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偽物の箱庭で踊りたい
最近友人になってくれた子がいる。彼女は繊細な硝子細工のような子で見れば見るほど美しく輝いているような子だった。私のような穢れている人間が触れれば壊れてしまうのではないかと思った。彼女は自身について殆ど語らない人だったが不思議な魅力が有り、一緒に通話をしていると不思議と落ち着いた。私は欲深い人間だから彼女の特別になりたいと思ってしまった。もっと彼女について知りたい、彼女の一番になりたいと考えてしまった。友人を作るとこう考えてしまうのは私の悪い所だと思う。私のような人間が彼女の特別になることは出来るはずがなかった。
私は箱庭に閉じこもっている。ここにいると何も考えなくてもいい。外のことは何も分からないが中は幸せで満ちている。そこが誰かに作られた偽物の世界だとしても外を知らなければ比べることも出来ない。私は人形でいいのかもしれない。人形であれば何も考えなくてもいい。幸も不幸も感じない。そんな風になりたい。
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