「1.脚本に関して」
映画「さよならモノトーン」監督の神村友征です。
公開まで遂にあと3日となりました。
長いようで、思い返してみればあっという間に感じます。
ここでは「さよならモノトーン」をどのように作ったかを
監督目線で書いていきたいと思います。
「さよならモノトーン」は最初「代行家族」というタイトルの松尾栄佑の脚本だった。
松尾の脚本は初めサスペンス調で題材もあいまって無気味な
面白さがあった。
だか、推敲を重ねるうちにやはり、自分で監督するには大きな変換が必要だと感じた。
それは、家族に対する自分の気持ちを入れることだった。
私の家族は控えめに言っても崩壊した家族なので、昔から家族の話しを
いつか描きたいという強い想いがあった。
そこで、まずは脚本に自分の家族を重ねることから始めた。
まずは母親、麻由美だ。
麻由美には自分の母親の性格の細かな部分を表現した。
対する代行家族の恵子には自分の理想の母親像を表現した。
そうすることで自分の思う家族像を具体化していくことができたのだ。
そして、一番大事な部分となる修太の成長に関して
一年がかりで脚本を直していくたびに毎回、違う結末や違う展開が生まれた。
大きな分岐点は美鈴という新しいキャラクターを作り出したことだ。
美鈴は修太の唯一の理解者であり伴走者だ。常に修太に寄り添っている。
美鈴は常に修太を包み込み優しく見つめる。
その存在がいなければ修太は一歩先へと進めない。
美鈴がいるからこそ修太が存在できるのだ。
その後、修太の内面や心の成長をどう表現するかに重点を置き、
松尾と推敲を重ねた。その数、17稿。
本当に苦悩の連続だった。
映画として完成した
今となっては自分の好きな展開、伝えたいこと、家族ってなんなんだろうという?疑問への答えを少なからず表現出来たのではないかと思っている。
つづく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?