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11.撮影2日目 夜

その日は、夜も暴風だった。
修太が美鈴に怪我の手当てをしてもらうシーン。
ここは修太が美鈴に
心を開きかけたことを暗示するシーンだ。
かなり、センシティブな
感情を表現することを狙っていたが、
暴風がまたも立ちはだかる。
撮影部、照明部ともに
機材を支えるのに苦労していた。
本当にスタッフ一丸となって撮りきろうとしていた。
それに俳優2人も高い集中力で応えてくれた。

橋の上での長回し

そして、橋での最後のシーン。
冒頭、美鈴がカラオケを抜け出して
修太を追いかけてくるシーンだ。
このシーンを1カットで手持ちで行くのは
最初から決めていた、だが
この風の中、芝居、カメラワーク、ライティングが全て
うまくいかないとOKは出せない。
しかし、まだ
修太のアパートのシーンが残っている。
しかも、こともあろうに
明生役の細山田さんを朝からずっと待たせている。
急がないといけない。
緊張感が迸るなか、6分の歩きの1カットに挑戦した。
結果は全てノーミスの
1発OKだった。

力を合わせて風に立ち向かうスタッフ

そして、細山田さんの待つアパートへ向かう。
アパートへ先陣を切って戻った時
細山田さんは笑顔だった。
かなり待っただろう。
しかし、笑顔だった。俳優は待つのが仕事と言うが、
そのものだった。さすがだ。
謝りながら、準備へととりかかる、
修太と明生のシーンはすぐに撮り終わった。
なんとか細山田さんを送り出し
修太のアパートのシーンへとりかかる。
修太のアパートのシーンは拘りがあった。
帰ってきた修太が代行家族のチラシを見るシーンだ。
暗闇の中に光の筋が差して
代行家族のチラシだけに光を差したかった。
代行家族が修太を救う暗示のカットだった。
部屋が狭くライティングが大変だった、うまく撮れた。

そして、最後
冒頭に使う予定の
電気をカチカチとつけたり消すシーン。
これは難しかった。
ここは日比野さんの技術に感服した、
ここには詳しく書かないが、表現が出来たと思う。
そして、このカットに拘って本当に良かったと思う、冒頭ならず
後半の大事な修太の心の変化に使えたからだ。
ここも脚本にはない表現に変化させて編集演出をした。
詳しくは書かないが、割とこの手法は気に入っている。

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