みんなで作る、さやか星小学校の図工
さやか星小学校 教務主任・第1学年担任 島岡次郎
先日、それぞれの興味関心に合わせた図工の授業をご紹介しました。今回は、4月の終わりに取り組んだ、みんなで一つの作品を作り上げた図工をご紹介します。
4月最後の図画工作科では、折り紙を鋏で自由な形に切り、それを模造紙に貼って楽しむという学習を行いました。前の週に、1枚の折り紙を切り、8つ切りの小さな画用紙に貼るという学習をしていました。この時は、自分で切った紙を、自分の画用紙に貼るという個別学習でした。個別で作品を作ることも、とても楽しんでいた子供達ですが、その発展学習として、一枚の大きな模造紙を全員で一つの作品に仕上げるという活動にチャレンジしました。
この学習には、子供達にとって難しい学習がいくつか潜んでいました。まず、一人で作品を作っていたときのように、自分の好きなところにどんどん貼ってしまうと、友達と張りたい場所が重なった時にうまくいかなくなります。また、自分の席で糊を折り紙に付け、模造紙に貼りに行き、また自分の席に戻って折り紙に糊を塗り・・・という行動を繰り返すので、周りの友達の動きに気をつけないとぶつかったり、作品を踏んづけたりしてしまいます。つまり、友達の動きを見ながら、どうしたら1つの作品として面白くなるかを、考えながら活動しなければならないのです。
学習を始める前に、2つだけ約束を伝えました。1つ目は、歩いて移動すること。これは、安全面の配慮です。2つ目は、友達の作品の上から貼らないことです。これが、対人関係面の約束です。あまり細かい約束をしても守るのが難しくなるので、シンプルに2つだけ約束をしました。結果は、大成功でした。子供達は、互いに譲り合い、どこに貼ったら面白くなるかを考えながら、活き活きと学習に取り組みました。とにかく折り紙を細長く切っていたA男さんは、「先生、ここは次郎先生が好きなラーメンですよ。」と自分の作品について解説してくれました。しかし、その細長く切られた折り紙の色が青だったため、「青い麺というのは、珍しいね。」と応えると、「じゃあ、雨にします。」とあっさり作品の趣旨を変更してしまいました。この発想の柔らかさは、「子供ならでは」だなと思います。一方で、黄色とピンクの折り紙にこだわって作品を作り続けるB子さん。子供って本当に面白いなと思います。
完成した作品には、子供達一人ひとりの個性、特長、良さが詰め込まれており、「これぞ、さやか星」と叫びたくなるような素晴らしい作品に仕上がりました。さやか星小学校は、この作品のように、一つの物差しで互いを比べ合うことなく、互いの良さを認め合い、支え合い、より良い育ちを共に作り上げられるような学校になっていくと確信した授業でした。