付き合いの長い、旅の仲間の話
新成人のみなさま、成人おめでとうございます。
私はといえば、赤い着物を着て成人式に参加してから8年も経ってしまった。学生の頃と今とを振り返って、付き合いの長い友人たちのことを思い出す。学校が同じだったというただそれだけなのに、今も付き合いの続いている友人たち。私が人生を振り返る上で、また今後の人生を見据えていく上でも、彼ら彼女らの存在はもはや欠かせないものになっている。
学生時代からの友人の話
社会人になってからも学生時代の友人とはよく会う。私にとっては、なんの損得勘定も抜きに羽を伸ばせるのって学生時代の友人が多い。10代や20代前半の私も知っている人たち。当時は本当に幼くて、成人を迎えてもまだまだ全然子どもで。自分にも他人にも許せないことが多かったと思うし、今よりも極端な考え方をしていたと思う。そんな自分を知っていてもなお、今も付き合いを続けてくれている存在って本当にありがたい。
時が経って、私たちは大人になった。結婚した友人、出産した友人、家を建てる友人、仕事で有名になっていく友人。自分のやりたいことを追求する友人。趣味を真剣に楽しんでいる友人。数年前は同じ学び舎で同じような服装をして同じような遊びをしていたのに、なんかもう、色々だ。
会って話して、わかること
学生の頃に比べて、「悩みや考えることが現実的なことばかりになってきたね」「ほんとだね」と笑う。一生懸命それぞれの人生を生きているのを、たまに会ってたしかめあう。そういう休日に元気をもらって生きている。
会って話すとわかるのだけど、頑張ってない友人なんていないなと思うし、私もきっと頑張っている。がむしゃらに頑張るだけではだめなことも最近やっとわかってきたのだけど、それでもまずは「自分も頑張っている!」ということを認めてあげたい。そして「友人も頑張っているから私も頑張ろう」という気持ちになれる。
会って話すとわかるのだけど、みんな置かれた境遇の中で少なからず悩みもしている。SNSが普及して、会っていなくてもみんなの近況を知ることができるようになって、隣の芝は青いところだけ見えがちな時代になった。あの頃はみんな同じスタートラインにいて、同じことをやって同じことに悩んでいれば良かった。大人になると、みんな違うことで悩むようになる。仕事も人間関係も結婚も出産も、全部違う環境になってしまう。それで寂しい思いや劣等感を抱いてしまうことだって、少なからずある。
だけど、楽勝で平坦な人生なんてきっとどこにも無いんだと思う。置かれた立場や境遇が違っても、みんなそれぞれのところで、目の前の壁に日々立ち向かっている。違う立場に思いを馳せて、相手の気持ちを想像しながら会わない間の出来事を話すのも楽しいし、自分一人じゃ知りえなかった世界が広がっていく。
友人は、連れ立っていく旅の仲間だ
違うルートで道を進んで、合流地点で自分の来た道の出来事をお互い話したりして。そしてまた自分の道を進んでゆく。何度も合流するようなそんな旅の仲間を、私は大切にしたいな、なんて青臭いことを思ったりする。
インスタントなものがありふれている世の中。SNSの投稿だけじゃ、その人の本当のところはわからないように思う。本当に大切な旅の仲間には、時間を作って会いに行こう。たくさん話そう。思い出も作ろう。そうやって、インスタントじゃない関係を育てていこう。次の合流地点を楽しみに、目の前のやるべきことをしっかりやっていこう。私の旅の仲間たちは、そんなモチベーションを与えてくれる唯一無二の存在です。
ノモトサヤ