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スウェーデン生活日記:寒くなってきたので朝ごはんを変えました

布団からはみ出た私の顔と肩に、ひんやりとした心地を感じる。冷たい空気が欲深く布団と私の体のあいだから入ろうと試みていることに気付き、私は隙間を埋めるように布団をかぶり直す。七時四五分の文字をスマートフォンのスクリーンから知らされる。スウェーデンはもうすっかり寒くなって、マフラーを纏ってお出かけするような日和になった。我が家は、連れとの二人暮らしであるが、季節によって決まった朝食がある。春は無糖のヨーグルトにブルーベリーと蜂蜜をかけて、コーンフレークやミューズリー(なるべく砂糖のないもの)をのせていただく。夏になると、たっぷりのフルーツと野菜をいれたスムージーを、そして、寒くなってきてからは、あたたかいオートミールをいただくことにしている。

 この習慣は、連れの家族、バックルンド家から受け継いだものである。彼らの冬の朝食は、オートミールに少しの塩と水をいれ、八〇〇ワットの電子レンジで二分四〇秒チンをして、ミルクと手作りのコケモモのジャムでいただくというもの。コケモモはスーパーでも買えるうえにIKEAでも見かけるベリーの一種である。ファルファル(farfar: 父方の祖父)の故郷、遥か北の土地、アリエプローグ(Arjeplog)には、たくさんのコケモモが9月ころに実る。なので、毎年秋になると、連れを含めてその時有給が取れる家族のメンバーが北にお出かけし、たくさんのコケモモを摘んできてくれる。我が家の冷凍庫にはコケモモが詰まった棚がまるまる一つあるくらいである。そのコケモモは、同じくらいたくさんの量の砂糖と一緒にぐつぐつ煮込まれジャムになり、使い終わったはちみつやピクルスの瓶に詰められる。

 八時一〇分ころ、テーブルの上には、エスプレッソカップに入った、連れのママからもらったレシピで作った自家製ジンジャー・ショット、チンしてから少しだけ冷めたオートミール、冷蔵庫から出した低脂肪ミルクと瓶詰されたジャム、私と彼のコーヒーをテーブルに並べる。私には少し濃いスウェーデンのコーヒーをすすりながら、彼のコーヒーカップをぼうっと見つめる。もうそろそろ来てくれないと冷めてしまうな、と思う。


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