アイワナビーアギャングスター
『Empire of Sin』というゲームがあって、これはPCゲーム黎明期にDOOMとかを開発したゲームデザイナーのジョンロメロが作ったROMERO GAMESというスタジオが出したストラテジーゲーム。ストラテジーゲームが好きなゲーマーはparadoxというゲームスタジオのことを知ってることが多いんだけど、『Empire of Sin』もこのparadoxが発売元。
『Empire of Sin』は、プレイヤーが1920年代のアメリカのマフィアのドンになって街を支配するという設定のゲーム。プレイヤーはアルカポネとかの何種類かいるドンから一人を選んでそいつになりきり、手下を雇って街を練り歩いたり敵対勢力のマフィアと抗争したりしながら街の支配権を拡大していく。
クリエイターのジョンロメロは『ダンジョンズ&ドリーマーズ』というPCゲーム黎明期の出来事を描いたノンフィクションの本に名前が書いてあったので知ってる。この本によれば、PCゲームの歴史というのはまず、TRPGをいかにPCで再現するか、みたいな試みがあった。この試みの中でまずゲームはシングルプレイヤーゲームとして提供された。それが多人数で遊べるMMORPGへと進化していったのだが、そういったRPG路線とは別にオンラインFPSの流れが生まれ、その代表格だったのがジョンロメロの制作したDOOM。というような話が書いてあった。それがだいたい2,30年位前の話。この本には、インターネット黎明期の時代と重なる時期のPCマニアとかギークの連中がうごめくノスタルジックな風景が描かれていて、まあここに書いてあることだけが真実ではないのだろうが、読んでると昔のオタクは最高だなって感じにはなる。
一週間くらい前にtwitterでジョンロメロのインタビュー記事(今読み返そうと思って検索したけど同じ記事が見つからなかった)が流れてきて、それによるとジョンロメロの奥さんおよび六人くらいいる子供の三人がゲーム開発者をやっているらしい。今は自分のゲームスタジオを立ち上げて家族も参加してるらしい。へーすげーって感じで記事を読んでたら最新作の『Empire of Sin』ってタイトルが出てるってことが書いてあって、それによるとジャンルはシミュレーションゲームであり、ゲームのビジュアルも『XCOM』っていう滅茶苦茶面白いゲームにそっくりだったのでがぜん興味がわいて買おうと思ってsteamで調べた。
steamというのはPCゲーム用プラットフォームで、クレジットカードで金を払ってゲームを購入するとそのままダウンロードして遊べる。ゲーム版amazon.co.jpって感じ。使ったことある人は知ってると思うんだけどsteamで売られてるゲームはユーザーがいいね感覚で評価&コメントすることができて、その結果みんながすげー面白いと思うゲームは『高い評価を得ています』、みんながすげーつまんないと思うゲームは『圧倒的不評』みたいな感じで評価されるようになってる。『Empire of Sim』の評価に関しては『評価が割れています』みたいな、好きな人もいれば嫌いな人もいる、という感じになっていたから、それを見て買おうかすごい迷った。
で、どんな感じに割れてんのかなと思って評価をいろいろみてくと、わりと悪評が目立ったので、いよいよこれはやべーってなった。steamはワールドワイドなプラットフォームだから日本人以外にもアメリカ人とか韓国人とかが自国語で思いのたけをコメントしていくんだけど、過激な英語ニキなどは『ジョンロメロは過去のレジェンド。てめーはもう二度とゲーム作んなカス』みたいな意味のことを書いてたりして、そこまで言わなくても……って感じで面白かった。
しかし気を取り直して評価を時系列に並べなおすと悪評は発売当初(半年前くらい)のコメントに多く、最近はわりと高評価が付いてることがわかった。これはどういうことかというと、最近のゲームは発売したらそれで制作が完了するわけではなく、ユーザーの評価などをフィードバックしてバグフィックスしたり機能を追加したりバランスを調整したりすることが多い。そのため最近の評価がわりと高めということは、半年間のアップデートにより、最初つまんなかった部分がわりと改良されてきたということなのだろうと思って買ってインストールした。
その結果、なぜかゲームが立ち上がらないという謎の現象に遭遇した。まじかよと思って再インストールを試みたりするも改善できず、頭の中のゲーム脳が『ファック。ぶち殺すぞくそが』みたいになりながら『Empire of Sin クラッシュ』みたいな単語でググって対処法を調べたりした。その結果、 https://support.paradoxplaza.com/hc/en-us/articles/360010684620-My-launcher-doesn-t-work-my-game-wont-start- という記事が見つかり、これによると、ゲームを立ち上げるための『paradox lancher.exe』とやらがぶっこわれてるため再インストールが必要らしいことが分かったので手順に従い不要ファイルを全部消してPC再起動してもゲームが立ち上がらない。ひょっとしてゲーム自体も再インストール自体する必要があるのか? みたいな感じで合計三回くらい再インストールを繰り返すなどしたのだがさっぱり起動しない。
まじかよ……。でも返品するのはヤダ。と思って再度ググりなおしたら、 https://support.paradoxplaza.com/hc/en-us/articles/360018515360-Bootstrapper-error-Couldn-t-start-launcher- という記事が見つかって、これによると『Start steam.exe as administrator (right click steam.exe > run as administrator)』ということらしいので、steamをいったん終了させたあとsteam.exeを右クリックして管理者として実行し、続けてEmpire of Sinを立ち上げたら普通に起動したのであきらめない心の重要性を再認識できた。
このような経緯で『Empire of Sin』をあそぶことができたのだが、内容としてはXCOMを軽くして街侵略要素を付け足したゲームって感じ。知ってる人がいるかどうかは分かんないけど、昔『フーリガンズ』というタイトルの、暴徒を率いて敵や警察と抗争を繰り広げながら街を支配するリアルタイムシミュレーションゲームがあって自分は好きでよくプレイしてたんだけど、それと雰囲気が似てたのもあって結構楽しめた。フーリガンの戦闘パートをXCOMに置き換えた感じがするゲーム。『フーリガンズ』はたしか18禁指定だったんだけど、同時期に同タイトルのエロゲも発売されてたから、『18禁のフーリガンってゲームがさー』みたいな話を振ったとき友達と内容が嚙み合わなくてあれってなったりしたんだよな。
なお、戦闘パートにおけるマップのサイズに関してはXCOM本家よりも、XCOM:キメラスクワッドというXCOMの派生ゲームに近い。『Empire of Sin』のゲームの攻略法として、自分的にはスナイパーがわりと最強と思ったので、仲間をスナイパーで固めて攻撃を当てていけばわりと何とかなった。しかしハードモードにするなどすると敵が硬くなりスナイパーで抜けなかったりする、みたなことがあると思うのでもっと別の攻略法が必要になってくるのかもしれない。知らんけど。
そんなわけでわりと最後までプレイしたわけだが、前半は滅茶苦茶面白かったけど、後半はやや失速した。というのも自分のプレイスタイルだと中盤-後半から作業ゲーになってきたので、設定でゲーム難易度を上げるか独自の縛りを作るとをかしたほうが楽しめる気がする。
なお、男女平等の流れかどうか知らんけど、敵マフィアのドンとか戦闘員の半分が女性なのが面白かった。というのも、マフィアは完全な男社会で女は所有物扱いである、みたいな内容のことを以前どこかのノンフィクションで読んだ覚えがあったので、それなりの地位にいる女ギャングがたくさん出てくるのを見てあれって思ったのだった。まあゲームになった時点でフィクションだからな。それにひとくくりでマフィアといってもゲームは1820年代の話であり、時代によってはいろいろ事情が違うのかも。日本の侍だって、戦国時代と江戸時代では全然違う感じだもんな。
みたいなことがあった。