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「Ultra soul」で「Ultra 掃除」

さやか星小学校 教務主任・第1学年担任 島岡次郎

7月25日から、さやか星小学校は夏休みに入りました。この期間はnoteでお伝えすることがないかといえば、そんなことは全然ありません。開校から4か月間。お伝えしたい取り組みや出来事は、それこそ星の数ほどあるのです。今回から夏休みが明けるまでの期間は、noteを開始する前から私が書いていた学級便りをベースに、さやか星小学校の実践をお伝えしたいと思います。

先日、理事長先生のインスタグラムで、第1学年の掃除の様子を紹介していただきました。B'zの「Ultra soul」を弁別刺激に、楽しそうに掃除に取り組んでいる1年生です。「Ultra soul」は、運動会の学年種目で使った曲でもあり、子供達の楽しい記憶と結びついています。そのため、この曲が流れている時にする活動は、自然と楽しく感じるようになっているのではないか感じます。私は公立学校教員時代から、毎年学級のテーマソングを決め、事ある毎にその音楽を流していました。それこそ、掃除や帰りの準備、お楽しみ会の片付けなど、あまり乗り気になれない活動の時こそ音楽を流し、楽しい雰囲気の中で活動できるようにしていました。ちなみに、昨年度はTHE BOOMの「風になりたい」、一昨年度は緑黄色社会の「Mela!」でした。運動会や音楽会など、子供達が頑張ったり、楽しんだりした経験や記憶と結びつくような曲を使うと良いです。

そんな1年生の掃除ですが、音楽だけではなく、道具にも楽しく取り組める工夫を凝らしています。5月に書いた学級便りから、抜粋してお伝えします。

島岡 「これから◯◯をしまーす!!」
子どもたち 「イエ〜〜〜〜〜〜〜〜イ!!」

さて、◯◯に入る活動はなんでしょう?正解は、「掃除」です。まだ4時間授業の1年生は、掃除をする時間がありません。そこで、学活の授業の中で、「掃除をした方が良い場所」を子どもたちと話し合い、出張掃除をすることにしました。一般的に、掃除は子どもたちにとってあまり楽しい活動ではありません。私の教員経験(14年間)を振り返っても、「掃除をするよ」と伝えて歓声があがった経験はあまりありません。では、なぜ子どもたちはこれほど掃除を楽しみにしていたのでしょうか。その理由は、新しく導入した掃除道具にあると思われます。

1年生の子どもたちは、まだ掃除道具を上手に使うことができません。特に、箒とちりとりは大きすぎて、操作が難しいです。そこで、100円均一で見つけた、小さな箒とちりとりがセットになっているミニ箒セットを子どもの人数分用意し、教室に置いておきました。すると、ちょっとした隙間の時間に、「先生、掃除しても良いですか。」と聞きにきて、教室の掃除をせっせとしてくれるようになったのです。この行動は、当然ですが担任から激賞されます。すると、子どもたちの掃除をする行動は強化され、さらに掃除をするようになります。あるお子さんなど、割烹着を着てから他のお子さんが準備を終えるまでのわずかな時間すら、掃除をしようとします。

おそらく、ちりとりがゴミでいっぱいになることや、ゴミをゴミ箱に入れる行動が、掃除の中で最も楽しいと思います。通常の掃除では、箒で掃くという行動の後、ちりとりにゴミを入れるや、ゴミ箱にゴミを捨てるという活動性好子はかなり遅延して出現します。しかし、ミニ箒セットでは、少し掃いたら直ぐにちりとりにゴミがたまるし、たまったゴミをいつでもゴミ箱に捨てることができます。一切の遅延がありません。これが子どもたちの掃除行動が増えた原因ではないかと私は分析しています。

道具をちょっと工夫するだけで、これほど適切行動を引き出せるとは思いませんでした。学校の掃除といえば、箒と雑巾が列になって掃除していく姿が思い浮かびますが、全員がミニ箒セットを使って掃除をしても良いのではないかと思いました。これも一つ、「学校のあたりまえ」を変える試みになるかもしれません。

ゴミがたまると、嬉しそうに見せに来ます。

私は小学生の頃、掃除の時間といえばサボタージュすることばかり考えていました。ただし、あからさまにサボタージュすると先生に叱られるので、「いかにも掃除をしていると見えるようにサボタージュする」という特殊なスキルだけが上がっていきました。「楽しい」などと思うことは、一度もありませんでした。しかし、さやか星小学校の1年生は、「楽しい掃除の時間がやってきた!」と喜びの声を上げ、嬉々として掃除に取り組んでいます。そんな掃除の時間がいつまでも続くように、これからも工夫をしていきたいと思います。