見出し画像

2023.01.29 デパプリ最終回

※後半にネタバレを含みます。
※長文です。


2023年1月29日(日)9:00
デリシャスパーティープリキュアが、全45話の幕を閉じました。
良い最終回であった。

今日は最終回を祝して、この1年間を通して感じたデパプリへの想いを綴ろうと思います。厳密に言うと、私は確か12話あたりから見始めた中途参戦者なので、丸1年間ではないのですが…。


視聴のきっかけ


今回のプリキュア視聴は、私にとっては実におよそ15年ぶりとなる久々のものでした。初代「ふたりは〜」直撃世代の私は女児のころに初代〜5あたりを見ていた記憶がぼんやりとありますが、その後はほとんどプリキュアに触れずに過ごしていましたから。
なぜ突然デパプリを見始めたかというと、たぶん暇だったからです。
高校せの頃に精神を病んでから定期的に体調がオワるようになった私は、昨年の春〜夏頃も元気に精神を病んでいました。大学に行くのもままならず、お布団のうえでスマホを握りしめてYouTubeとTwitterとAmazonPrimeを行き来することくらいしかできず。私のようなオタク気質な陰気者のTwitterタイムラインは当然のようにアニメや漫画の話題が飛び交っているので、恐らくそこでデパプリについて知ったのでしょう…あんまり記憶がないですが。病んでいるときはあまりの辛さからか、記憶が薄くなるのはいつものことですね。

最初は、「食事」をテーマにしているという点に惹かれました。
子ども向けコンテンツで食事をテーマにするということは、根底にある理念は「食育」でしょう。なんて素晴らしいんだ。

そして見始めるうちに、食事だけでなく「シェアする」というテーマも含んでいることに気づいきました。なんて素晴らしいんだ。

気づいたら、どっぷり沼に沈んで息ができなくなっていました。
食事を軸にした面白い脚本・構成、大人でも楽しめる要素の多さ、時代の潮流を汲んだ内容、そして魅力的な登場人物の数々…。

幸か不幸か、プリティストアに1時間足らずで行くことができる場所に住んでいたので、アクリルスタンドやブロマイド、ぬいぐるみなどを買い漁ってしまい莫大なお金が溶けました。代わりに手に入れたのは、かけがえのない「命」です。

「命」その1
「命」その2
「命」その3

特に、ジェントルー改めキュアフィナーレこと菓彩あまねちゃんと、ブンドル団のメンバーである怪盗ナルシストルーに心をウバウゾーされました。

まさか成人になってから中学3年生の女の子を好きになってしまうとは思わなかったし、ましてや女児アニメの敵役に惹かれる日がくるとも思っていませんでした。

※ここからネタバレ含みます。

あまねちゃんについて

追加戦士であり、4人のプリキュアのうち唯一の中学3年生であるあまねちゃんは、その素顔はプリキュアたちの通う中学校の生徒会長であるという典型的なしっかり者の性格。
なぜかブンドル団に洗脳されており、自らの意思に反した怪盗ジェントルーとしてプリキュアの前に立ちはだかるところから物語は始まるのですが、途中でプリキュアたちの説得によって改心し、めでたくキュアフィナーレに。

「ジェントルに、ゴージャスに、咲き誇るスウィートネス。キュアフィナーレ! 食卓の最後を、この私が飾ろう。」

こんな麗しい名乗り文句があるでしょうか。敵だったときの「ジェントル」要素を味方になってもなお引き継いぐというセンスにも脱帽。
後述しますが、あまねちゃんの言葉には何度も救われました。彼女に出会えたことが、デパプリを見始めて一番良かったことかもしれない。

ナルシストルーについて

怪盗ジェントルーが改心してブンドル団を抜けてから、その後続としてプリキュアたちの前に立ったのがこの男。怪盗ジェントルーを洗脳していた張本人であり、レシピッピ捕獲箱を改良したり怪盗スピリットルーを造り出したりするなど腕の立つ技術者という一面も持っています。しかしこの男、極端な偏食ゆえにみんなと「美味しいをシェアする」ことができなかった過去を持ち、食そして食事を楽しむ者たちに恨みを抱いていた…。

何を隠そうこの男、とにかく顔が良いのです。

垂れ目の猫目、長い睫毛、ちらりと覗く八重歯、華奢だがもちっとした輪郭…ナルシストになるのも頷ける端正な顔立ちです。偏食なくせに高身長なところも非常に憎らしい。声も良い。

見事にこの男に心ウバウゾーされた私は、世に出た彼のアクリルスタンドをすべて購入しました。彼がたくさん登場する回を見ているときにBPM140を記録して、スマートウォッチから警告を食らったこともあります。
ぬいぐるみはタイミングを逃して買えず、少し後悔…。

食を愛する王国で生まれ育ったにもかかわらず自分だけ食を愛せず、歪んでしまった心…ここをただ単に色々食わせることで解決へ導くのではなく、彼が食べられそうなものから少しずつ試してみるという方法で更生させようとした点が素晴らしいと思います。
デパプリのすごいところはこの敵役との折り合いの付け方にあると思います。食べることは大好きだけど作ることが壊滅的に苦手なセクレトルーに料理を教えるとか、ナルシストルーに強制的に色々食べさせたりするのではなく、犯してしまった悪事は裁いたうえで「あなたはあなたのままでいい」というメッセージのもとにそのままの彼らの長所の方を認めていくのです。
プリキュアたちはまだ子どもだし、物語上必ず成長します。しかし大人になってしまった敵たちには成長を強いるのではなく、ありのままの自分を認められるように精神の方を仕向けていく。結果として、いつの間にか成長しているのです。成長が必ずしもキーにならなくても良いということと、それでも人は成長してしまうということ。素晴らしいじゃないですか。


特に心に残ったシーン・言葉

・9話(たぶん)のマリちゃんの言葉
「大人になると、小さな幸せでも泣けてくるの」
心にじんわりと沁みた言葉です。精神を病んでからわかりやすい「幸せ」を感じることが少なくなった私ですが、大人になったいまでは少しのことで「これが幸せってやつなのかなあ」と感じることがたまに訪れます。例えば、外に出たら空が真っ青の晴天だったとき、道端に咲いている花がささやかにきれいだったとき、秋に金木犀の香りを感じたとき…なんか天気とかのことばかりですが、そういうとき、「これが幸せなのかもな」と考えます。マリちゃんのキャラソングにも出てくるフレーズであるこの言葉は、「世代」を意識したデパプリの挑戦のひとつ、子どもであるプリキュアのそばに大人であるマリちゃんを置くという試みによって生まれた金言であったと思います。

・29話のあまねちゃんの言葉
「本当に怖いのは、一歩目だけだ」
クッキングダムでクックファイター見習いとして精進するセルフィーユにあまねちゃんがかけた言葉。正式なクックファイターになるには試験を受けないといけないのですが、高所恐怖症のセルフィーユはいつも高い橋を渡るところで怖がってしまいなかなか試験に合格できないと話します。そこであまねちゃんがこの言葉をかけるのですが、これが痺れる。橋を渡るのに一歩踏み出してみようという話ですから、物理的な話をしていることには違いないのですが、それだけでなく「なかなか勇気が出なくて不安になることがあっても、怖いのは最初だけだから一度挑戦してみたらいい」という抽象的な話も含んでいる。この言葉をかける前に、無茶して頑張ろうとするセルフィーユに向かって「勇気と無理は違う!」と言っているのもポイントです。
実はこの話が放送された頃、私は大学を不登校気味になっていて「学校に行かなきゃ…」と思っては不安と恐怖に押しつぶされそうになって結局休む、ということを繰り返していました。そんなときにこの言葉が降りかかってきたものですから、それはそれは響きました。久しぶりに学校に行ったら、周りになんて思われるかわからないし、授業も進んでいてついていけないだろうな…と怖くて怖くて仕方なかった。でも、本当に怖いのは一歩目だけなんです。行ってしまえばなんてことない。まあ、それがわかっていても行けないのが不登校というものですが…幸い今回は不登校と呼べるかも微妙なくらい軽く済んだため、なんとか大学に戻ることができました。まさか中学3年生の言葉に救われるとは思わなかった。この言葉があってもなお結局留年したのは、ここだけの話ですよ。

・42話のセクレトルーの言葉
「必要ありません。こんな無様な、完璧になりたい私など、放っておけばいい…ってゆーか、消えた方がマシだわ…!!!!」
このシーンを見た瞬間、涙がボロボロとこぼれ落ちました。だって私と同じだったから。「こんな何にもできない自分なんて、消えてしまえばいいのに」なんてことは誰しも生きていれば考えたことがあるかもしれませんが、なかなかその思いを他人に吐露することはありません。ましてや、子ども向けアニメで出てくるとは…。セクレトルーも私と同じなんだ、と思うと、おかしいかもしれないけど少し嬉しかったです。木下さんの演技も臨場感があってすごかったですね。


その他デパプリの好きなところ

・男女の関係を「恋愛」のみに落とし込まなかったところ
主にゆいちゃんと拓海のことです。拓海がゆいちゃんに恋愛感情を抱いているのは初回から明らかでしたが、それを安易に最終話でカップル成立させるようなことはしませんでした。オタクとしては、くっつけよ…!と思うところもありますが、デパプリは単純な「恋愛」に二人の関係を落とし込まず、それよりも大きく温かい、とても言葉では表せないような関係で二人を包み込みました。
また、あまねちゃんとナルシストルーにも同じことが言えるかもしれません。「ナルあま」「ナルフィナ」「ナルジェン」といったカップリングが狂オタクたちの中で盛り上がり、私も例外ではありませんでしたが、二人に恋愛感情を抱かせることなく、もっと強い絆を見せつけられました。これにはオタクも納得です。

・男ファイターを組み込んだところ
「女の子だって暴れたい」で始まったプリキュアは基本的に女の子がメインになって敵に立ち向かってきましたが、今回はブラックペッパーを始め、ローズマリーやシナモンなど、肉弾戦ができる男ファイターが多かった印象です。「男の子だって暴れたい」とでも言うべきでしょうか。男が暴れる作品なんてたくさんあるだろ、と思われるかもしれませんが、プリキュアでこれをやることに意味があると思います。
東映アニメーションは、時代についていく力がすごいと感じます。戦隊でも、ついに男ピンクが出ましたし。

・魅力的な妖精たち
かわいいです。人間体も。私はメンメンが好きです。どんぶりフォームに変身させられるぬいぐるみも買っちゃいました。

・キュアヤムヤムの衣装デザイン
中華デザイン、かっわい〜〜〜〜〜〜〜〜

最後に

まだまだ語り足りないことは山ほどありますが、今日のところはここで終わろうと思います。最終話を見て抱いたクソデカ感情を忘却してしまう前に言語化できて良かったです。また書きたくなったら、思い出し次第書きつけていこうと思います。

私が言うのも何ですが、デリシャスパーティープリキュアをこの世に出してくれた東映アニメーションさんに感謝。関わってくれた声優さんやスタッフさんに感謝です。特に、お若いながらも素晴らしい仕事ぶりを見せてくださったキャラデザの油布京子さん。私とほとんど変わらない年代なので、嫉妬心すら感じていました。でも同世代の方がこんなにも活躍しているのは誇らしいですね。可愛いルックスのあまねちゃんを生み出してくれてありがとうございます。

改めて、あまねちゃんに出会わせてくれて、ナルシストルーに出会わせてくれて、ありがとう。デパプリ永遠なれ。
最終回は寂しいですが、次作のひろプリも楽しみです。今年はプリキュア20周年も控えていますからね!

以上


※表紙の写真は、友人が持ってきた「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」の猿原真一くんとのツーショットです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?