失恋後初めて男の子と2人で出かけて虚無感に襲われた話。
今日私は失恋して初めて男の子と2人で食事に行った。
結論から言うと、死にたい。
今、即ここで消えることができるボタンがあるなら私は迷いなく押すし、なんならお金も払う。
事の始まりは1週間ほど前。
私の友達に、同じバイト先の子を紹介された。
彼とはLINEを友達経由でもらっただけであったが、私のLINEのアイコンを見て、ありがたいことに悪くは思わなかったようで、食事に誘われた。
電話したりしていたが、確かに話しやすく誠実そうであった。少し真面目すぎるかなってくらいで。
元彼の不誠実さにボロボロになっていた私は、その誠実さに触れて、彼に良い印象を持っていた。
前日、就職試験があった彼から来ていた
「明日会うのが楽しみだから頑張るよ!」
とのLINEに、行かなければいけないという義務感を感じながらも「頑張って!」などと返していた時点で断るべきだったのかもしれない。
正直、私は焦っていた。
元彼と別れて3ヶ月近く経つというのに立ち直れていないことに。
まだまだ好きである事に焦りしかなかった。
「もう好きだと言われてもなんも言えないよ」
と言われ、彼を諦めなければいけない事も理解していたからこそ次に目を向けなければ。
そうでなければ私はずっと彼を好きなまま未練が捨てれない。
ずっと引きずるなんて辛すぎる。
今日だって、本当だったら外なんて行きたくない。
でも、前を向かなければ。
頑張らなければ。
そんなふうに考えていた。
13時、駅で待ち合わせ。
プリンを食べた。
プリンの代金を払ってくれようとする彼にいや友達だし初対面だから。それにどちらもバイトだからさ。
と答えた私に「そんな風に考えられるんだね。俺、こういうのいつも払っちゃうから。笑」
と言われた。
確か、元彼と初めて出かけたのは、去年の夏。
彼の妹に紹介されて、待ち合わせてご飯食べに行った。
割り勘のお金がピッタリなくて「お店出たら崩して返すね。」って言ったら、「うん。」って言ったのに外に出たらいらないから。って言われたっけ。
多分私は、ご飯を食べている時点で元彼のことが気になっていたと思う。いや多分、半分好きだった。
どこに行っても、奢ってくれようとする元彼に無理にでも、せめても、端数を出そうとする私。
「ありがとう」という私と「え?なにが?」ってとぼける元彼。
そんな事を思い出していた。
プリンを食べたカフェは彼が前から調べていてくれて、そんな所にも気を使える人であった。
私を楽しませよう。そんな気持ちを感じた。
多分、いや絶対彼は優しくていい人。
私のネイルを褒めてくれることも
なんとなく顔をチラチラ見てくるところも
ほんと話してて楽しいって言ってくれるところも
元彼と付き合っていた時の事を聞いてくるところも
少なからず私の事を気に入っているんだろうな。
22年も生きてくれば、なんとなく分かった。
しかし私は、元彼の私に対する優しさが感じられない所に不満を持ってたくせに、それを与えてくれる彼に「何となく違う。」と感じていた。
誠に勝手である。
でも、きついものはきつい。
「疲れてない?」って歩きながら3回聞かれたのも
「その言葉に疲れる」と返したくなった。
多分波長が合わないんだと思う。
少し座って休んでいる時に、彼はドライブが好きだと話した。「へぇ〜そうなんだ」と返した所に食い気味で「どっか行こうよ!」と言われた。
私はその時に、この座っている場所からどっか行こうと言ってるのだと思い「うん。いいよ、どこ行く?」と返した。
彼は「違うよ!今じゃなくて、今度ドライブ行こう!ってこと!」と言いながら爆笑していた。
愛想笑いで返していたが、私の心の中はドライブなんて無理。何より今もう帰りたい。
それしかなかった。
帰り道の途中。彼にいきなり「ねぇ。」と呼ばれた。
「ん?」
「手、繋がない?」
「は?なんで?嫌だよ。友達じゃん」
即答していた。本当に、勇気を出して言ってくれたであろうはずなのに、条件反射であった。
こんなこと言われてしまったからそこから駅までの道の記憶はない。
多分車の話をして、とりあえず時間を埋めて、めちゃくちゃ早歩きをしていた。
多分。
彼を好きにならなければいけない訳でもないけど、彼といるたびに元彼を思い出してしまう自分と今日一日中戦っていた。
元彼を引きずっている自分を認めたくなくて「何気にもう大丈夫かも?」なんて思ってたのに、全然進めていない事を突きつけられた。
彼との帰り道。ふと素敵なコーヒー屋さんが目に止まった。
「あっ、ここのお店教えてあげたい」
コーヒーが好きだった元彼の事を一番に思い出した自分が本当に嫌になった。
あぁ、なんで彼とうまくいかなかったかなぁ。
今ならもっと、、、そんな意味のない事を考えて。
去年の夏休み。
元彼と付き合う前に、今日行った場所と同じ所にご飯を食べに行ったことがあった。
バーから出て2人しか歩いていない道で、ふと彼の手にわたしの手が触れた時にドキッとしたっけ。
そんな事を端々に思い出してやっぱり辛くなった。
虚しくて虚しくて、悲しかった。
『元彼を超える人はいない。失恋したあとみんなが思うことですが、それは嘘です。あとから分かります』
なんてネットで100回は読んだけど、本当にそんなこと思えるのだろうか。
それを感じられる人に出会えるまで、ずっとこの苦しみを抱え続けるのだろうか。
帰りの電車で彼にお礼のLINEを送らなければと、画面をぼーっと眺めていた。
あぁ、前に進もうと思って頑張ったのになぁ。
こんな悲しくなるはずじゃなかったのになぁ。
いつか、元彼の事を思い出さないくらい好きな人が現れて、私のことを救い出してくれるのだろうか。
「今日はありがとうございました。」
送り終えたスマホをバックの奥底にしまって、目をつぶりながら、私はイヤホンの音量を上げた。