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会社タイプ別・エンジニアのキャリアの選び方

日本のIT業界でリクルーターとして働いています。

これまで外国人のエンジニア専門だったので、そもそも日本のIT業界の構造すらちゃんとわかっていませんでした。。

なのでここで整理しつつ、どのような方がどのようなタイプの会社に入るのがおすすめか、検討してみたいと思います。

あくまで個人の考えですので、参考程度に読んで下さい。

基本的な会社タイプのカテゴリ


大きく分けると

①Web系事業会社

②Web系受託開発会社

③コンサルティングファーム

④SIer

⑤SES・派遣

の5タイプに分けられるのではないかと思います

事業会社には

①-1 スタートアップ

①-2 メガベンチャー

①-3 大手上場企業

という感じで分けられるかと思います。

大手上場企業の中はさらに、IT企業と非IT企業に分けて考えると分かりやすいかも。

メガベンチャーと大手上場企業の境目はよくわかりません、あくまでも個人のフィーリングです。

またスタートアップもシリーズによって全然違いますが、ここではひとまとめで考えたいと思います。

次にコンサルティングファームとSIerがあります。この違いを説明するのはなかなか難しいですが、ビジネス課題をITの力で解決することを目指しているのがコンサル、作りたいシステムを作って提供するのがSIerという考え方もできるでしょうか。(この限りではありません。)

そしてSESと派遣会社が存在します。

またどこに入れたら良いか微妙だったので、外資系ITという非常にふわっとしたカテゴリも、おまけで作ってしまいました。ここは今回注力しません。

加えて、最近優秀なエンジニアをかなりの給与で採用している、このカテゴリには当てはめにくい会社=大手企業の関連会社も紹介します。

会社の例

バイネームの方が分かりやすいのでまとめてみます。

事業会社(スタートアップ)

SmartHR、SmartNews、iCARE、Andpad、dely、ユニファ、Findy、LayerX、10X etc.

事業会社(近年上場)

freee, Sansan, マネーフォワード、Gunosy, ラクスル、ココナラ、Chatwork etc.

事業会社(メガベンチャー)

Yahoo!、楽天、サイバーエージェント、グリー、mixi、DeNA、LINE、グリー、DMM.com、メルカリ、GMOインターネット、デジタルガレージ、アカツキ、ブレインパッド、エニグモ etc.

事業会社(大手上場企業・IT企業)

NTT、ソニー、任天堂、ソフトバンク、スクエアーエニックス、日立製作所、パナソニック、U-NEXT etc.

事業会社(大手上場企業・非IT企業)

Fast Retailing、リクルート、セブン&アイ、カインズ、良品計画、グロービス、星野リゾート、Metlife etc.

受託開発会社

SHIFT、モンスターラボ、Fenril、ゆめみ etc.

コンサルティングファーム

アクセンチュア、ボスコン、PwC、EY、マッキンゼー、アビーム etc.

SIer

元請:

NTT DATA、NTTコミュニケーションズ、NRI、日鉄ソリューションズ etc.

二次受け:

NTTコムウェア、日立ソリューションズ、SCSK etc.

SES・派遣

SES:

富士ソフト、オプティム、コムチュア、システナ etc.

派遣:

アデコ、テクノプロ、アウトソーシングテクノロジー etc.

外資系IT(おまけ)

Google, Amazon, AWS, Microsoft, Salesforce, SAP, Oracle, VMware, IBM etc.

それぞれが求めているエンジニアの違い

事業会社、コンサルティングファーム、SIer、SES・派遣の4タイプの中で分かりやすいところからいきたいと思います。

SES・派遣会社の求めるエンジニア

SES・派遣は未経験エンジニアの受け皿になっている感じです。ただクライアントワークにはなるので、コミュニケーション能力は重視されています。技術よりコミュニケーションの感じかなと。

SIerの求めるエンジニア

次にSIerですが、これは一次受け、二次受け、、、と多重請負なので会社がどこに位置するのかによって変わるイメージです。いわゆる元請の大手SIerは実際手を動かすよりもシステムの設計がメインになることが多いため、よりハイレベルな技術力や地頭の良さが求められると言えます。またお客様との折衝も多いため、こちらもコミュニケーション力重視の傾向があります。SIerからコンサルへのキャリアアップも多く見られます。

コンサルティングファームの求めるエンジニア

コンサルはただシステムを開発するわけではなく、クライアントのビジネス課題を解決することがミッションです。もちろんITの知識も必要ですが、クライアントのビジネスや経営方針を理解し、業務改革に必要なより深いレベルの提案が求められます。またお客様の中でも経営層に違い方との折衝が多くなり、かつSIerなどのエンジニアとのスムーズなコミュニケーションも求められます。またプロジェクト全体をリード・マネジメントすることも多く、マネジメント力が求められるポジションも多くあります。ただ例えばアクセンチュアのように、ここ6年で約3倍の社員数まで増えており、社内で開発エンジニアも抱えておりSIer化が進んでいる企業もあります。なのでSIerとの線引きが難しくなっているケースがあるのも実情です。

事業会社の求めるエンジニア

事業会社は4つのタイプに分けましたが、求めている人材もかなり違います。クライアント向けの仕事じゃなくて自社サービスを持った事業会社が良い!と思ってもそれぞれ大きく異なるのでどこが自分に合いそうか見極めが必要です。

まずスタートアップですが、一言にスタートアップといってもシリーズによって求めているエンジニアが変わってきます。レイターステージだとメガベンチャーに近くなってくる傾向ですが、ここではアーリー・ミドルくらいのイメージで書きたいと思います。

まずほとんどの企業が重視するのは、ミッション共感・プロダクトへの興味です。もともとミッションを達成するために会社を作ったのですから求められるのは自然ではありますが、これがなかなかエンジニアにとっては難しい。社会課題の解決に興味のある方は多いですが、その中でもこれっていうのがない方もたくさんいます。実際触ってみて興味を持つこともありますからね。でもとにかくこれが重視されています。

あとは柔軟性。プロダクトの進む方向や使う技術等も頻繁に変わることは珍しくありません。エンジニアとしての領域もバックエンドだけではなくフロントもやったり等、比較的フルスタックな人が求められることが多いです。(特にアーリー)

これがレイターやメガベンチャーになってくると少し様相が変わります。プロダクトへの興味はそんなに問われず(そもそもたくさんのプロダクトがあったりする)、どちらかというと技術力重視になってきます。やはり成長してきている会社はエンジニアの技術力も高いですからね。なので技術が好きで常にキャッチアップし、色々なことにチャレンジしたり難しいことにもチャレンジしてきたという人が求められています。あとは組織の規模がある程度大きくなっているので、周りと協力して働けるかどうかといったコミュニケーションスキルもより求められているかなと思います。

次に上場企業ですが、メガベンチャーとの境界も曖昧であるものの、やはり通信系大手3社や日本のお家芸であるメーカーは今も強いのかなと思います。ただこのあたりの会社は中途採用のヘッドカウントがそこまでないのと、Webアプリ・システムの開発というより通信技術やIoT、ハードウェア系なので、一般的なWeb系のエンジニアは少しミスマッチなところもあるのかなと思います。(もちろん近年では活発に中途採用も行っている企業もあります)

各カテゴリの特徴

もちろん会社によって違うのでカテゴリで話すのは乱暴です。ただそれでも傾向はあるので、いくつかの視点で見ていきたいと思います。

給与

4つのカテゴリの中では一番はコンサルティングファーム、その次に大手SIer、メガベンチャー、大手上場企業が続くイメージです。(この優劣は特にありません。)
とにかく給与がほしいならコンサルです。大手SIerは事業会社のトップレベルの会社と同じくらいの給与水準かと思います。

一攫千金を狙うならアーリーステージのスタートアップという選択肢もあります。ただキャッシュの給与は低くなるということと、事業がうまくいかなかったらお金は入りません。ややリスクが高いとも言えます。

給与に関しては以下の記事にもまとめているので、よろしければ読んでみてください。


ワークライフバランス

やはりコンサルは他に比べて忙しいです。SIerも忙しいです。またクライアントワークなので急な〆切や対応が必要なこともあります。
あとはスタートアップも、まだまだ会社によって長時間労働がある会社もあります。事業を成長させるには一定必要なところと割り切れると良いかもしれません。
メガベンチャーや大手上場企業は、上記に比べると比較的ワークライフバランスの取れた働き方ができると思います。大きい企業なので制度もしっかりしており、フルリモートができたり(これは会社のポリシーによりますね)フレックスタイムがしっかり整えられていたりします。

技術

職種によるところも大きいので一概には言えませんが、あくまで傾向でお話します。

スタートアップは比較的新しい技術を積極的に取り入れられます。ただし使ってみたものの失敗だった、またやり直し、みたいなケースもゼロではありません。
対してメガベンチャー、大手上場企業はレガシーが残っていることもあります。が、これを新しくするというプロジェクトも多く動いている印象です。

SIerやコンサルはクライアントありきなので、技術についてもクライアントありきになるところが多いので、これも一概には言えないところです。どのようなクライアント・プロジェクトが多いのか、理解して入社されるのが良いかもしれません。

キャリアパス

まずプロダクトマネージャー系のキャリアを目指すなら、事業会社がおすすめです。やはりクライアントワークだと一つのプロダクトに長期的に関わることが難しいのと、あくまでパートナーであり自社社員ではないというところで、プロダクト周りの仕事に集中することは難しそうです。

手を動かすエンジニアのままキャリアを歩みたいということであれば、それも事業会社が良いと思います。最近はマネジメントをしなくても、技術のスペシャリストのまま上にあがっていける制度を作る会社が増えてきました。またCTOであったり、エンジニアのピープルマネジメントを行うエンジニアリングマネージャーという選択肢も、事業会社ではあります。

技術よりもマネジメントやコンサルティング、クライアントの課題を解決するところに進んでいきたい場合、SIerやコンサルティングファームが適していると言えます。が、事業会社からこのような仕事に転職される方も多くいるので、この限りではありません。

志向性

これもカテゴリで語るのはいささか乱暴ですが、傾向としてお話をすると、スタートアップで働く方は0→1や1→10が好きな方が多いと思います。これがメガベンチャーや大手企業になると10→100(100→1000?)が多いかなと思います。メガベンチャーや大手は採用基準もそれなりに高いので、優秀なエンジニアと働きたいとか、より良い給与・ワークライフバランスを求めて比較的安定的に働く方が多いところもあります。

SIerはどちらかというとお堅い感じで、まだ日本企業の体質が残っている企業が多い印象です。なので安定性という意味では非常に良いと思います。それに対しコンサルは例えば将来自分で事業をやりたいとか、そういった方も多い印象です。

どうやって選ぶのが良いのか?

上記の給与・ワークライフバランス・技術・キャリアパス、志向性の5つの中で、まずは優先度を考えてみられると良いかと思います。
そこからそれぞれの特徴を見比べて頂くと、少しわかってくるのではないでしょうか。
大きく分けるとやはり、自社のサービスに関わりたいのか、お客様の問題課題を解決したいのか、の2軸は大きいかと思います。もちろんこれらを行き来するようなキャリアも考えられますので、その時のやりたいことに合わせて動いてみるのも良いかと思います。
結局中に入って働いてみないとわからないこともたくさんあります。

最後に:ちょっと特殊な企業だけど結構待遇の良い会社

ここまで説明してきたカテゴリに当てはめることができなかったのですが、いくつか変わった会社もあるので紹介したいと思います。

Indeed

2012年にリクルートによって買収されたのが記憶に新しいと思います。海外展開の主軸として大きく成功している会社です。
もともと日本の企業ではないので、エンジニアチームはかなり国際色豊かで世界中から優秀なエンジニアをグローバルスタンダードで採用しています。つまり給与は相当高いです。

PayPay

2018年にソフトバンク、Yahoo!Japan、Paytm(インドのモバイルコマース会社のトップ)3社のジョイントベンチャーで設立された企業です。大企業の後ろ盾がありながらスタートアップというちょっと変わった企業になります。
ここもエンジニアチームはかなりグローバルで、給与レンジや働き方もかなり先進的と言えます。

Woven Planet

2021年1月に設立されたWoven Planet Group(ウーブン・プラネット・グループ)。自動運転関連ソフトウェアやスマート・シティなどの新領域を手掛けるトヨタ自動車の子会社です。
この会社では「Our work is done in English」と明言されており、非常に国際的な会社です。こちらも世界のスタンダードな給与と働き方が可能な会社の一つです。

最後は少し脱線しましたが、エンジニアとして転職する際、なにか参考になったら幸いです。
情報交換歓迎ですのでTwitterからぜひDMください!またまだまだ勉強中ですのでご意見も頂けたら嬉しいです。


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