ハッタリかけて、駆け抜けろ術

前回、映画『マトリックス』に出てくるトリニティについて書きましたが、実は、トリニティという女性像は、息子に伝えたい「こんな女性に惚れなさい 100人のヒロイン」のうちの1人でもあります。

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劇中、トリニティがダークな未来都市を駆け抜ける疾走シーン。そのカッコ良さと言ったら!

可愛子ぶった女の子走りなんかではなく、短距離走者アスリート並みの、本気でシャープな駆け足。トリニティを演じたキャリー・アン・モスは、相当なトレーニングを積んだのではないでしょうか。

実は『マトリックス』の制作費は、初め1000万ドルしか許可されなかったそう。監督のウォシャウスキー兄弟は、全予算の1000万ドルを使い切ってオープニングシーンのみを製作しました。

このファーストシーンは予告編にも使われました。
トリニティが追跡者をかわすためにモモンガのように宙に飛び上がり、360度カメラで観客のドギモを抜いた、あの有名なシーンです。

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当時、私は映画ライターをしていましたが、日本でもその謎めいた予告編がプレス向けに公開されて、
えええ⁉︎ なんなの、こんなの観たことない!
と、記者たちが大きな衝撃を受けたのを覚えております。で、それ以外はシークレット。

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これはもう、ウォシャウスキー兄弟、一世一代の大ハッタリです。制作費全てを使い切ってファーストシーンのみでマトリックスの世界観をワーナー・ブラザーズの重役にプレゼン。結果、8000万ドルを引き出すことに成功し、映画も大ヒットとなりました。

格闘技などの経験がなかったキャリー・アン・モスも、ファーストシーンを撮影した後、猛特訓かつ超特急でトレーニングし、トリニティになりきったのだと思います。

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まだ観ぬ新しい映画、まだ見ぬ新しいヒロインを創り出すために、ハッタリかけて時間を稼ぎ、本番で最高の出来栄えに仕上げたのです。

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トリニティをフューチャーした映画ポスターの、この迫力。顔も映っていないのに、トリニティだとしか思えない、この凄み。ある意味、ポスターも映画のビジュアルプレゼンテーションですよね。

というわけで、最高の仕事をクリエイトしたかったら、ハッタリかけて敵のドギモを抜いてる間に、本気で駆け抜けるしかないのです。

生半可な気持ちでは、歴史には残りませんから。

お読み頂き、ありがとうございます。

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