パーク音楽好きってほんとうかな?
ほんの少しだけ昔の話、東京ディズニーリゾートの音楽が大好きだと思っていた。
幾度とアトラクション使用曲の考察もしたし、音響の考察もしたし、効果音についての考察もした。それと同時に、作曲専攻として様々なジャンルの音楽に触れながら勉強を重ね、自ら好きだと思える作品もいくつか作ることができた。その結果、格段に視野が広くなり、別にディズニーリゾートの音楽じゃなくてもいいな、と思うことが増えた。
アトラクション曲はどう頑張ってもアトラクションの尺に合わせるため、曲の展開が中途半端に聞こえてしまったり、物足りなく感じる。
ショーやパレードの曲も、おそらく意図していないであろう響きの硬さや、転換や音選びの大雑把さが気になりはじめた。
エリアの時代設定と異なる音楽のスタイルにも違和感を覚える。
オーケストレーションだって生では絶対綺麗に鳴らない箇所があるし、綺麗で壮大な曲なら他にも素晴らしい交響曲が沢山ある。
なんとなく、ディズニーリゾートの音楽の商業的な側面に疲れてしまったんだろう。
そこに、近年のIP盛り沢山ショーにアトラクションときた。もともとトランジットスチーマーラインやフォートレス・エクスプロレーション、ブラヴィッシーモ!が好きな人間だ。
キャラクター推しや映画の使い回し的な扱いで流れが途切れることに、好きで居続ける気持ちはすり減ってしまった。
なので当然、ファンタジースプリングスに行ったって、ピーターパンに感動するどころか頭痛と吐き気、ラプンツェルは小此木さんの歌の方が響きは好きだったなあとか、エリアこんだけ広いならBGMもうちょっと聴いてみたかったなとか、ちょっと大きな声では言えない感じだ。
けれど、フローズンジャーニーには一味違う魅力を感じてしまった。
映画のダイジェスト感、視線誘導の力技、色々言われていることはごもっともという感じで、手放しで褒められるかと言われればなんとも言い難い。
ただ、QラインのBGMと部屋づくり、ライドと音楽の連携、なんとなくアトラクションとしてやってみたい!ということへの答えをちゃんとつくってくれた感じ。ライドの良し悪しは置いといて、そういう挑戦やこだわり、探究心と遊び心が好きなところだった。
いくら海底二万マイルが途中で止まろうと、ヴェネツィアン・ゴンドラで歌えなくなろうと、トランジットスチーマーラインが半周でも、こだわりがあり続ける限り好きであるのと似ている。
きっと、自分が好きなのは芸術なんだろう。
東京ディズニーリゾートの音楽性はもう好みど真ん中ではなくなったけれど、エンターテインメントの中に両手いっぱいの芸術があれば、まだどこかで繫がっていられる。きっとまだ、東京ディズニーリゾートの音楽が好きで、それが私のルーツになっていくのだろう。