(読了)絶歌 - 神戸連続児童殺傷事件【元少年A】

こんなに気持ちに整理がつかないのは初めてだ。

正直、感想と呼べるものを書ける自信もないし、そんな風に何かを語るべき本ではないと思う。

これは、中学生の時にある殺人事件を起こした元少年Aが、生い立ちから少年院入所、出所後の生活までを記録した告白本である。

たまたまこの本を図書館で手に取り、最初の一行を読んで借りることを即決した。

文体は重厚で、恐るるべき豊富な語彙で一文一文その全てが情景豊かに描写されている。

故に読むに堪えない箇所も随所にあり、吐き気を催したりもしたが、これは私の人生を変える一冊になると読みながらに強く確信した事も確かだ。

超えてはならない一線を越える事の想像を絶する世界、地獄にいても手を差し伸べる人の存在、これらは本当に私の生きている世界で起こった、もしくは今も起こっているのだろうか?

私はこの本を読み進めて良いのかずっと迷いながら読んでいたし、何かこの本について述べて良いのかすら今もよく分からない。

踏み込んだ事を言えば必ず誰かが不快な思いをすると思った。人殺しはいけないとか、サイコパスだから一生社会不適合者だとか、そういった一言にまとめようとする事は到底不可能かと思う。

真にこの本を読んで胸が震えた。

良い本、悪い本、考えさせられる、怖かった、そういう震えではなく、とにかく全てを凌駕する説明しようのない感情に陥った。

としか今の私には言いようがない。

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