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白湯の短歌

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今まで詠んだ短歌をまとめました*
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#旅

現代短歌 -10- 旅先にて問う (7首)

現代短歌 -10- 旅先にて問う (7首)


旅し問う ここはいったいどこだろう
自分はいったい誰なんだろう

人格は土地柄により形成され
引っ越す度に人格増える

***

遠い地で何食わぬ顔して生きる
人が僕より幸せに見え

稲を植え 田に水を張り
コンバイン駆る人たちは
日々何思う?

東京でサラリーマンをするだけが
生きる手段といつから信じた?

山そびえ 川が流れて
作物が実る以上に 何を求める?

結局はないものねだり
都会にて

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現代短歌 -11- 一宿二飯 (6首)

現代短歌 -11- 一宿二飯 (6首)

「お料理は一粒残らず食べなさい」
呪いが支配する宴の場

美術品 並び続ける食卓で
ふと人件費の割合思う

途中からフードファイトが始まった
天ぷらの量 良い加減にして

胃もたれが加速していく連泊を
生き延びるため昼食を抜く

いかんせん適応力が高いので
二泊もすればまるで我が家よ

三泊もすれば故郷や両親や
会社を忘れ 名無しになった

***

一生分の魚介を食べ、
潮風を嗅ぐだけで吐いてし

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