ジェンダー日記#4 某大学院修士論文インタビュー(オンライン)
Sayaです。先週末、ジェンダークリニックに2ヶ月ぶりくらいにいったら、ここ数週間の鬱の波(底辺期)の余波なのか、我慢してきたことをぜんぶ話すうちに涙が止まらなかった。今この瞬間は落ち着いてるけど…。
さてタイトルのとおり、私が所属しているサークルを経由して、大学院生からインタビューの依頼があったので申し込んでみた。
研究室で用意したセキュリティがかかっているアカウントを案内されて、ログインできたところで研究の説明等を口頭でしてくれて、同意書のことも説明を受けてからインタビュー開始。
おもに小学生、中学生、高校生のとき、のことを話した。それぞれの時代で、性自認の揺れ・ズレを気づかせるような出来事があったか、など。
私はプロフでも書いてる通りの人生を送ってきたんだけど、もうちょっと掘り下げて思い出して話をした。思い出したくない事もあったけど・・・。
幼少期、私はものすごい肥満児で、なんせ小学校入学時に35キロあったのを覚えてる。普通のこどものほぼ2倍だろう。そんな見た目だったから、当然ついたあだ名は「ぶた」「でぶ」。ひたすら泣いてた私を父は「男がそんなことで泣くな」と言っていたっけ。とにかく厳格に男とは・女とは、を強要する人だった。だから泣きついてもどうにもならなかったし、でぶ・ぶたと罵られる日は続いたわけだ。
幸い、スイミングスクールに通い始めてからは身体も成長し、脂肪も筋肉に徐々に変わっていき、小学校高学年になる頃には肥満児という外見ではなくなった。でも代わりに、県内の合宿や大会で一緒になったとき、他のスイミングスクールの同級生や先輩から、「ゴリラ」と呼ばれるようになった。なんだったって、そうそう「ベン・デイビス」。ファッションブランドのロゴマークが、ゴリラだったこともあって、私は高校を卒業するまで「デイビス○○」と呼ばれ続けることになった。
インタビューの途中で、私が気づいて話したことだけど、こういう外見でマウンティングをする・される、っていうのは、男社会特有なんじゃないか、と思う。たぶん、これが女の子同士だったら、表立って外見をネタにして、相手を下にして、自分を上にする、しかもそれを恒久的に(飽きることもなく)続ける、なんていう幼稚さは無い気がする。
大学は部活の(水泳の)男子寮で4年間過ごしたけど、同じことが続いた。殴られたり蹴られたり、なんていう肉体的ないじめじゃなくて、外見をネタにしたからかいが続いた。大学生は、もうちょっと大人のあつまりだと思ってたんだけどなぁ。とにかく、私は「ブサイク」ということで認識されて、事あるごとにみんなの前でそう呼ばれることも多かった。コーチも一緒になって私の外見や、少し女の子っぽいところ(仕草とか趣味とか)をいじってくるのだから、今考えると手に負えない。
きっと、男って、相手を自分より下か上か、確認せざるをえない生き物なんだと思う。群れをつくる必要性は人によるけど、階級が上なのか、下なのか、会話の端々で牽制しあっている気がしてならない。はっきり言って、とっても疲れる。いつも鍔迫り合いをしているような感覚だ。
「どーでもいいよ、放って置いてよ、それよりも一人でイラストの練習したいよ」って思ってた。でも放って置いてはくれない。すれ違うたびにあだ名で呼ばれて、っていうのはずっと続いた。
おまけに、部活をしている、という理由で、「短髪」を強制されてきたのも私には嫌なことだった。せめて丸いフォルムを作りたい、って思っても無理だったし、言われ続けた「ブサイク」「ゴリラ」「ブタ」という蔑称は、私の自尊心を尽くバラバラにしてしまっていた。それもあって、どうしても「美少年キャラ」「女装してるけど、それを歯牙にもかけずまっすぐに生きているキャラ」の方に強く惹かれた。
「男だけど女の子の格好して何が悪いの?」そう問いかける彼らは、私の憧れだった。まだまだ性自認について理解が得られていない時代で、しかも田舎。男女二元論が強力に居座っていた時代の最中のことだった。
インタビューでは、「その時々で、誰かに相談できたりしましたか」と聞かれた。できたわけがないよ。父はあんな人だったし、かと言って母が私を養護してくれるとは思えなかった。大人に言ってもこの感覚(同性への嫌悪、美醜に関する強いコンプレックス)を分かってくれるとは思えなかった。だってそういう時代だったから。
予想できた答えは、「男として、そう自己嫌悪するほどの外見じゃないよ」っていう答えだった。その「男として」というのは不要だったけど、大人はみんな、「男なら…」「女なら…」と言っていた時代だった。
上戸彩が演じた性同一性障害の少女(=少年)は、みんなが衝撃を受けたと思う。このあたりの話については、2回めのインタビューですることになった。
…嫌な時代を思い出したなぁ。
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