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年月をかけて辛い思い出は思い出に変化した

大切な家族が亡くなった日、羽衣ジャスミンが強く香っていた。人が一人死んだことで、周りはこんなにも変わるのかという出来事があり、辛くて辛くて、だけど他の人にもこの悲しい気持ちを広げてはいけないと夫にも兄弟にもすべてを話さず一人で抱えたあの日。

それから15年余り経ち、その間に私は色々あって離婚した。自己を見つめる時間を持ったことで、離婚やそれよりも過去の諸々がやっと吹っ切れた。と思う。

何年もジャスミンの時期になると辛い思いを思い出してはなぜ自分ばかりこんな目にあうのかと悲しい気持ちになった。長い年月をかけて、近しい人に相談したり、話を聞いてもらったり、定期的に細々とした交流を続けながら、つらい思いをしてるのは私だけじゃないこと、助け合って生きることの大事さを学ぶことができた。

振り返ると、いつの頃からだろう私は何でも
「自分がやらないと!」と一人で走り回っていた。最終的な意思決定は関係者でしていたが私の敷いたレールは崩さなかった。そういう私には、なんでもいいよとか、任せるよという人が集まってきて、1人苦しくなるのが常だった。

そして思うようにいかないことや自分だけで抱えた問題を悲しんで悲劇のヒロインになっていたのだろう。家庭でも仕事でもいつも必死だったのはわたしひとりだったことをはっきりと自覚した。周りの人を信じていなかったのだと思う。

最近ジャスミンの香りを懐かしいと思う自分に気がついた。そして買い求め育てている。辛い思いをした事実は変わらない。しかし、それに対する思いは私が作っていたことがよくわかった。この感情を克服できて本当に良かった。

残りの人生だが、辛いに一本線を足し、「幸」に変えてとことん楽しみたい。それには周りの人への感謝の気持を忘れずに。過去の色々がつながって今、動き出した。




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