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アメリカ大統領選挙 現地レポート
こんにちは!アメリカのワシントン大学に9月から交換留学をさせてもらっています。
2024年11月に行われたアメリカの大統領選挙について、現地で感じた様子について記録します。完全に私目線です。ちなみに、ワシントン州は青です。
9月下旬から当日まで
学内では投票を呼びかける動きがありました。具体的には、授業の最初に5-10分ほど先生が投票の大切さを話されたり、外では投票を呼びかけるチラシを配る学生がいたり、授業が開始する前のwelcome weekでは様々なイベントに混じって、選挙に関するブースが設置されたりしていました。私は参加していないので詳細は分かりませんが、アメリカ選挙について解説する講演会のようなものがありました。
日にちが近づくにつれ、学内を歩いていると投票したかどうかを話しかけられたり、votedと書かれた服を着ている人がいたり、投票したことをインスタにあげたりする人が増えてきました。
11/5(火) 当日
何となくですが、この日は朝からみんなソワソワしていたように思います。結果が出るまで起きていると言っている人や、寮によっては選挙結果を見るために夜に集まるところもありました。
夜に寮のstudy loungeで課題をしていると、男子2人がポテトを持って入ってきて、食べながら選挙の様子を議論していました。恥ずかしながら私はそのように議論できるほどの知識も考えも持ち合わせていなかったので、2人に話しかけ、自分は留学生でアメリカの選挙を現地で経験するのは初めてだから教えてほしいと言うと、とても親切に教えてくれました。ちょうどその時はトランプさんが優勢でしたが、西海岸がまだ結果が出ていなかったので、ワシントン州含めてハリスさんの票がまだ出ていないから結果はまだわからないことや、注目されている州について話してくれました。人を見た目で判断するのは良くないですが、かなり元気な2人だったので、政治への関心の高さにとても驚いたのと同時に、仮に彼らを中間層と定義すると、日本の若者の政治への無関心さにかなり危機感を持ちました。私は日本の中では政治関心度は真ん中よりは上だと思いますが、アメリカ、もしくは世界基準で見るとかなり低い場所に位置すると感じました。視座が高まったので、彼らに話しかけてよかったです。
順番が前後しますが、当日の朝には、在シアトル日本領事館からメールがありました。以下内容。
11月5日は米国大統領選挙の投開票日です。各州では既に期日前投票が開始されており、これまでのところ留意すべき治安上の問題は発生しておりませんが、今後、抗議活動、双方の支持者同士や警官隊との衝突事案が発生する可能性は排除されませんので、報道等により最新情報の入手に努め、ご自身の安全確保に十分注意を払ってください。
1 11月5日は米国大統領選挙の投開票日です。各州では既に期日前投票が開始されており、これまでのところ留意すべき治安上の問題は発生しておりません。しかしながら、前回の大統領選挙では、連日多数の抗議活動等が行われた上、民主党、共和党双方の支持者同士や警官隊との衝突事案が複数発生し、凶器の押収や多数の逮捕者が出る事態となりました。
2 報道によれば、ワシントン州知事は、選挙前後の11月4日から11月8日までの間、州内の潜在的な内乱等に対応するための予防措置として、ワシントン州の州兵に出動を要請しています。
3 当地に渡航・滞在中の皆様におかれましては、報道等により最新情報の入手に努め、外出の際は周囲の状況に注意し、投票所、開票所、選挙事務所などの選挙関連施設や人が多く集まる場所にはなるべく近づかないなど、不測の事態に巻き込まれないよう慎重な行動を心掛けてください。抗議活動や集会は、平和的なものであっても状況により突然不測の事態に陥る可能性もあるため、仮に抗議活動や集会に遭遇した場合には、速やかにその場から立ち去るなど、ご自身の安全確保に十分注意を払ってください。
私の関心事の一番は治安なので、ルームメイト(現地生)に聞きました。ダウンタウンやcapitol hillあたりは暴動があるかもしれないが、おそらく学内の治安は大丈夫だと思う、とのことでした。
ちなみに、彼女は、demonstrationでもprotestでもなく、riotを使っていたので少し驚きました。完全にニュースの世界です。
下記のニュースは、選挙結果とは関係ないですが、政治に関連した逮捕は起きていました。
11/6(水)
8:30 am から授業があったので、1時には寝ていました。翌朝起きると、ドイツにいる友人から、トランプさんになったねというLINEで選挙結果を知りました。ちなみに、寝る前くらいに外から叫び声が聞こえていたので、遅くまで選挙を見ていた人は多かったと思います。
授業の教室に着くと、開始5分前にも関わらず誰もいませんでした。みんな遅くまで選挙見ていたのかなと思っていると、ちょうど先生がいらっしゃって、今日来て偉いね!あなたにはAをあげる、と。そして思い出したように、今日の授業がoptionalって知っている?と。「。。。」optional?。前回の授業でいつそのようなことが言われたいたのか全く分かりませんでしたが、選挙の結果によって学生がemotionlになるため、だそうです。どちらにしろ、team mtgを授業内で行う予定だったので、無事にチームメンバーも来て、何事もなかったかのようにmtgをしていましたが、30人弱のクラスに来たのは私含めて5人でした。(チーム4人と、先生に相談がある人が1人。) 大学全体の授業がoptionalになったわけでなく、先生の個人的な判断ですが、それほど多くの人が選挙に注目していること、学生の政治への関心の高さと個の意見を持つことを推奨する文化を感じた出来事でした。
この日は、学内で、protestが行われていたようです。ちょうどこの時間は図書館にいたので規模感は分かりません。
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11/7(木)以降
11/7はfirst Thursdayでいくつかのmuseumの入場料が無料になる日だったので、友人と夕方から出かけようと思っていましたが、断念しました。SNSで治安に関してこまめに情報収集するようにしていました。
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やはり、選挙後初の週末(しかも土日月の3連休)ということで、protestは行われました。人は多いものの、シアトルは比較的治安が良く、protestに関して警察からの緊急メールも来なかったので、そこまで過激な感じではなかったのだと思います。連休で実家に帰っている人が多く、学内はとても静かでした。
https://thepostmillennial.com/antifa-targets-seattle-pd-as-thousands-protest-trump-election-victory
More from Antifa, Seattle, Washington protest. https://t.co/jNSOtAn65G pic.twitter.com/nh1Esk6smi
— D. Scott @eclipsethis2003 (@eclipsethis2003) November 10, 2024
Hundreds of protesters turned out in the pouring rain for yesterday’s anti-Trump protest at Seattle Center. ✊🏻 pic.twitter.com/u7uaGSuOpf
— Todd (they/them) #AbolishThePolice (@ToddBohannon) November 10, 2024
考察
protestやその呼びかけが行われているのは、私にとってテレビ、ニュースの中での世界でした。当初、この違いは、治安や集団/個人主義を考慮しても、日本人の政治無関心さを表していると考えていました。しかし、友人との会話を通して、そこまで日本に対して悲観的になることはないのかもしれないと考えるようになりました。なぜなら、アメリカでも同様に若者の投票率の低さが課題になっているからです。
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人気歌手が支持しているから私もと考えるような若者は多くないだろうし、そのようになるだろうと考えること自体が、若者たちを馬鹿にしている考えだ。それは、若者たちには考える力がなく、人気者が言えばそれに従う程度だということを前提にしているからだ。
古村治彦 愛知大学国際問題研究所客員研究員
比較すると、アメリカの若者の投票率が北欧のように高いわけではないのです。ただ、日本とアメリカの違いは感じました。政治に、というよりも、個人主義の度合いの違いです。アメリカでは意見を強く求められます。その土壌を基に古村先生の記述の要素も含め、協調性をより大事にする日本からアメリカを捉えると、政治への関心度・参加度が高く見えるだけということです。日本の場合、意見の有無に関わらず積極的に意見を言うことや政治について公で話すことに対して消極的です。アメリカの場合、主観ではありますが、意見の質に関わらず発言する傾向があります。その違いから、そして例え誰かの意見の引用だとしても発言し合うことによる意見の発展を期待できます。
確かに、日本の若者の多くは政治への関心度が低い。しかし、それと同等にアメリカの若者の政治関心度も決して高いとは言えない(もちろん、人種や教育レベルによる格差は大きいと思いますが、今回の論点ではないので深掘りはしません)。意見を公表しないことによる機会損失は否定できませんが、日本人として、日本を誇らしく、文化に自信を持っていいのではないかと感じました。少なくとも私は、日本に対して悲観的にならず日本人であることに自信を持って世界と向き合いたいなと思います。
と、そんなことを考えながら過ごしていた選挙前後でした:)
最後まで読んでくださりありがとうございました。