10.撮影2日目 橋
時間的には順調だった。
だか、さよならモノトーン最大の敵はココにいた。
舞台挨拶でも散々話してきた
風だ。
強風、いや、ここまで来ると暴風だった。
本当に台風の中にいるような風で
録音部の田原からは
撮影場所につくなり、首を振られた。
アフレコになるだろう。
だか、なりふり構わず撮影に取り組む。
まずは修太と麻由美のラストシーン
桜を吹かせたが、不発。
これはしょうがない。ただ暴風のおかげで
自然と桜が舞っていた。
送風機も用意していたが、必要なかった。
ただ、完パケでは桜が大きく散ったカットを
使わなかった。
表現が安直で当たり前すぎたからだ。
ここで、池津さんのオールアップ。
本当に良い俳優さんで、またお仕事したいと素直に思った。
次回はもっと長く演出してみたい。
みんなで笑顔で池津さんのオールアップ写真を撮った。
だが、ここから怒涛の撮影が始まる。
風だ。ここからは本当に風との勝負だった。
時間を追うごとに増していく風力。
機材を持つスタッフの体力が激しく消耗していく。
修太と美鈴の大事なシーンがここから続く
そして、全シーン、1シーン1カット長回し、
全て手持ち撮影。
浅津さん、日比野さんの技量に本当に感謝した。
あの風の中、長回しであのシーンが撮れたのは
奇跡に近いと思う。
しかも、朝の雨が止んで西日が差し始めた。
美鈴と修太の後半大事な2シーンは晴れていた。
だか、本編を観ていただいた人には
わかる通りの暴風だった。
カメラが揺れ、しまいには
俳優も揺れていた。
しかし皆、耐えに耐えて大事な夕景のシーンへ向かう。
ここで、またしてもトラブル。
撮影予定の川の堰が
前日からの雨で水嵩が増して渡れなくなっていた。
脚本では堰の上を渡って、対岸へと向かっていくはずだった。
それが出来ない。。
ロケハンに何度も来ていたが、
一度もそんな事はなかった。
演出プランの変更、そして脚本までも変えるしかなかった、、
どう変更したかは
本編を観て、尚且つ脚本を手に入れた人にしか
わからないと思うが、、
変えざるをえなかった、、
ただ、良いシーンは撮れた。
動きとセリフを変えざるをえなかった。
今でも、それは悔しいが、
中田と大原が臨機応変にプラン変更に
対応してくれたおかげで事なきを得た。
このシーンを撮り終えたとき、
時間との戦いから解放されて
ほんの少し安堵したのを今でも覚えている。
そして、長い夜を迎えた。。
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