれを見つめる客観的な視線が入り交じる。日記でも丁寧語を使ってしまうことに対する自身への皮肉めいた思いも見えてくる。


地球儀が鞄に入り日短  常幸龍BCAD

RUBY第4号「叫ぶ」

「地球儀」が入るほどの大きさの鞄とは旅鞄だろうか。すっぽり鞄に収まったことに対する感動と読んでも良いし、地球儀が自ら鞄に入ったと想像しても楽しい。「日短」のリズムも相まって明るい不思議さのある句である。


水槽を与へて雪に触れさせず  いかちゃん

RUBY第4号「完全な脳」

何に「水槽を与」えたのか。「雪に触れさせ」ないのであれば魚ではなさそうか。私は飼っているニホンヤモリのことを思った。想像の余地があることで、ごく個人的な思いに帰着することができる。作者は読み手を強く信じている。

俳句のみならず相互鑑賞にも鼎談にも3人それぞれの顔が見えてくる、個々を大切にしているユニットだと感じた。違った意見でも尊重し合い、互いに高め合っていく姿勢こそ、俳壇に必要なものではないか。自分の中での小さな気付きがいくつもあったネプリだった。


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