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啓蟄(けいちつ)と、無知と

狂ったように雪の写真をたくさん撮ったのに、どんな文章と一緒に公開しようか?なんて考えていたらあっという間に春がやってきて、公開するタイミングを逃してしまった気がする。



啓蟄(けいちつ)、という言葉は去年初めて知った。

春になって虫や植物、様々な生き物が動き始める様。冬ごもりの虫たちが蠢き(うごめき)始める様、またその節気・季節をさす春の季語なんだそうだ。

2018年の啓蟄は3月6日だそうで、この文章を書いていてふと調べたらまさに今日だった。



「知らなかったことを知ってしまえば、もう知らなかった頃の自分には戻れない」


これは恩師がぼそっとつぶやいた言葉なのだけど、夏至や春分を意識するのと同じように、これからは啓蟄の季節も肌で感じながら生きていくことになるんだろうな。

知らなかったことに名前がつくこと、名前がつくことで自分の中に迎え入れること、この発見して感動するという過程がとても好き。
だから今よりも無知だった自分に戻りたいとは思わないし、過去の自分は今の自分とは全く違う存在だと思う。無知で失敗ばかりしていた自分が今の私をつくっていると思えば、過去のだめだめな自分ですらちょっと愛おしくなってくる。
(過去のだめだめな自分はふしぎと今のだめな自分よりも受け入れられる、なんだかふしぎ)


少しずつかしこくなりながら、新しい私ができてゆく。
春はもう始まっている。

2018.3.6

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ノモトサヤ
イラストレーター・グラフィックデザイナーです。写真も撮ります。持ち味は柔らかさ、あたたかさ、親しみやすさ。 http://sayanomotoimg.tumblr.com/