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難民事例 その5 続き1(カメルーン 男性:30代前半)

 Eさんの話は作り話と思えませんでした。実際に家が焼かれた写真も動画も携帯に入っているというのです。だから、入管に対して、それらは提出できて説明ができるという事でした。
 これをうけてWELgeeの顧問である長岡先生に相談したところ、「彼は、ここで入管に認識変えてもらえないと、日本で働けずに生きていくのは難しく帰国したら殺されてしまうんでしょ。だったら、入管に説明するしかないんじゃないの」と言われました。Eさんは就労許可は出せないが、更新はしてもいいと入管に言われていたので、次の更新の時に私が申請書に事情説明の嘆願書を添えて、家を焼かれた証拠の写真、脅迫として送りつけられた知り合いが殺されているショッキングな動画も必要であれば提出できます、という言葉も加えて更新時の窓口について行って提出しました。

 しばらく待って入管からハガキが来て呼ばれたので、その日に入管で待ち合わせしました。そこで入管側からされた事は、通訳をつけて「あなたに就労は許可できない」という事を説明されただけでした。その通訳も彼はフランス語圏なのですが英語の通訳をつけられていて、通訳者が全く通訳のレベルでなかったらしく面接部屋から出てきて「通訳とマイクがひどすぎて、何を言われたかわからなかった」とひどく落ち込んでいました。そこで入管のスタッフさんに、その事を言って(というか、人の命に係わるような説明を、そちらが母国語のフランス語でなく英語の通訳をミスでつけて、かつ通訳のレベルもマイクもひどい状態でこんなのは、受けれられません。やり直してくださいという風な感じで言ってしまったのですが、、)かなり待たされましたが、フランス語でインタビューをやり直してもらいました。彼は前より、だいぶ明るい表情で面接部屋から出てきましたが事情説明は変わりませんでした。
 入管のスタッフさんに再度確認したところ、「この方はJAICAのプログラムで入国されて、それで難民申請をするのであればプログラム中でないと就労許可は認められないことが、一律で決まっています」という返事でした。なぜJICAのプログラム中の東北にいる間に申請したらよくて、終えてからでは駄目なのか?理屈がわからないです。プログラムを抜け出すなんで、そのために来日しているのに逆ではないかとすら、思います。
 「ただ、大学院もでていらっしゃるみたいですし、他の在留資格に変更されたら、どうですか」と言われました。簡単に言うなーと思いつつ、その言葉をうけて、そうか、就労許可がでていなくて特定活動のカードがもらえていずに、このパスポートにシールが貼られているだけの状態でも、他の在留資格を得られる可能性はあるんだ、と再認識したのです。

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