三浦コウさん ピアノリサイタル2022
5月21日(土) 19:00~
場所は「白寿ホール」
よく名前は耳にするが、訪れるのは初めて。
木の温もりが感じられ、音が柔らかく広がるホールだった。フカフカな椅子も気持ちがいい♪
私が初めてコウさんの生演奏を聴いたのは、
昨年6月12日「早稲田奉仕園 スコットホール」で行われたリサイタル。
↓その時のレポートはこちら。
今回は約一年ぶりのコウさんの生音。
とても楽しみにして出かけた。
前回のレポートで、オリジナルピアノ作品のリサイタルの価値について触れたが、今回もその素晴らしさを存分に味わうことができた。
さぁ、何からどう書こう。
カテゴリに分けようか。
本来なら一曲ごと、全てに感想を記しておきたいところだが、少々駆け足で。
【オリジナル】
前回8曲→今回7曲
第2部で新曲を3曲演奏するという構成。
まず一曲目「春の訪れ」で驚かされる。
後半の調が違う!転調よりも移調と言うべきだろう。雰囲気をガラリと変えてきた!
戻して終えるかと思いきや、そのままラストへ。最後の一音がいつもと違う。個人的に大事件だった。
昨年の春と今年の春は違うね。身の周りの環境も、世界情勢も変わっていくよね…というようなメッセージ性。このリサイタルのオープニングに相応しかったなと、終演後に感じた。
そして「GRADATION」について触れなければ。
私にとってこの曲は特別。世界で最も好きなピアノ曲だ。ショパンのノクターン8番やバラード4番をも凌ぐ。
聴いて好きになり、弾いてさらに好きになった。弾き手によって、またその時の心理状態によって、GRADATIONの出方が微妙に変わる。絵画のような名曲だ。
ホールとピアノの響き方もあるだろうが、今回のコウさんの演奏は柔らかな印象だった。作曲して以降、何度も弾き込まれることで変わりゆく何かもあるのかも知れない。
新曲の3曲
・想い
・You&I
・凪
それぞれのプログラムノートに「想いが込められた」「意味を込めて」「願いを込めて」と記されていた。
「COLORS」は四季と色彩をテーマにしたアルバムで、主に色や自然を題材としていたが、これら新曲に宿る「込める」の言葉。
人間の内なるものを表現していこうという、コウさんの変化や気概を感じる。2ndアルバムが楽しみになってきた。(早い?)
「想い」のプログラムノートにあった
「あなたは誰にどんな想いがありますか。」
コウさんは時々、こういう疑問形を投げかけてくる。「俺の曲をこう聴け!」ではなく、聴き手に受け取る幅を持たせてくれる。相変わらず優しい。
今自分が抱える想いと演奏とがリンクして、まんまと泣かされてしまった。まんまと。いや、優しいんだけれども。
【クラシック】
前回2曲→今回5曲
バラードへのあくなき挑戦!が大きなテーマに思えた。
コウさんのバラードは、和音を意図的にずらしたり、過度なルバートをすることがなく、とても聴きやすい。聴き手に受け取る幅を持たせてくれる感は、演奏にも表れるのだなぁと思った。
バラードのコーダはとても難しい。
それだけに、勢いで押せ押せで弾いてしまう演奏もよく見られるが、コウさんは一音一音とても丁寧に弾かれていた。あらゆる意味で「心地好い」バラード。いつか2番3番も聴いてみたい。
【アンコール】
「優しさ」のイントロが聴こえた瞬間、「きゃー❤️」という歓声。うん、そうなるよね!
「COLORS」の最後を飾る、コウさんの代表曲ともいえる名曲。今回もふんわりと優しく、時に凛とした響きが美しかった。
続いての「Stay Home」、なんと全拍に拍手が入り始めた!おぉぉ~メトロノームのようだ!大丈夫かコウさん!?などと焦りながらも、そんなLIVE感を心から楽しんだ。
【トーク】
そのカテゴリいる?
はい、いるんです。
「僕はお喋りが上手じゃない」
ということすらネタにしつつのお喋り。
リサイタルや配信の回数を重ねるごとに上手になってる…はず!
何よりも「曲に関する思いを自分の言葉で伝えたい」というお気持ちが嬉しい。
【まとめ】
昨年よりも、全体の曲数もクラシックのレパートリーも増えている中、最後まで集中力を途切れさせることのない演奏。素晴らしかった。
コウさんの美しい演奏フォームが目に焼き付いている。美しい音は美しい姿勢から。ピアノの原点を学んだ思いがした。
第2部でコンサートツアー開催の発表があったが、そのお話の中で「僕は目標がないと頑張れないタイプ」とおっしゃっていたのが、とても印象的だった。
私自身、現状維持は衰退だと思っているし、何事も頑張りたい気質なので、頑張ろうとする人は無条件で応援したくなる。
コウさんの言葉を聞いて「よっ!」とか「日本一!」とか言いたくなる気持ちをぐっと抑えた。
まとめと言いつつ、さっぱりまとまっていない💦
コウさんはオリジナルを作り、弾き、クラシックを弾き、ご自身の言葉で思いを伝えて下さる。いわばとってもマルチな方。そういう方のリサイタルレポは難しいのよ!
…と言い訳をしつつ、お見送り時に撮影させて頂いた眼福写真をお納めいたします。
個人的主観満載の記事、最後までお読み頂きありがとうございました。
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