【往復書簡】言葉を使う時に、後ろめたさを感じることはありますか？

のんちゃん

『ミッドサマー』を観たんですね！　実は私、夏至がものすごく好きなので、あの映画の公開が決まった直後は大興奮していたんですが、ホラー映画なのですよね。想像していたものと違ったので、びっくりしたのを思い出しました。笑

冬至と夏至は似ていて、ヨーロッパでは彼岸（妖精・死・魔の世界）と此岸（人間世界）の力関係が一番偏る日とされています。冬至の頃は彼岸の力が此岸に及んできて、夏至の頃は逆に人間側が彼岸に乗り込んでいってしまうイメージ。

だから冬至の頃にクリスマスを設定して「彼岸の力に飲み込まれないようにみんなで食事取ろう」みたいになったらしいんです。（キリスト様は実は夏に生まれたそうですよ。）

一方で夏至は、人間が昼間が長くて人間が浮かれ騒いでいたら人間が彼岸の世界に行っちゃうって感じ（トップ画像は、去年の夏至の22時ちょっと前の様子です。明るい！）。だから北欧なんかでは「夏至の夜にリンゴの木の下に座ると、未来が見える」と言ったり、妖精が夏至祭の主役だったりと、ファンタジーっぽい感じになっちゃう。シェークスピアの「真夏の夜の夢」なんかも、「真夏」って訳されてるけど夏至の話だし。

で、彼岸の世界の価値観って、人間の価値観とはだいぶ違うだろうと思うんです。世界の神話とかって、理屈で考えると意味がわからないものって多いし。

だからのんちゃんや、Twitterのタイムラインにいる人たちが「混乱した」「訳がわからなかった」という感想を言っていて、ちょっとうれしい。ホラー映画としてすごくわかりやすかったら、人間の価値観で作りすぎだと思うから。

興奮して『ミッドサマー』の話を引っ張りすぎました。観てもないのに！笑
映画館での映画鑑賞はこちらでもメジャーです。モンペリエは人口28万人で、日本でいうと大阪の茨木市くらいなのですが、茨木市の映画館はイオンシネマ一択のようなのに、モンペリエには6館あります。

ただ…難点はフランス語吹き替え版が多いこと。フランス語に誇りがあるからか、読むのが得意ではない人が多いからか、理由はわからないのですが、フランス語で映画を観るのは私にはまだ早い。なので今は映画はNetflixで観ています。2月から日本・アメリカ・カナダを除く地域ではジブリ映画の配信が始まったので、いちおうフランス語字幕をつけてジブリを観ています。

ということで、最近観た映画は、「天空の城ラピュタ」「魔女の宅急便」「紅の豚」「となりのトトロ」「おもひでぽろぽろ」「海がきこえる」です。もともと好きな順に並べてみたけれど、このなかで日本のアニメオタクではない層のフランス人に受けるのは「おもひでぽろぽろ」かもな、なんて。

「おもひでぽろぽろ」って、都会の女性と里山でオーガニック野菜を育てようとする脱サラした男性の話なんですよね。こないだフランスのテレビで元銀行員とか元パイロットとかが農業ルネサンスを行っている、という番組を観たのと、今仕事関連でバスボムで有名なLUSHの里山再生の話を調べているので、タイムリーでした。

ところで、占いを学びたいとのこと。すごく良いと思う！　のんちゃんはいろんなものを持っていると思うけれど、「言葉」に加えてのんちゃんには東洋哲学のバックグラウンドもあるから、それも何らかの形で生かせそうだし！

人間は世界をいろんな形で「理屈づけて」理解しているけれど、起こった事柄が良いことか悪いことかなんて、長い目でみたら変わってしまうことも多い。それを人間の価値観のなかでの「良い」方向に、「言葉」を使って導けるのが占いなのかな、と思っています。

で、占いの際に使う「言葉」って、曖昧さをかなり残しているでしょう。しかもそれがポジティブに機能するでしょう？　それがいいなって思います。同じ言葉を使う仕事でも、別の力が伸びそう。

私は、そしてたぶんのんちゃんも、どちらかというと仕事では「わかりやすくする」という方向で言葉を使うことが多いけれど、私は曖昧さを意図的に使うことがあります。ただし、その曖昧さってあんまりポジティブではなくて。「直球で言ったら反感買っちゃうのでは」「この人のこの発言は強調したいらしいけど、ぶっちゃけ言葉足らずすぎ！　でも確認する術がない！」などという時に、言葉の持ついろんな特性を利用して曖昧さを残してしまうんです。それがちょっと後ろめたいんだけど、占いではそれが逆に良い形で機能しそう。

のんちゃんは言葉を使う時に後ろめたさを感じることはありますか。聞いてみたいです！

さやかより

追伸：のんちゃんのランチ、おいしそう！　モンペリエでは海苔も白米も鮭も買えるし、梅干しはルバーブで代替品を作るという作戦が取れるのだけれど、三つ葉がないの。三つ葉がとてもうらやましかった！