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【往復書簡】文具によって書く内容は変わりますか?

のんちゃんへ

「旅人としては駆け出し」って言い方にウケました! いやー、もしのんちゃんが駆け出しだとしたら、世間には旅の駆け出しじゃない人なんていないよ! でも、旅は常に新しい経験をもたらすから、いつまでも新鮮で駆け出しの気持ちを与えてくれるのかもしれませんね。

フランスに来て1年4ヶ月。私の生活には、まだ少し旅気分が残っています。例えば今、なかなか来ないバスを待っています。路面電車が事故で運行中止になったらしく、青ざめながら近くのバス停を探して、待っているのです。最初、別のバス停で待っていたんだけれど、待てど暮らせど乗りたいバスが来なくて。おかしいと思ったら反対方面のバス停でした。そんなハプニングでイライラではなくハラハラするのは、旅的な楽しみなのかな。(なーんて言えるのは、今日納品する原稿を、今朝のうちに送信して出てきたからかもしれませんが。)

のんちゃんがツアー中にたまたま会ったトルコの人と仲良くなって、半年後にその人の住むイズミルに遊びに行って1週間泊めてもらった話、これはこれは前にものんちゃんのブログなどで読んだけれど、本当にすごいと思います。トルコのパパママ、本当にすてき。なんだろう、優しい手が差し伸べられたときに、それをしっかり掴めるのって、それもスキルというか能力だと言える気がする。

夫と旅行するようになって、私もちょっとその優しさを掴めるようになったかも。たとえば直島で島の住人の人に話しかけられてお庭でビールを飲んだり、石垣島でマダムと知り合いになってご自宅でご飯をごちそうになったり。でもまだ一人だとダメだろうなあ。夫も割と「旅人」として経験を積んでいます。

のんちゃんからの質問の、次に行ってみたい旅先についでですが、3月中にこの周辺の小さな村に泊まりに行きたいと思っています。フランスって個性的な小さな村があちこちにあって、とてもすてきなのです。もう日帰りで行けるようなところは行き尽くしてしまったから、泊まりがけで行ってみようかと。今いちばんの候補はロカマドゥールという村です。

この村には、今私が興味を持っている、黒いマリア像があるんですって。
黒いマリア像はスペイン・バルセロナ近くの、ガウディがサグラダファミリアの着想を得たというモンセラートという場所にあるものが有名ですが、フランス、イタリア、ポーランドにもあるそうです。この黒いマリア像、地母神がキリスト教に取り込まれた名残とか、マグダラのマリア信仰とかいろいろな説があって。キリスト教に詳しくないから語れないんだけど、少しずつ調べたいなっています。

のんちゃんが行ってみたいポルトガルにも、行ってみたいです。一番大きい理由はモンペリエから直行便が出ているからだけれど、食べ物がおいしくて、人が優しくて、哀愁の国って聞いたから良いなって思っていて。イズミルとスリランカも行ってみたいな。

ところで、今回のお手紙は途中までバスに乗りながらスマホで書きました。(降りる時にほぼ全員が「Merci!」とバスの運転手に声をかけているの。なんかグッときた! 路面電車ではそういうのはないのだけれど。)
で、急に思い出したんだけれど、前にのんちゃんがパソコンを持っていないときに急ぎの仕事を頼まれて、スマホで書いたと言っていたでしょう?

私は手書きが異様に遅くて、逆にパソコンはたぶん相当早く、スマホはまた超遅いのです。でね、アウトプットは筆記具によって変わるなと思っていて。一度、原稿を手書きしてみたことがあるんだけど、内容はよかった気がする。ものすごく大変で手間がかかったから、あまりやりたくないけれど。のんちゃんはノートに手書きでも書くし、仕事は基本的にはパソコンだし、SNSはスマホでもやるでしょう? 書いたものの質や内容に違いはありますか? 聞いてみたいです。

ではでは。お返事待ってます!

清香

追伸:今日のトップ画像も、郵便受けのある風景。弟が、縦横の線を意識して写真を撮ると良いよと教えてくれたんだけれど、フランスの建物は古いからか、縦横の線がきちんと90度、180度にならず… 悩ましいです。

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