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[小児科医ママ] ジェルシートで、熱は下がりません。
「熱さまシート」や、「冷えピタ」などで知られる、
冷却ジェルシート。
お熱のお子さんに貼るだけなので、
重宝しているご家庭も多いと思います。
熱を下げる効果はないこと。
正しい使い方のポイント。
今回は、そんなことを解説していきます。
ジェルシートで、熱は下がりません。
ひんやりしている感じがあるし、
名前も「熱さまシート」だと、
熱を下げる効果もあるのかな?
と思われるかもしれません。
結論からいえば、ジェルシートで、熱は下がりません。
ジェルシートを貼ってひんやり感じられるのは、
ジェルシートの中の水分が、蒸発するからです。
「蒸発する=水が気体になる」ときに、
貼った部分の熱をうばうので、
一時的にひんやり感じられるだけです。
ジェルシートを貼っている肌の表面が、
一時的にひんやりしたところで、
体全体の熱は下がりません。
ジェルシートによる、窒息事故も。
生後4か月のお子さん。
お熱が出ていたので、ジェルシートを貼って、
保護者の方は、台所へ。
目をはなしたすきに、
ジェルシートが赤ちゃんの口へ。
知らぬ間に窒息がつづき、気づいたときには、意識不明。
脳に重い障害が残った。
そんな事故が、2004年にありました。
ちょっと目をはなしたすきに。
うっかり、親御さんが寝てしまったすきに。
おでこに貼ったジェルシートが、
いつ、お子さんの口や鼻をふさぐか、わかりません。
ジェルシートは、親子とも、必ず起きている状態で。
とにかく、ジェルシートを使うときは、
親御さんもお子さんも、必ず起きている状態。
というのが必須です。
逆に言えば、必ず起きてみていられる状態であれば、
解熱剤を、使えない月齢(生後6か月未満)。
解熱剤を、飲んでくれない。
解熱剤が、手持ちにない。
こんなお子さんに対して、ジェルシートを使うことで、
清涼感や、さっぱりした感じを、
与えてあげられるかもしれません。
また、お子さんが嫌がらなければ、
・くびの横
・わきの下
・太もものつけね
など、大きな血管が通った場所に、
アイスノンなどを当ててもよいでしょう。
(長野県佐久医師会の「教えて!ドクター」のうち「熱中症」のイラストが、わかりやすいので、リンクをはっておきます。「熱中症」でなくても、熱が出た時に冷やす場所としては同じです。)
少しでも安全・安心に、お子さんのケアができるよう、
これからも医学的な情報を発信していきたいと思います。