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遊戯王の「カジュアル」なデッキをどう組むか?

ありがとうございます。サユキ(あかり)です。
ヘッダー画像は大好きなカードの1枚、《Vivid Tail》です。

自己紹介の記事でちらっと書いたのですが、私は主にカジュアルな場での遊戯王を楽しんでいます(大会に出てる方々、すごいと思う)。

「絶対に勝つ! そのためにあらゆるカードの力を借りよう!」と言うよりは、「相手と何度かやり取りして、互いの力を出し合った末に勝ちたい」という性質の人間です。

ただ、様々な方もあらゆるメディアで言及していらっしゃるように、昨今はカジュアルと言っても遊戯王のカード全体のパワーがかなり上がり、「先攻でどれくらいの盤面を作ろう?」「そもそもこのカードはありなのか?」という部分を考える時間がかなり増えてきました。

なので、参考になるかは一度棚に上げ、7~8年くらい遊戯王に触れてきた私がどんな考え方でデッキを組んでいるのかをまとめてみようと思います。
この記事では「デッキを組む上で考えていること」「採用カードの判断基準」などに触れていきます。
「その組んだデッキでどう遊ぶか?」「デュエルしているときどんなことを意識するか?」といったことは、また別の記事にまとめる予定です。

前提として

あくまで私の一意見です。私のスタンスが正しい、私の取ってない行動が間違いだ、なんてことはもちろんありません。
様々なプレイスタイルが同居できるのも、カードゲームの懐の広さだと思っています(逆にその性質こそが「どうやってデッキ組んだらいいんだ?」という問題を生んでいる節もあると思いますが……)。
また、私はコンボデッキを考えるのが得意ではなく、デザインされたテーマの動きが好きなので、ここに書いていることも基本的には「テーマデッキ(または複数テーマの混成デッキ)」を指している内容がほとんどです。ご容赦ください。
おこがましいようですが、デッキ構築に悩める決闘者の皆さんにとって何かの参考になれば、という気持ちで執筆します。

枚数は50枚くらいがデフォルト

カードゲームにおいては、デッキ枚数が少ないほど目的のカードを引ける確率が上がるものと思いますが、私はもっぱらこの枚数でデッキを考えています。
そこにちょうど、素敵なデッキの構築理論をCLUoooNさんのnoteを拝見していて、「これだ! 私も似たようなこと感じてた!」と嬉しくなりました。
そして、その原点には城下町デュエルのさりあさんのポストがあったとのこと。さりあさんのプレイスタイルやデッキが大好きな私は、構築の考え方そのものが割と似ていたことに驚きました。
(この記事も、CLUoooNさんのnoteに触発されて書いているところが大きいです。素敵な記事に感謝を!)

ちょっとマトリョーシカみたいな引用・ご紹介になってしまい恐縮ですが、枚数における私の考え方はお二人とよく似ています。
素引きして「あっ」ってなるカードを複数採用することがあるので、40枚で回すビジョンはあまり見えません。さらに私はオリジナリティを出そうとしてしまうので40枚前後では到底収まりきらず、結果的に50枚を超えることが多いです。
CLUoooNさんのnoteやさりあさんのポストでは「60枚にすると回らない(ムラが出る)」と言及されていますが、確かに今思い直すと、「やむなく60枚にしたデッキはムラが出る」「何度再構築しても、60枚だとあっちを立てればこっちが立たず状態になりやすい」感覚になっていたのを感じました。

例えば、私は時間をかけて相手や盤面をコントロールするデッキが好きなので、【ユニコールコントロール】を組んでいます。
コントロールしたいという理由で、(デッキ切れを勝利目的としない前提で)神碑カードを多めに積んでいるのですが、
・神碑を引こうとして神碑を増やしてもユニコールが出せない
・ユニコールを守る札や蘇生札を増やすと神碑に触れない
の2点で板挟みになっていたので、大変納得したのを覚えています。
(現在はターミナルワールド2で優秀な魔轟神新規がやってきたので、この問題は解決しつつあります)

こうした経緯もあり、デッキを組む上では初手の安定性とやりたいことができるかどうかの2点において、ひたすらバランスを模索しています。
具体的には、デッキがある程度形になったら(あるいは形になっていても定期的に)初手5枚をひたすら引いて、初動や次のターンをもらえそうな盤面につながる手札がどれくらいの割合で来るかを確かめるようにしています。
その結果を踏まえて、「このカードは枚数を減らそう」「初動が引けないから別のルートを増やそう」といった調整をしていく感じです。

手札誘発の採用有無

私は手札誘発を伴う読み合いが大好きですが、非公開領域から徹底して相手を妨害したいわけではないので、基本的には採用せずデッキを組みます。
手札誘発をケアできるカード(墓穴・抹殺の指名者)もあまり入れません。

ただし、

・後攻になると非常に厳しいデッキ
→【蟲惑魔】など罠カードが主体のデッキ

・テーマ的なシナジーが強いデッキ
→【転生炎獣】における灰流うらら。サンライトウルフで繰り返し回収できるため
→【オルターガイスト】における無限泡影。マルチフェイカーの起動に最適
→【白き森】や【青眼】におけるエフェクトヴェーラー。容易にサーチできるから

・特定の領域を突かれると非常に辛いデッキ
→【閃刀姫】でレイを除外されないよう、お守りとしての屋敷わらし

・初動や重要な動きにそのカードを絡められるデッキ
→インヴォーカーが初動のデッキにおいて、レベル3モンスターを2体並べる(相手の妨害を超える)手数としても計算した灰流うらら、朔夜しぐれ等

・採用カード、テーマ的に入っててもさほど不自然じゃないデッキ
→緊テレが入ったデッキの幽鬼うさぎ
→【アロマ】【リチュア】などLPの値が重要なデッキにおける儚無みずき

などの場合は、併記したような理由で採用を検討します。
「妨害したくないのに手札誘発や手札から発動できる罠カード入れるの?」と言われるとおっしゃる通りで、矛盾しているのですが、
「ひたすら相手の妨害をしたいわけではない」けど、「(相手の動きを否定しない範囲で)相手に選択を迫ったり、心理戦を仕掛けたりしたい」「自分のデッキの大事な動きはやはり通したい」というスタンスにもよるものです。

こうしたやり取りやケアは何も手札誘発等に限らず、盤面にいるモンスターや魔法罠でも繰り広げられる当たり前の光景ですが、その思考範囲を(やりすぎない程度で)非公開領域にも広げながら遊ぶのが好き、とも言い換えられるでしょうか。
(筆者はマジック・ザ・ギャザリングが好きなのでMTGアリーナでよく遊んでいるのですが、相手がインスタント除去や打ち消しを多用するデッキタイプだと、考えることが多くてウキウキします。
自分がコントロールを握っていても同様なのですが、私はカードゲームを通して、考えることが多すぎて頭が痛くなる苦しみや体験を味わいたいのかもしれません)

ただ、1ターンに2枚も3枚も強力な誘発カードが飛んでくると卒倒しますし、誘発をほとんど入れずに遊ぶ友人もいればガッツリ採用する友人もいるので、価値観の違いで悲しいことにならないよう、一般的に言われる手札誘発が入っている場合はその有無を事前に伝えるようにしています。

汎用の強力な捲り札をなるべく減らす

サンダー・ボルト、ライトニング・ストームに代表される、「相手の盤面だけ複数枚以上捲ることに全振りしたカード」はなるべく使わないようにしています。
これもそのカードが悪いというわけでは決してなく(ここぞの場面のサンボルとか盛り上がりますよね)、あくまで基本的には相手と細やかなやり取りをしたいためです。
魔法罠の除去に関しては例外で、特定の魔法罠で詰むケースが友人とのデュエルで多く発生するため、不本意に詰むことが減るように、ハーピィの羽根帚については多くのデッキに投入します。

詰みかねない魔法罠の盤面は、身内環境で例を挙げると
・王の棺
・失落の霹靂と覚醒の三幻魔
・ナイトメア・ペインとエターナル・フェイバリット
・ミドラーシュ登場がほぼ確定した状態でのシャドールーク
・スカーレッドゾーン・クリムゾンヘルガイア・伍世壊浄心(カウンター罠)の三銃士
……などがあります。
これらは対処できないと、下手すると次のターンでデュエルが終わる可能性が高いため、「残すと負ける!」という場面では躊躇なく羽根を投じます。

また、拮抗勝負はモンスターも根こそぎ除去できる代わりに、そのターンのバトルフェイズを放棄する制約が大きいので、採用することもあります。
セルフバウンスや儀式テーマなど、自分の場にカードがないケースがしばしばあるデッキなら、発動条件も満たしやすいですからね。

なお、明らかに先攻を取りたいデッキで、テーマ内に除去する手段がどうしても少ない場合は、汎用除去札も複数投入します(蟲惑魔ではサンボル、羽根、ライストをそれぞれピン採用した時期もありました)。

この辺りも本当に人によりますし、「拮抗は裏側除外されるのが強すぎて嫌」「羽根も使われるとしんどい」といった意見ももちろんあると思うので、線引きが難しいところではあります。

詰みを減らせる・やり取りが生ずるカードを重視

昨今のカードパワーの上昇もあり、相手が先攻でテーマ内の理想ムーブを完遂した時点で既に勝負あり、というデュエルも増えてきました。
(新規が入った【ドラゴンメイド】で、先攻シュトラール・烙印の獣・お片付けを易々と構えられたときには泡を吹いて倒れました。ドラメは本当に強くなりましたね)
後攻1ターン目で詰んで終わるのはさすがに寂しいですし、かといって手札誘発もおいそれとは積めないということで、先述した捲り札をしばしば採用しますが、私が中でも好きなのが速攻魔法。
モンスターに触りたい場合は皆既日蝕の書や月の書、禁じられた聖杯あたりを。墓地へ送るコストやそれらのカードの墓地利用、攻撃力半減を上手に使えるデッキなら、禁じられた一滴も使います。
なぜ速攻魔法が好きなのかというと、「相手に選択を迫れる」からです。

同様に、魔法罠の対策としても羽根箒ではなく、サイクロンやコズサイを1枚だけ投入することもあります。
古の戦法・エンドサイクは現代遊戯王でも健在ですし、1枚でもサイクロン系統が見えた後は「うわ、もしかしてまだサイクロン来るかも」「あの伏せ、コズサイだったらやだなあ」など相手を悩ませることができます。
先にスペルスピード1の効果で相手に動いてもらい、その上からSS2の速攻魔法で風穴を開けにいく。場合によっては2の矢3の矢を同じチェーン上で放つことも可能です。
これは制限カードである羽根箒や通常魔法、原則として伏せてからでないと発動できない罠カードにはできない明確な強みでしょう。

何より、最近の遊戯王で元祖サイクロンが決まると、対面もガヤも盛り上がってくれるので嬉しいというのが大きいです。
アドバンテージの観点では1:1交換しかできないものの、相手との駆け引きも生まれやすい点が大好きで、そういう意味においては羽根より重視していると言えるかもしれません。

入れたいカードはテーマ外のものでも入れてみる

シナジーがあるテーマ外のカード、自我を出したいカードはよくピン挿しして、何戦か試しては抜き、抜いては入れ直しを繰り返しています。
「オシャピンはデュエリストの自我だ」という致命的な一押しが某カードゲーム大好きなVTuberの配信で話題になったのは記憶に新しいですし、その自我を乗り越えた先に「強さ」があるとも思っています。
思っていますが……私は入れたい! 入れたいんだ! という気持ちに負け続け、様々なデッキに「発動機会がほとんどないけど決まると脳汁出る」系統のカードが眠っております。

デッキ枚数の項で取り上げた、「ひたすら5枚引いて手札の質を確かめる」方法はNext Playさんの動画でだいぶ前に知ったもので、今ではニューロンやマスターデュエルでも機能が搭載され、便利になりました。
このやり方を取るようになって以来、デッキ全体の採用カードのバランスを取りやすくなったように思いますし、「事故が多いなあ」と感じたときの頼もしい分析材料としても機能してくれています。ありがたいですね。

しかし、残酷なことに色気を出して入れたカードが何度やってもこの試行で引っかかり、初動が引けず1ミリも動けない手札の中で「来ちゃった♡」と笑顔で輝いているパターン。何度経験したことでしょう。
結果、「やっぱり抜くか……」と泣く泣く調整することが多いです。
その後しばらくして、「いやでも発動したい……」と心変わりするところまでセットです。皆さん、ご経験ありませんか?)

総じて:やっぱりデッキ作りは難しい

デッキの組み方というのは、デュエリストのみならずカードゲーマーの大半が考え続けるであろう壁だと思います。
ひとえに勝利を目指すという観点では、大会上位に入賞し続けるようなテーマであれば、様々なデュエリストの手によってどんどん構築が洗練されていくものです(やっぱり大会に出続ける方々はそういう意味でもすごい)

しかし、こと「カジュアル」を意識し始めると、デュエルを通して得たい体験や目指したいゴールがデュエリストによって全然違うので、デッキ構築をする難易度が格段に上がってしまうんだ、と感じるようになりました。
1枚でできることがどんどん増えて強くなってきた、最近の環境では特にそうなのでしょう。以前にも増して、互いの楽しいデュエル体験を担保する(パワーバランスという意味で)難易度は確実に上がっています。

それでも、遊戯王というカードゲームはそうしたインフレも受け入れた上で、同じ土俵に立って熱い勝負を繰り広げ、勝っても負けても「いやー惜しかった! いい試合だった!」と思えるような体験をこれからも作っていける世界だと、私は信じています。
遊戯王が好きで楽しんでいる方たちのそうした悩みに、一石を投じられたらと願うばかりです。

自分の考えを文章にまとめ、より多くの人に向けて分かりやすく発信するということの難しさを痛感しています。見づらい文面で申し訳ありません。
かなり長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださった方々、本当にありがとうございました。
決して読みやすいものではなかったと思いますが、何かの一助になっていたらとても嬉しく思います。

デッキ構築に関する皆さんのやり方やポリシーなども、ぜひぜひ教えてくださいね!

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