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9.撮影2日目 都内近郊

中学生の修太(大河原爽介)

この日は朝から雨だった。
幸いにも朝一は麻由美と中学生の修太が住んでいるアパートの撮影からだったので
雨の中、準備スタート。
とにかく、このアパートの
美術にはこだわったのを覚えている。
最上さんに無理を言って
イメージ通りの湿度の高い美術、装飾をしてもらった。細かいディテールまで出して
くれたことに感謝しながら
リハがスタート。
池津さん、細山田さんはかなりのベテランだか
修太役の大河原くんも刺すような目つきで物怖じせずにリハは進んでいく、
このシーンの大事さは
映画のファーストシーンでもあることから
皆が理解していた、
程よい緊張感の中、池津さんの迫力がリハにも
増して迸っていた。
今でも思うがこのシーンはロケセットの中で
一番難しいシーンだった。
緊張感と空気感を出せるか非常に重要だったので
迷いのあった池津さんにビンタを修太にしっかり当てるように要望したのを覚えている。
もちろん大河原くんに許可を取って。
張り詰めた空気の中、無事に撮り終えた時は安堵感で一杯だった。
そして,次の撮影場所である
スナックへと向かった。

シーンに関して話し込む

マハロのヒロコママとの出会いは
橋や川をロケハンしている当日に
アポが取れて、子供を連れてロケハンに行ったのをよく覚えている。
本当によくしてもらった。
ロケでお店を使われるのを歓迎してくれた。
本当に救われた。かなり何件も当たってきた中で
本当に良い出会いだった。

マハロでの撮影シーン

撮影当日もスタッフ全員にジンジャーエールを
振る舞っていただき,気合いを入れて
撮影準備に取り掛かる。
ここも重要なシーン。
修太と麻由美の衝突、
そして
修太と麻由美の融和。
素直になれない2人の空気を出したかった、
修太の頭を撫でようとするが撫でられない麻由美の手の動きを本番で足したのを良く覚えている。

さらには本撮影中で一番の怪奇現象が起きた。撮影したデータが飛んだ。
長回しのOKテイクだった、
しかし,浅津さんが気がつくのが早く
別のアングルからの長回しを撮り直せて窮地を救われた。
いまだに謎だが、いま思いだすと
公開1週間前に飛んだSSDと同じメーカーだった。もう2度と買わない。

そして、スナックの撮影は順調に終わり
すぐさま、撤収して
次の撮影地の橋へと向かった。

つづく

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