「アサガオを育てよう!」シリーズ
さやか星小学校教務主任・第1学年担任 島岡次郎
今回の記事は、5月末と6月末に書いた学級便りの内容をミックスして、さやか星小学校の1年生がアサガオを育てているようすをお伝えします。
5月某日 A子さんの独白
先生、「アサガオの種を植える」って仰いましたよね?いや、「天気が」とか「気温が」とか、そういうのは一回置いておいて、仰いましたよね?事実だけをお願いします。そうです。先生は言ったんです。明確に、「朝顔の種を植える」と。それが先週のことです。ところがどうです?アサガオの種は植えましたか?これも事実だけどうぞ。そうです、植えていません。それでは、その理由をもう一度お願いします。なるほど、アサガオの種は、気温が20度以上あることが発芽の条件であるため、寒冷地においては種を植える時期は5月下旬以降が適当である。しかし、次郎先生は今年長野に来たので、そのことを知らなかった。そのため、誤って関東地方を基準にして植える時期を我々に伝えてしまった。そういうことで宜しいですね?結構。もちろん、そんなことで先生を糾弾しようなどというつもりは毛頭ありません。誰にでも失敗はあります。「失敗をした人だけが成長できる。だから、たくさん失敗をしてださい。」と、校長先生も入学式で仰っていました。大変心に沁みました。しかし、人間は失敗から学ばなければなりません。そうですよね?ですから、我々はいったい、いつになったらアサガオの種を植えることができるのか。その点をはっきりさせていただきたい。え?今日?ええと、もう一度確認しますね。いつ植えるのですか?やっぱり今日??先生、そういうことなら早く仰ってください。ここまで私が滔々と話をしていたのは、偏に早くアサガオを植えたい。その一心だったのですから。そうとなったら、朝の会なんかしてはいられませんわ。先生、早く外にアサガオを植えに行きましょう!一刻を争う事態だわ!!
はい、落ち着きましょう。アサガオの種を植える時期を間違えて伝えたのは私のミスでしたが、別に一刻を争う事態ではないので安心してください。というわけで、アサガオの種を植えました。生活科の授業でアサガオの種を観察して以来、ずっと植えるのを楽しみにしていた子供達。5月21日火曜日、ついにアサガオの種を植えました。堆肥入りの特別な土を植木鉢に半分入れ、肥料と混ぜて水を馴染ませる。残りの土を入れたら、人差し指の第一関節くらいまでの穴を空けて種を一粒入れる。簡単そうに見えて複雑な手順ですよね。子供達は、私の説明を一生懸命聞きながら、しっかりと種を植えることができました。植えた次の日から、「まだ出ない。」「今日も出ない。」と、まるでとなりのト◯ロのメイちゃんのように呟いていましたが、5月30日現在、全てのお子さんの植木鉢から双葉が出たことを確認しました。「何色の花が咲くかな。」「お母さんにプレゼントするんだ。」と希望を語る子供達。アサガオがたくさんの花を咲かせてくれるように、しっかりお世話をしていきましょう!!
6月某日 シチューじゃないよ、支柱だよ
島岡 「だいぶアサガオが育ってきたので、今日は植木鉢に支柱を付けたいと思います。」
A男さん 「え?シチュー?」
B子さん 「今日の給食、シチューだっけ?」
C男さん 「シチュー食べたーい!!」
島岡 「いや、そうじゃなくて『支柱』っていう、アサガオの蔓を支える・・・」
D子さん 「先生、生活の授業でシチューを作るの〜?」
E子さん 「ちがうよ!アサガオでシチューを作るんだよ!!」
F男さん 「アサガオのシチューって、ブッフォ!何だそれ!!」
島岡 「だからシチューじゃなくて、『支柱』という柱を植木鉢に・・・」
G子さん 「私はシチューよりカレーの方が好きだなあ。」
H男さん 「僕は正直、カレーってあんまり好きではなかったけど、給食のカレーは美味しいよね。」
みんな 「わかる〜。」
いや、「わかる〜。」じゃないよ。だから、シチューじゃなくて支柱だってば。朝の会が終わって、授業が始まる前のちょっとした隙間の時間、こんな楽しいやり取りが日々行われていたり、いなかったり。
さて、子供達が育てているアサガオは、順調に育っています。「寒冷地である長野県佐久市は、アサガオの種蒔きを温暖な地方より遅らせなければならない」という知識がなく、危なくゴールデンウィーク明け直ぐに種を蒔こうとして失敗しかけたあの日が懐かしい。観察をするごとに変化を見つけ、「新しい葉っぱは形が違う!」「新しい葉っぱには毛が生えてる!」「私の手よりも大きい!」「爽やかな匂い!」「いや、土臭い!!」と嬉しそうに報告してくれます。ここから、長く、長く蔓が伸び、沢山の花を咲かせます。その光景を見て、子供達にも笑顔の花が咲くでしょう。私はそれを楽しみに、毎日アサガオを眺めています。