始まってしまうんだな。
きくちさやかが崩れていくのを側からぼーっと見ている感覚があったんだ
だけどそれをなんとも思わなかった
嬉しいとも悲しいともなんにも。
ぼーっとしている自分を側から見て、「恐怖を感じなきゃな」と少しだけ思った
何かを動かして動かなければ、「恐怖を感じなきゃな」という気持ちと一緒に消えてしまうかも。って思った
頭を回そうと思うことが難しかったから、運動みたいなことをして物理的に動いてしまえって。
なわとびをしてみた
気づいたら5000回飛んでいた
飛んでいる間だけ自分と自分を突き放して距離を取りながらも自分を抱きしめることができている感覚があったんだ
飛べば飛ぶほど自分が遠ざかっていく
他人は他人よりももっと遠い存在、人間として認識しなくてもよくなっていく
憧れていたあの人たちだけが味方になってくれているように感じる
自分の中に誰も入ってこない
自分すら入ってこない
でも味方はちゃんといる
心がぎゅってなったときだけ思い出せる、そんな都合のいい味方
もっと自分を壊していきたくなった
ぺったんこになったらどうなるんだろう
逆に反動でひょいっと立ち上がってしまう気がした
それがすごく怖かった
だからこのまま微妙でしんどいと感じるくらいが1番いいのかなと思った
上京してから1度も帰省をしていない
だからかホームシックになった
1日に3回は泣いていた
泣きすぎて、思いすぎて、一生家族には会いたくないとも思った
だけど大好きなのは変わらなかった
人生が終わる感覚がしたから、きっとこれから自分が始まってしまうんだなって思った
だから今から少しずつ準備をしようと思う
崩れて壊れて粉々になることは
きくちさやかには絶対ないことなんだ
根拠はないけれどそう思う
粉々になれるくらい強い人間ではないことは自分が1番知っている
っていうことにしておく。
よし。きくちさやかを始めなきゃ。
始めたいかもな。
って思ったよ