#5 対話は続くよ、どこまでも〜わたしたちの民主主義/『選挙活動、ビラ配りからやってみた。「香川1区」密着日記』特別企画
対話型の街頭演説「青空対話集会」で、市民とのコミュニケーションを行う立憲民主党の小川淳也さん。衆院選が終わってからも続く対話集会の様子を、和田靜香さんがコツコツ記録していきます。対話の先に何が見えるのか?『選挙活動、ビラ配りからやってみた。「香川1区」密着日記』とあわせてお楽しみください。
2月22日(火曜日)晴れ
今回は立憲民主党の泉健太代表と小川淳也さんの2人が、zoom画面の向こう側に座って対話をした。集会にオンラインで参加するのは、これまで同様に100人ほどだ。
冒頭、おふたりからそれぞれ、今年度予算案の決議で、国民民主党が政府案に賛成したことの意味が話された。
まずは小川さん。
「通常では予算案に賛成するとは、大きく言えばなんですが、予算案総体はその政権の今年一年間のポリシー、運営方針の具体的な数字での表明ですから、それに賛成するとは、その政権を信任することを意味しています。国民民主党とは野党として、色々ありながらも共に歩んできたつもりでしたので、大きな衝撃をもって受け止めています」
続いて泉さん。
「国民民主党の本予算への賛成は、これまでの国会ではなかなかないことです。国民さんご自身が言ってましたが、20数年ぶりでしょうか。なぜかというと、首相指名と同じぐらいの重さを持ちます。ひとつひとつの法案への賛否とはわけが違うんです。(国民民主党が言う)『トリガー条項の凍結解除』(ガソリン価格が3カ月連続で160円を超えた場合、税金を1リットルあたり25円引き下げること)を『政府与党が真剣にやる(と約束した)』ということであれば、この予算審議の論戦の中でまず、予算の修正を行わなければいけない、法案を提出しなければいけないということ。こういうことについて、政府は現時点では何も回答していないんですね。ですから口約束、空手形かもしれなくて、とても危険を感じています。他党とはいえ、心配しています。私は財務省に聞きましたが、もし『トリガー条項の凍結解除』を実現しようとするなら、毎月1500億円ずつ予算がでていくことになりますから、その財源の確保を政府がどのように考えているかが問題になります」
……いきなり、難しい。来ましたよ、財政の話! 私の苦手な! あなたもきっと苦手な! まず、今年度の「本予算」って、一般会計とは何が違うの?ですよね。イミダスで調べました。
“本予算は、国会の審議・議決を経て成立する基本的な予算。一般会計、特別会計、政府関係機関予算の三つをいう。これに財政投融資計画を加えて国会へ提出され、原則として年度の開始前に成立するため、当初予算(original budget)とも言われる。”
漢字ばっかり。でも、おおよその感覚はつかめました。で、今回その本予算へ国民民主党が賛成したのは、昨年の衆院選で国民民主党が公約にしていた「トリガー条項の凍結解除」を、「岸田総理が明言した」としてのこと。今ガソリンがどんどん値上がりしていて、みんな苦しい。それが下がるならありがたいけど、ほんとに明言したなら、予算案の審議中に法案を提出しなければいけないし、予算の修正をしないとおかしいということらしいんですね、ええ。なら、なぜ、玉木雄一郎代表(国民民主党)は、岸田さんがそう言ったんだから~と高らかに言って、賛成したのか? 私には全くわかりません。
ちなみに今年度予算案は昨年と比べて0.9%増え、10年連続で過去最大を更新して、総額107兆5964億円。社会保障費は毎年増えているので致し方ないとしても、何でか知らないけど、防衛費まで昨年比で1.0%増えて5兆2687億円と過去最大規模に。なんでだ? 来週、小川さんに聞いてみましょうかね。
なぜ候補者の半分を女性に? 国会議員に聞いてみた。
さて。対話です。今回も11人が対話に臨んだ。
1 震災のときに被災地支援に加わったが、民主党政権が当時悪かったとは感じていない。
2 立憲民主党はアベノミクスとはどう向き合うか? アベノミクスでは物価上昇率2%を目標にしていたが、同様な目標値を掲げるのか?
3 流行り病のような熱狂にうなされる政治から、愚直で本質とはなんぞや?という政治の姿を立憲民主党が見せてほしい。生活者が主権となる政治をやってほしい。
4 夏の参院選の公認候補選びで、女性5割を目指す考えにどのようにして至ったのか?
5 介護現場で働く当事者。介護問題は国会でどれぐらい重要視されているか?
6 ストーカー被害のこと。
7 コロナ拡大が止まらないが、イベルメクチンとかどうなってるのか? /共産党と仲良くしてほしい。野党共闘どうなるの?
8 れいわ新選組との関係性に変化はあるのか?
9 現役世代に届く経済政策があるのか?
10 この「りっけん青空集会」に地方議員さんも参加してほしい。
11 財政的に持続化できるプランを示してほしい。国債を財源にサービスを発動しているが、財政をいかに正常化していくのか?
と、今回もまた鋭くもさまざまなテーマが飛び交ったわけですが、で、ですね。質問4は実は私です! 私、初質問!
泉代表が来る!というのを聞いたので、今年夏に予定されている参議院選挙に向け、立憲民主党は「候補者の半分を女性にすることを目指している」と発表していた、あれはどうして? って聞きたかった。新聞記事には「支持を集める狙い」ってあって、選挙対策みたいに書いてあったけど、ほんとのとこ、どうなん?ということだ。
そもそも、これ、すごいことなのだ!ということ、みなさん、ご存知ですか?
女性議員の割合は低く、衆議院は9.9%。世界193か国中で166位という低さ(2021年6月)。よく知られているジェンダーギャップ指数(各国の男女格差を数値化したもの)で日本は156か国中で120位というトホホなあり様だけど(2021年)、それに比例している。
そんな中で「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」ってのが決められており! 2018年に! 去年も改正されており! 2025年までに衆議院・参議院の、そもそもの候補者に占める女性の割合を35%以上にしなさい~~~って「努力目標」として掲げられている。
なんだよ、努力目標って?っていちゃもんつけたい気持ちだけど、でも、それを軽々飛び越えての50%って、すんばらしいことだと思う。ええ。野党第一党がこの目標値を掲げてバ~ンって発表したことって、実はすごいこと! かなり画期的なんだ! なのに、そうそう大きなニュースにならないことに、ああ、女性の政治参画が進まないって、こういうことだよね?って思ったりもして、ショボンとする。
ちなみに昨年の衆院選で、候補者比率で女性が35%超えていたのは共産党と社民党だけ。立憲民主党は18.3%で、自民党は9.8%だった。
次の参院選候補の女性比率は現時点で50%超!
それで、泉さんの答え。
「昨日、西村(ちなみ)幹事長とメキシコ大使館に行って大使と会って話をしてきました。メキシコは上院下院とも、完全にパリテ(男女半々の議会/候補者の在り様)です。下院は500人の定数で250人が女性。いいですね、というより、当然と言いたいですよね。
ものの見方の幅が広がり、細かなところまで配慮が行き届く、熟議ができる、そういう厚みのある政治が可能になるんじゃないかな?と思います。私たちは思いやりや支え合い、認め合いを言って来て、党の綱領にはまさに熟議という言葉も入っています。それを体現するのがジェンダー平等だと思って、そういう目的で進めています。
みなさんに報告しますが、次の参院選挙、現時点では選挙区では女性が53.3%、比例区は50%と、公認候補で女性の比率は50%を超えています。ただ、まだまだ、衆議院では(候補者の女性比率は)30%ぐらいの状況ですので、候補者を絶賛募集中です。政治家におもいきり高いハードルを想像する必要はありません。どうぞご応募ください。
コメント欄にも書いてくださってますね。『生活感とか、介護とか、育児とか、知ってることも大事だし、その役割を男性たちにもっとやれと呼びかけてもらうためにも女性の方が大事だ』って。雇用の現場における男女平等もまだまだ達成されていませんので、ジェンダー平等は本当に大切なことだと思っています」
なるほど。女性がいると会議が長くなるとか言ってた政治家もいるけれど、逆に熟議が出来るという考え方。それはいい。
でもって、さら問いしますよ、もちろん。
「候補者の選定方法の改善も、男女共同参画の推進に関する法律で定められていますが、いかがですか?」
「立憲民主党の西村幹事長を中心に面接をしていきますが、『選挙活動』についての考え方でも「朝、演説を毎日できますか?」とか、「夜、何軒ぐらい宴会をまわれますか?」とか、「お金がありますか?」ということを基準にするんじゃなく、その人にあった戦い方、女性の方なら、たとえば「ベビーシッターをつけますよ」といった、その人その人の置かれた環境の中でどういう風に議員になっていけるか、むしろ党がプロデュースしていくようになりたいと思っていますので、『介護してるから、子育てしてるから無理』とならないようにしていく面接、それを目指して党の中でやっていきたいと思ってます」
なんか、その、これまでのあたりまえ的な選挙活動の在り方、恐ろしいわと改めて思わされるわけで、この選定方法、かなり画期的でパリテ推進の見本のようじゃないか! ちょっとこれ、かなり感激する。……と言っていたら、このnoteの編集担当K山さんが「なんだかやっぱり女性はケア労働をやっていることが前提みたいになっているのがモヤッとします」と言う。ああ、なるほど! 私は50代。K山さんは20代。年代によるジェンダー感覚はかくも違う。言われて、うん、そうだなと思った。
とはいえ、現実的に女性がケア労働を担っている場合が多く、ベビーシッターをつけてくれるのはどうであれ、助かる。概念としてケア労働は男女共に引き受けるものであるとしつつも、実際としてそれの支援はするという実際的なヘルプがあること。これが、女性をより政治参画させることに大事なんじゃないかな?
ああ。やっぱり、質問するって楽しいね♪ 勉強になるね。久々に質問をして、やっぱり対話って素晴らしいと思い出しました、はい。
一晩中歩き続け寒さと闘うホームレス状態の方々
ところで、私を指名するときに小川さんが「昨日、ホームレスの方々の支援の夜回りに2時間ほど参加して、街路の植え込みに人が寝ているのが衝撃で、ここは日本なのか? 東京なのか?と思う一方で、支援しておられる方々がいらっしゃり、その支援団体に寄付してる方もいらして、一筋の希望も感じました」と話した。
そうそう、ホームレスの人たちを支援する「ビッグイッシュー基金」が定期的に行う、私も参加する夜の見回りに小川さんが来たんです。北風吹くド寒い中、2時間、ビッグイッシュー基金のスタッフのみなさんと町を歩きながら、ホームレス状態にある方々にお弁当屋やらホッカイロやらといっしょにこれ、配りました。
(こちらから注文も、ダウンロードもできます。https://bigissue.or.jp/action/guide/ )
と言っても、”荷物はあれど、人はおらず”ということも多くて、どうして?と小川さんが聞くと、「夜は寒くてジッとしてられないから、一晩中歩いている方が多いんですね。そして昼間になんとか眠られる方が多い」(案内してくれたビッグイッシュー基金の共同代表である稲葉剛さん)ということ。よく図書館とかで寝られている方がいるけれど、そういうことなんですね。それでも道の片隅で寝袋に入って寝てる方もおられて、それはそれは寒い夜だったから凍死されないか、心配になりました。ほんとに。ちなみに私が以前よくお茶だの果物だのお渡ししていたホームレス状態のおじいちゃんは、冬場に路上で亡くなってしまいました。
賃上げする気はあるのか? 介護現場からの叫び
と、話がズレましたが……。私の次、質問5の方が切実だった。
「私は介護の現場で働いています。現場で働く者として聞きたいんですが、介護問題って国会全体でどれぐらい重要視されていますか? 職員の賃上げ、それが最優先課題なんでしょうか?という疑問があります。議員の方には現場の声、どれぐらい聞いてもらってるのかな?と思います。コロナがきてから、エッセンシャルワーカーはだいじだと言ってもらってますが、その割にはワクチンも自分で打ちましたし、特に気にかけてもらってると感じたことがありません。求人をかけても人はほとんど来ませんし、 3Kという仕事で、高齢者はどんどん増え続けていて、誰が看るのか?と想像がつかない。やりたい人なんているのかな?と思います」
なんという切実な言葉。この言葉をここで国会議員に直接届けたということ、とても意義がある。小川さんは「国会で介護現場をどうしていくか?は相当な関心ごとであることは間違いありません。全産業から10万円も賃金格差があることも理解しています。これは介護報酬を高めないと現場の賃金も上がりませんが、当然介護保険料含めて財政をどうするか?という問題とも直結していて、簡単ではないのですが、重要な課題です。相当に資源配分を考えていかないとと思っています。賃金含めて尊厳ある待遇が必要で、社会的な認識も相伴って誇りある現場にしていけるよう行っていきたいです」と答えた。ほんと、そうしてもらわないと困る。今後、私が困る。あなたも困る。これ、全員に本当に大事な質問だった。
全国一律では語れない野党共闘
さて。ずっとみなさんが心配している、他の野党との立憲民主党の関係性。あれこれ報道がされているけれど、質問7「夏の参議院選挙では、野党共闘はどうなるの?」に対して、泉さんが答えたのは、
「色々みなさんご心配されていると思いますが、う~ん、何と言いますか、う~ん。本当に難しいんですよね。都道府県ごとに、それぞれ歩んできた歴史、道が異なるんですよね。それを全国一律こうしろああしろってことにすると、窮屈な感じもします。ボトムアップの中で最も野党候補が、立憲候補が、議席を獲得していくことにどうしたらいいか、というところを地域ごとに考えて追及した方がいいのかな?と考えます。全国一律よりも、地域ごとのつながりを大事にして進めていきたいと思います」
って。えええ、そうなの? これまで、これ、どこも報道してくれてないけど? してました? なんか、すごい納得するんですけど、私! これでいいんじゃないの? ダメなん? それぞれの地域で、それぞれでいいんじゃないのかな? どうなん? どうなん? そういうのは許されないの?
さらに質問8で「れいわ新選組」との関係性を聞かれて小川さんが、
「私は(政調会長で)政策部門ですから他党とのかかわりが薄いんですが、現在はコロナに関して与野党協議会がありまして、そこで各党との関係、連携調査を大切にするようにしています。その場にれいわさんが入ってなかったので、入れて欲しいと政府側にお願いしたんですが、残念ながら今、議員数が少なくて議員運営委員会という国会の核になる委員会にれいわさんがいらっしゃらないということで、受け入れられませんでした。ただ、与野党協議会が行われる度にれいわのご担当の方に常に連絡をとって、私たちが代わりに発言できることはないか? こういう意見交換をしてますよと、個別に連絡を取るように努力をしています。それこれ含めて他党との関係を大事にしたいと思います」
って、えええ、そうなの?アゲイン。こういうこと、どこも報道してないんじゃない?アゲイン。野党共闘、ちょっとずつでも戻ってきているんじゃないの? どうなん?
今回の対話、とっても充実していた気がします。しつこく同じこと、納得するまで尋ねていくって、だいじなんですね~。ほんと。しつこく、私たち、対話を粘っていきまっしょい!