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11月のある三日間の日記

11月20日(水)
今年一番の寒さらしい。やや小雨。窓に結露がつくようになった。どのくらい分厚い服を着ればいいのかわからない。毎年冬がやってくると10度がどのくらいだったかをすっかり忘れており、毎度新鮮な気持ちにさせられる。
最近の娘は寝起きが悪くて手を焼いているが、こたつでニュースを観ていると一気に調子がでてくるので、寝床からおんぶして連れてきてしまう。そのうちにおんぶされるのも嫌がる日がくるのだろう。
今日は女性がゴルフクラブで何者かに殴られたという事件が気になったみたい。こたつから声を張って教えてくれた。近頃ヤクザ映画ばかり観ている私は、その女性が裏社会に関わってしまったのではないかと推察してしまう。
今日は検便をする日。人間ドックは明後日だけど、でなかったら困るので少し早めに採る。先週から「検便」と書かれたカレンダーを眺めては、ソワソワしていたので無事に済んでホッとする。
娘の支度を終えて、保育園へ。今日はそのあしで仕事へ移動なので、急いでバイバイ。
今日は化粧品の委託販売の仕事で駅ビルの店舗に入店。天気が悪いのでお客さんが少ないかと心配していたけれど、わりと混み合った。肌の乾燥のお悩みで化粧水を求める方が多かった。化粧水だけでは保湿できませんとお話し。オイルやクリーム類も一緒に買っていただいた。お店に置いてあったダイエット食品「95%の医師が推薦!」と輝いたシールが貼ってあったが、残りの5%の医師の意見が聞きたいと思った。
16時半も過ぎるともう真っ暗で、確実に真冬に向かっている。なんだか寂しい。自転車で坂道を下りながら、まっくらだーと声が出る。娘をピックアップして急いで帰宅。焼きそば、海藻の味噌汁、砂肝焼き、ラディッシュの浅漬け。娘、寝る前にばぁばと久々のビデオ通話。歯が抜けた報告。

11月21日(木)
6時起床。今朝もうっすら雨。今夜は禁酒しないといけないので朝から気分がのらない。今日夫は在宅ワーク、あと皮膚科と整形外科に行くとのこと。少し前から右肩が上がらなくておそらく五十肩。
朝食のとき、明日お母さんは健康診断なのだと娘にお話し。注射をするか心配してくれた。注射が怖いという気持ちを忘れてきた、と娘が得意げにいった。先日泣かずに注射を我慢できたから、それで自信がついたのだろう。こうしていろんなものを克服して育っていくんだなと思う。それから先端恐怖症や集合体恐怖症の話題になり、興味を示す。
夫が娘を保育園に送り。二日分の洗濯物を部屋干してそれから掃除や片付け。汚れたら洗う、使ったら元に戻すという繰り返しのことを考えてしまう。たまにこうして思い浮かぶのだけれど、頭の中が痒くなってくる感じがして、やめる。
午前中はデルタメンバーと電話ミーティング。
お昼に、夫が買っておいてくれた筋子のおにぎりが台所に置いてあったので食べる。
午後は2月の展示のDMを作成してから、アマプラで「実録・大阪やくざ戦争」を少し観る。夕方夫が保育園にお迎え、その間にノンアルビールを飲みはじめる。検査前は軽めの夕食に、とのことだったが買ってあった鰻が今日までだったので仕方なく食べた。

11月22日(金)
6時起床。人間ドックの日。白湯を少し飲んで、洗濯と軽くメイクを済ませ娘を起こす。今日は16度だよと娘に知らされ、上着をやめてダウンベストに変更。8時前、娘の支度をせかし自転車に乗って出発、娘を保育園にすべり込ませ駅に向かう。
まさに通勤ラッシュアワー。1ミリの隙間もなく見えるところに、無理やりお尻からぎゅうぎゅう押し込んでいく人。誰かの脂肪が変形し関節が曲げられて、ドアで蓋がされる。そんな鮨詰めの列車に圧倒され、一本見送るはめに。
予定より遅れてしまい、ダッシュで池袋の検診センターに向かう。受付締め切り5分前の到着だったが、受付番号は3番。その後にゾロゾロとやってきて自分の生真面目さにどっと疲れる。
検診は流れ作業でどんどん行われた。こちらは2年ぶりなので、何がどうなっているのかよくわからないまま、覗いたり聴いたり測られたり、言われるがままされるがままにしていたら終わっていた。ぼんやりと待合室のソファに座っているとソファーの色に目がいく。薄紅色。周りを見回すとカーテンは黄緑色、パネルは水色。新しいところはもっとこうスタイリッシュな感じなのだろうか。でも病院関係は多少あかぬけない方がなんか落ち着けるような気もする。お隣のおばちゃん家のように。
最後に医師による本日の結果が告げられる。全体的に「B」判定というところだったが、僅差で「A」を逃した的な説明の仕方だったので大丈夫ということなのだろう。そして何か気になることはないですか、と訊かれた。
辛いものはお腹を下すようになったとか揚げ物を食べると夜中にもたれるなどが浮かんだけれど、もっと致命的なことを聞いているのだろうと思い、特にないです。と答える。
しかし着替えをしているときに、別に気になっているんだから遠慮なく言ってもよかったのだと、すこし落ち込む。
終わって外に出るとまだお昼前だった。フル稼働していない池袋の街。西口公園は小洒落たスペースになっていて、オープンテラスのカフェや野外コンサートステージなんかもあって、ずいぶんとキラキラしちゃったなと思う。しかしその一番の日当たりを陣取って小汚いおじちゃんたちが何食わぬ顔でワンカップを煽っていた。路地裏からそれを眺めていたら、なんだか元気をもらったのだった。

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