応援うちわと私の10年
最近、韓流アイドルの現場映像を見ることが多く、うちわが世界的に浸透しているんだなということを実感したので、この10年ほどに日本で体験した応援うちわカルチャーについてメモしておこうと思う。
新型コロナが流行る中、様々なカルチャーの歴史の断絶を体感しているので記録しておこうという思いもある。
最初に書いておくが、「応援うちわ」とは基本的にはアイドルなどの名前や「投げキスして」などの文字が書いてあるうちわのことを指す。
2010年東急ハンズのうちわ作成サービス
応援うちわを人生ではじめて作ったのは2010年のことだ。TEAM NACSの2年に1回あるコンサート企画、「CUE DREAM JAM-BOREE 2010」 でアリーナ前方が1回とれたので、出演する当時おっかけていたバンドのためにネタ的に用意した。このときにはまだ「うちわは恥ずかしいもの」という認識があり、バンドメンバーには一部すごい嫌がられました。ごめんなさい。TEAM NACS向けのうちわを持った人もこの時には見なかったです。
作成には、文字作成サービスも高いなあと思いカッティングシートのみ東急ハンズで購入、文字を自分でネットプリントして100均で買ったカッターとカッターマットを使って池袋の地下の喫茶店で作った。この時にはすでに東急ハンズの紙コーナーで、応援うちわ向けに文字カッティングサービスがありました。
2015年初夏、ジャニーズ公式ジャンボうちわを買う
2015年6月、生まれて初めて行ったジャニーズのコンサートが「NEWS LIVE TOUR 2015 WHITE」の東京ドーム公演。この時はまだ紙チケットで、NEWSのドーム公演も3階席なら定価で譲ってもらうことが可能だった。
そしてこのときに初めて顔写真がでかでかと印刷された公式グッズ「ジャンボうちわ」を買ったのだった。ジャニーズの公式グッズの「ジャンボうちわ」はその名前の通り、通常のお祭りや街頭で配られるサイズよりも一回り大きい。
コンサートではメンバーの名前やメッセージを書いた応援うちわを実際に目にして感動したことを覚えている。
※ジャンボうちわは縦285×横295mm、持ち手135mmでA4サイズに収まらないので多くのファンがカバンからうちわを覗かせることになる
2015年夏、サマソニでBTSファンのスローガン文化に衝撃を受ける
2015年8月、防弾少年団ファンにSUMMER SONICに行くと言ったらBTSをぜひみて欲しいというリクエストを受け見に行った。(当人は「単独公演だけで追いかけるのに手一杯なのでフェスのようなものはもう行かないことにしている」ということで来なかった笑)このころの彼らはまだまだHip Hop売りをしており、バスケットボールの選手のような格好をした人たちなんだなあという印象を受けた。ダンスもラップもうまいのだが、如何せんこちらは生音のバンドサウンドを求めてフェスにきており、録音音源にのせて踊る彼らはMCもなくて真剣さは伝わってきたが、ダンスすごいねー、くらいだった。幕張メッセの屋内ステージでは一番小さいレインボーステージで前方に固まった100人くらいの女子たちが片手にアミボム(ペンライト)、片手に黒字に蛍光色の文字のボード(K-pop系では「スローガン」と呼ぶ)を持っていてびっくりした。なぜなら私の知ってる応援文化ことジャニーズのコンサートではボードは禁止、うちわを胸よりも高くあげることは禁止だったからだ。さらに、iPad状のものにメッセージを表示させてステージに見せている人もおり、異文化を感じたのだった。顔写真うちわは持っている人がいた記憶がない。
この日のレインボーステージはこの後は郷ひろみで、今度は大量のメタリックテープでできたポンポンを持ったお姉さまがたにもまれながら楽しく見た。
2015年秋、個人間取引としてのうちわ制作
はじめてちゃんとメッセージうちわを作ったのは「ARASHI BLAST in Miyagi Concert 2015」のとき。友人がネットで個人に発注して(業者のように受けている個人)3Dうちわを作ってくれた。3Dうちわは名前やメッセージなどを発泡スチロールなどで若干浮かせて作ったうちわ。ステージから見て目立つのかどうかはわからないがジャンボうちわよりも重いので持っていると疲れる。あと、遠征のときにはどのように収納するか結構難しい。
このころはネット上で1文字数百円程度でうちわ制作を請け負う個人が結構いた。各名前やニックネームごとに文字を作らなくてはならない上に、貼り方や色にも流行がある。そのカスタマイズ度の高さがそういうことになったのだと思う。当時の決済はヤフオク!だった。
2015年冬、アングラな雰囲気が漂っていた「うちわ販売店」
2015年12月「NEWS LIVE TOUR 2016 QUARTETTO」東京ドームが自名義で当選し、ステージに近い座席だった。この時に近くにいたギャルめのお嬢さんが持っていたのが「スケッチブック型うちわ」だった。どういうことかというと、画用紙をうちわ型にくりぬいておいて、めくれるようにしたものである。1回書いてはめくり、次のページにまた新たに書いていく・・・。演者はある程度1箇所にとどまって踊ったりするのでその間はマジックペンの太い方で書けば読んでもらえるのだ。ジャニーズアイドルのうちわ読みとり能力はすさまじく、うちわに貼り付けておいたある程度の長さの手紙を読んでもらったというエピソードには数えきれないほどある。
白いうちわをたくさんもってきておいてその場でメッセージを書いて掲出するというやり方の人に出会ったこともあった。ジャンボうちわよりも大きなサイズのものを掲示することは許されていないが故の様々なコミュニケーション手段であったと思われる。
さて、2015年のこのツアー向けに私は原宿の「もじパラ」に足を踏み入れた。
アイドルの名前にカッティングシートを切ったものを売るお店で、ジャニーズをはじめ主に男性アイドルの名前のシールを販売しており、私が作りにいった時点でハングルもあった。カスタムで注文することもできる。2015年の時点では東京は原宿と東京ドームにお店があったと記憶している。
そしてこの頃すでに、ジャニーズ公式サイズのうちわをダイソーで売っていた。もじパラ原宿店で応援文字を発注し、原宿のダイソーで黒いうちわを買って貼り付けたのだった。
2017年、3coinsのうちわケース発売の衝撃
2017年もうちわを作った。「NEWS LIVE TOUR 2017 NEVERLAND」では公式うちわをシールやレースでデコった人が多く見受けられ、入り口にうちわサイズ確認用の台があった。
この頃にうちわ入れとして10代〜20代に広く広まっていたのが、姫系ブランドMaison de FLEURのトートバッグであった。ジャンボうちわの柄まで入るバッグというのはなかなかないのだが、ちょうどこのトートバッグは入ったのだ。5000円以上したが、相当売れたんじゃないだろか。
で、この2017年夏、3coinsがうちわケースを発売した。
大量生産しないと採算がとれないであろう均一価格のショップで、オタク向けのグッズが発売されるということ自体が衝撃だった。のちにサンリオも推しグッズとしてうちわケースなどを発売することになる。
この手の「グッズを保管する」のはしりはタワーレコードだと思っていて、コンサートでステージから降ってくる「銀テープ」をキーホルダーにするグッズが2015年から発売されていたのだった。
2018年も2019年もうちわを作ったのだが、もうすでに作り込むのも面倒、お金をかけるのもなんかシャク、とオタク後期に入っており、セブンイレブンのネットプリントでうちわサイズにメッセージを設定して印刷できるアプリを使っていた。
2021年現在、世界に広がる応援うちわ文化
今はうちわにも昔あったような本当に1ミリも見せたくないくらいの恥ずかしさが消え、好意的に使われているように感じる。
K-popアイドルの公式グッズにも顔写真うちわは存在するし、新大久保でも多くの写真うちわが販売されている。さらに創造営(中国のアイドルサバイバル番組)でも名前のうちわを見た。韓流俳優のオンラインファンミーティングでも世界中のファンが名前うちわを持っていた。
タブレットやスマートフォンでメッセージを表示するという行動も出てきてはいるものの、絶対に失敗せずに一瞬で表示する、という機能においてうちわは有能なんだなと再確認している次第だ。
参考記事:
ドームコンサートの天井席でも負けない!「視認性」をとにかく追求した応援うちわを作ってみる
2015-12-17
https://srdk.rakuten.jp/entry/2015/12/17/110000
30分で完成!?正しくないジャニーズ応援うちわの作り方~邪道編~
http://jma.hateblo.jp/entry/2013/03/27/120150
EXILEファンには推しの顔をフェルトで作って首からぶら下げる文化があるらしい(2016/8/13)
https://togetter.com/li/1011480
タワレコ推し色・推し活グッズ
https://tower.jp/site/goods/recommend-goods/
【3COINS】Twitterで話題のペンライトケースを買ってみた【VSトンチキペンラ】
http://mpn8mpn.hatenadiary.jp/entry/2017/07/04/230310
サンリオ #推しのいる生活
https://shop.sanrio.co.jp/special/oshilife/
ジャニオタ必携アイテム「うちわ」について調べてみました。
https://yuzukonbu.hatenablog.com/entry/2018/03/09/031849
うちわ文字作成!ファンサーズ
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.shinpia.macuser.fanserz&hl=ja&gl=US