冬木春央/方舟 読了 レビュー
こんにちは。
最近はストップしていたのですが読書の秋ということで、本屋で3冊調達。
今回は、そのうちの一冊 トラウマ級ミステリー小説をご紹介します。
こちらの本は、よくチェックするおすすめ本を紹介されているYouTubeチャンネル『出版区』にて、
宇垣美里さんが「読了後に思わず放心状態になった本」で紹介していたのを見て初めて知りました。
https://youtu.be/sJRBsuxyE6M?si=jzcOC6SwC-Uc49cu
🔼4:40~『 方舟』紹介
最後のどんでん返しが衝撃だと話題の『方舟』。
それを知っている上で読んだのに、最後の最後のエピローグで予想をさらに裏切られてまさに衝撃の結末でした。
もし自分が同じ環境にいたら、この主人公だったらどうしていただろうかとしばらく考えさせられ虚無状態に。
「9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か?
ーーだれか一人を犠牲にすれば脱出できる。
生贄には、その犯人がなるべきだ。
ーー犯人以外の全員がそう思った」
自分がもし、誰かが死ねば助かる状況になったとき、
どうやってその“誰か”を選ぶか。
どうすればその“誰か”が死ぬことに、みんなが納得するのか。。
平常ではもちろん誰も死なずに済む方法を何としても探すだろうが、
1週間というリミットがあり、また密閉空間に閉じ込まれたなか、
次々と殺人が起こり、全員は極限状態にあった。
何が正しいかわからない状況のなかで、
犯人が生贄になることに賛同し、
みんなは元の暮らしができるのを夢見ていた。
テレビで天災や戦争、事故・事件で命を落とすニュースを見ると
胸を痛めることもありますが、
それでも「自分が犠牲になればよかったのに」と考えることはありません。
この話のように特殊な状況にもし自分が居たら、
いっしょに居るのが大切な家族や友人、恋人だったとしても
自らを生贄にできるのか。
しばらく考えさせられる一冊でした。
地下建築に閉じ込められたメンバーのうち一人 柊一(一番人間味がある)の目線で物語は展開されていくのですが、
読者が犯人探しをたのめるようにか敢えて人物描写はさっぱりしています。
設定もシンプルでサクサク読めて、一気読みされる方も多いそう!
夕木春央さんの著書は初めてだったのですが、
『絞首商曾』『サーカスから来た執達吏』も人物像がもっと色濃く描かれていておもしろいそうなので、ぜひ読んでみたいです。
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000379000