北米のスーパーマーケット巡りで思ったこと
「Google Cloud Top Engineer '24」を受賞し、4月にラスベガスで開催されたGoogle Cloud Next '24に招待いただいたので、それと絡めて2週間ほど北米に行ってきました。
現地のインフレと円安のダブルパンチで外食が信じられないほど高いので、スーパーマーケットで食料調達して、キッチン付きのAirB&Bで調理したりして食べてました。
早いものであれから半年以上経ってしまいました。年が変わる前に気づいたことを書いておこうと思います。
1. Amazon fresh 実店舗
Amazon が Whole Foodsを買収して、Amazon傘下の実店舗として展開しているチェーン店。そのシアトル近郊の店舗にいきました。
入り口に立ったゴツい女性の警備員が、Amazon アプリをかざして入りなさいと自動改札装置を指示し、身元が確かで無い者は入れないようになってます。
店内は人がすくなくて閑散としています。
オンラインで注文したものを受け取りに来るだけの人もいるようです。
店内にはAmazon Echoがあり、品物の置き場所を教えてくれるようになってます。「n番通路にあります」と大まかな置き場所を言うのですが、通路自体が20mくらいあり、その中から探すのはちと時間はかかりました。でも、全くないより全然マシです。
買い物後にメールでレシートが届くようになってます。買ったもののほかにコラーゲンの宣伝がのっていました。ヒアルロン酸、ビタミンC、ビオチン入りで約450gで$20と格安じゃぁありませんか。私ぐらいの年代が気になる品物であることは間違い無い。狙い撃ちです。
店内に人が少ないうえに通路も広く、人とぶつかることはないのでゆったり買い物できました。でも採算あってるんだろうか?
ややお値段が高めなのと、Amazonの会員登録が必要なので、同じショッピングモールの反対側にあるTargetに99%お客さんを取られてるようです。
Targetの方にも行ってみましたが、こちらは安売り百貨店で、食料品から日用雑貨、普段着、家電まで売ってるという品揃え。学校帰りの子供を連れた主婦とかの一般庶民で激混みでした。どおりで街の中でTargetの袋をぶら下げてる人よく見るなぁ〜と思った次第です。
2. Amazon Dash Cart
それはさておき、自分は気づかなかったんですが実は、シアトル近郊のこの店舗は、Amazon Dash Cart 対応店舗だったようです。
"Amazon Dash" Cartと聞いて、6〜7年前に流行った例のボタンを思い出す人も多いかもしれませんが、あれとは全く別ものです。
ではAmazon Dash Cartとは?
詳細なブログを書いてる方がいたので引用します。
レジレス化のため、カートに入った商品を自動的に計算して、お店を出る時に決済される仕組みのようです。
Amazonのレジレス化といえば、Amazon Goの "Just Walk Out" 方式を連想します。自分も2019年にAmazon Goを見物しにいき、技術に驚愕したものです。ですが2023年に3分の1ほど閉鎖し、今残ってるのは16店舗だそうです。
その代わりAmazonは"Just Walk Out"のかわりに"Amazon Dash Cart"のほうを増やし、現在は全米で68店舗あるそうです。この店はその一つでした。
Dash Cart、使ってみたかった。。!
渡米二日目にして大当たりの店だったのですが、残念なことにDash Cartの存在に気づかず使いませんでした。ちな、周りのお客さんも誰も使ってませんでした。カート使ってるのにレジに並んでレジ係のおばちゃんとおしゃべりしてました。あのカートはDashではないのだろうか?ご高齢の方が多くて、むしろお話しに来てるのかもしれないです😅 身なりがこざっぱりした方が多く、たった300mしか離れていないTargetのレジがごった返す庶民の戦場だったのと比べると非常に優雅でした。
3.トライアルのレジカートとの違い
日本だとトライアルが レジカート決済を導入していますね。私も実際にお店で使ったことありますが、すごい便利で時短でした。
トライアルのレジカートにはバーコード読み取り機が付いていて、自己申告でピコッてやる必要があります。不便さはほとんど無く、お年寄りも含めて皆がフツーに利用して、レジの流れが速くて便利。
プリペイドカードへのチャージが必要なのと、最後に有人ゲートを通ることで、不正を防止してるようでした。日本人の性善説により成り立っている、すばらしい決済システムだと思います。
そのトライアルと比べると、Amazon Dash Cartはよくも悪くも性悪説の国らしさを感じます。嘘がごまかせないようにするには、そこまで技術を駆使しなければならないのかと。開発費どれくらいかかったんでしょうね🧐
しかしAmazonにはその投資を可能とする資金があるし、テクノロジーが発展すればコストは下げられるでしょう。いずれは。
Amazonの会員IDと紐づいていれば悪さもできませんしね。
4.Kroger
今回の旅の目的の一つは、オンラインゲームで知り合った友達と一緒に皆既日食を見に行く事でした。そのためにインディアナ州に行く必要がありました。
隣のオハイオ州には治安の良い地方都市があり、サッカースタジアムがあり、ホームレスが一人もいない都市の街並みを見たのは日本以来でした。
MLSのサッカーも見に行ったところ、開始3分でFCシンシナティの久保 裕也選手がゴールを決めて、スタジアムは大盛り上がりでした。
和食を作って友達に食べさせたかったので、天ぷらや唐揚げ、カレーの材料となる野菜や肉を買いたいというと、オハイオに本社がある老舗のスーパーマーケット、Kroger に連れていってくれました。
値札を見ると別にそんな安くないんですが、友達は会員になっているのでなんやかやと割引が効きます。新鮮で品揃えも良いし、まとめ買いするのには良さそう。10個以上並んだセルフレジに列ができ、お客さんはほどほどの入りでした。
Krogerは、会員向けの割引で顧客ロイヤルティを育成し、その顧客データを分析することで購買傾向を割り出し、その人に合わせたクーポン等のメッセージをおくることでさらに囲い込む、という戦略に成功しているようです。
Krogerのレシートを見ると、今日の割引額、年間の割引額合計、FUEL POINTS、フィードバックを寄せると 50 FUEL POINTSをもらえる、$30毎にゲームに参加してリワードをゲットしよう、などと書いています。
FUEL POINTSというのは、1 ドルの支出ごとに 1 燃料ポイントを獲得し、100ポイントごとにガソリン1ガロンあたり$0.10の割引が適用されます。
https://www.kroger.com/d/fuel-points-program
ガロンという単位に慣れてないので、どれくらいガソリン代が安くなるか、ChatGPTに計算してもらいました。
これはだいぶお得ですね。
同様の施策は、Walmartでもやっているようです。
Krogerの方がだいぶ前からやってるようです。
しかも、買い物額に応じて割引額が増えるという方法を導入しており、年会費を払うWalmart+と比べてお得感が高いです。
体感的なものだけなのかどうか、同じ世帯イメージをモデルに比較をしてもらいました。
この差は歴然、Krogerの提携スタンドが近くにあれば、圧倒的にKrogerの方がお特でしょう。米国は車社会なので、ガソリン代への還元は嬉しい。そういえば友達も、Krogerは買えば買うほどガソリン代割引になるんだよ〜と言ってたなぁ。
現地在住の日本人ユーザーの方が、Krogerについて説明されてました。大変参考になったので引用させていただきます。
アプリである程度調べてからお店にいけば、お得な商品を買えますね。
こういうアプリが出現する前って、世の中的にはプラスチックの会員カードだったと思うんですが、アプリの良いところは「今現在の」最新の割引商品が、家じゃなくてもいつでもどこでも見れることですよね。
余談ですが、私は日本でLINEの「東急ストア」公式アカウントを使っています。「トクバイ」の電子チラシを見て、会社の帰りに駅前の東急ストアで20%引きのお肉や、東急カード会員向けのポイント10倍の商品を買って帰り、マイルを貯めて年一のオタ活旅行に使います。もし紙のチラシしか無かったら、紙の新聞なんて一度もとったことないので、このような施策があることを知らず、ちょっと高めの東急ストアには行かなかったでしょう。
5.米国大手スーパーの割引や売上高の比較
では大手スーパーの品物自体の割引について比較してみたいと思います。
現在の最新状況をオンラインサイトで見てみましょう。
Kroger Weekly Ad
Amazon Fresh This week's deals
Target Weekly Ad
Walmart Weekly Ad
Costcoなども調べればでてきますが、ここまで言及した4社に絞って比較してみようと思います。
がんばって目玉商品の比較をしてみました。Walmartのオンラインチラシは品物が偏っていたので比較ができず除外して他の3つをみてみると、目玉商品に限っていえば似たり寄ったりのようです。
目玉商品だけだとこうなってしまうので、通常価格についても比較してみました。すると今度はAmazon Freshはオンラインで買える品物に偏りがあるため比較できず、Krogerは会員にならないと総じて高く、会員じゃなくてもいつでも安いのはTargetとWalmartという結果になりました。
2024年の売上高トップ20企業によると、以下のような順位になっています。
トップ10の中で店舗数が最も少ないのはKrogerですが、売り上げでは4位に入っています。
1店舗あたりの平均売上高で比較してみると、1位はやはりWalmartですが、Amazonが4位に下がり、代わりにコスコとKrogerが上がっています。
Amazonの店舗平均売上はKrogerに比べてだいぶ少ないようです。
店舗あたりの売上が少ないっていうのは、私がたまたま見物したお店の状態と同じ傾向です。
技術革新で次世代の店舗を作ろうとするAmazonと、顧客に寄り添うマーケティングで消費者の財布をガッチリ掴んだKroger、2025年のランキングでどのような変化が起きているか楽しみです。
6.おまけ
これ、なんだかわかりますか?
つけまつげの自販機です。1個 2000円くらいです。
まつ毛の長さがマジで2cm以上あります。盛りすぎじゃないですか 笑
以上、長くなりましたがこの辺で。
お読みいただきありがとうございました。☺️