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さやの読書記録 1冊目『服を作る ―モードを超えて 増補新版』

こんにちは、さやです。

せっかく自問自答ファッションをきっかけに色々な本を手に取るようになったので、読書記録をつけてみようかなと思いました。
さやは気分屋です。続かなかったらお察しください。


1冊目は、先日ワンピースを購入したヨウジヤマモトのデザイナー山本耀司氏の本、『服を作る ―モードを超えて 増補新版』です。


読むのが少し怖かった

この本の存在は、あきやさんのワイズ購入記事から知っていました。
(服を購入する前に読むべきかな〜)と頭の片隅では思いながらも、結局読まずに購入したのは、この本を読むのが少し怖かったからです。

どなたか、自問自答ガールズが「山本耀司氏の女性観を、私は受け入れられない」との旨の投稿をされていたのを覚えています。

クリエイションは素敵だけれど、クリエイター本人の生き方や考え方などは受け入れ難い、というのは、私の人生に稀に起こります。
でも、そういう状態は、私にとってあまり望ましくないなと、その度に感じます。

ヨウジヤマモトのワンピースを気に入っている自分が、もし山本耀司氏の生き方や考え方に共感を示せなかったら……と思うと、少し怖かったのです。

でも、やっぱり興味はある!
読んでみることにしました。

以下、気になった箇所を挙げていきます。

宿題:坂口安吾『堕落論』をしっかり読む

本の中にはちょこちょこ、坂口安吾の言葉が登場します。そのまま『坂口安吾』と題された章もあります。
山本氏は特に『堕落論』がお好きな様子。
私は他の作品(『不良少年とキリスト』など)は読んだことがあるのですが、堕落論はどうだったか……。これを良い機会として、しっかり読もうと思います。

→読みました!

『表現者の役割は壊すこと』と山本氏はおっしゃる(これについてはこのnoteの最後のほうにあります)のですが、『堕落論』の中にある『偉大な破壊』が重なるところがあるのかな……と思ったり🤔

(宝くじで)三億円当たったらどうします?

三億? 中途半端だな。

ここ、100の質問の中で一番好きかもしれないです。
三億が中途半端かぁ……。

コム・デ・ギャルソンを着ることもある山本氏

インタビュー当時は、娘さんからの父の日のプレゼントとして贈られたコム・デ・ギャルソンのパンツを気に入ってはいていたそうな。
自分のブランド以外のものも身につけられるのですね😳

今日の日本のファッションについて

1960-80年代に比べると、今の日本の女性のファッションは堕落しております。保守化し、堕落しています。要するに本人の意志がはっきりしていない。で、流行のものを着ている。何かのグループに属すことをよしとしている。その人だけの特別なものという感覚がほとんどなくなってしまった。

いつの間にか、10代後半から20代の人たちがうちの服のファンになり始めている。カードローンを使ってでも着たいと言うそうです。
たまに青山の店に行くと、若い男の子が一階で買い物をしている。一階はファム(女性もの)の売り場で、そこにあるものを買っている。試着して、鏡見てチェックしているんですよ。

引用前半部分については、Amazonのこの本のレビューに的確な意見がありました。曰く、『本人の意志がはっきりしていない』『流行のもの』『何かのグループ』にヨウジヤマモトが入ってしまったことは皮肉であり、それは山本氏が一番よくわかっているはずだと。

引用前半と後半合わせて、まさに今20代で、ヨウジヤマモトのようなモードに憧れて、購入した者としては、かなり気まずいところがあります。(山本氏は「アンチ・モード」とおっしゃっている)

東京はどんな存在ですか

うわーっ、きた。僕は東京でも歌舞伎町という特殊なところで育ったので、少なくとも、帰る場所ではないんです。ふるさとではないんですよね。ただ、犬がマーキングするみたいに、僕も「この地区は僕の縄張り」みたいにマーキングしてあります。東京全体を好きとか嫌いとかいう感覚はないですね。

この本の中で一番共感できたのがここでした。東京について。

私は東京で生まれ育ったものの、ちょっとした事情があって、あまり東京がふるさとって感じがしません。私の居場所はここではあるとは思うのですが。

「東京ってそんなに良いところに見えますか?ワンダーランドなんかじゃなくて、東京には東京の暮らしがあるだけですよ」と斜に構えた思考がついつい出ます。

東京への思うことについては、山本氏と近いものを私も持っていそうです。

表現者の役割は壊すこと

――生まれ変わってもファッションデザイナーになりたいですか?

僕、今、宿命論者になっちゃっているんですよ。今、僕がやっていることは、これは僕のせいじゃない。誰かにさせられているんだって。じゃなきゃ、こうはならない。勝手に伝説になっているでしょう。会社がつぶれてもう終わりかと思っていたら、「頑張ってください」というファンドが入ってきた。そのおかげかどうかはわからないけれど、それまでの何倍も有名になっちゃった。文化人扱いになっちゃってる。坂口安吾くらいで死にたかった。抵抗して抵抗して、逆らって逆らって。表現者の役割って壊すことでしょう。今受け入れられてしまって、何か、壊すものがわからなくなってしまっている。しんどいです。

最近のパリ・コレクション、つまらないでしょう。デザイナーじゃなくて、スタイリストがショーのとのまねをやっているように見える。イベントです。業界内のパーティーですよ。
率直に言うと、いま困っています。僕は最初からアンチ・モードでやってきています。そこにモチベーションがあって、これまでやってきた。それが、モードが消えてしまった。逆らう相手がいなくなっちゃったんです。

西洋の常識を、モードを、壊すこと、対抗すること、逆らうこと。引用部分以外にも何度も、この本の中では『表現者の役割は壊すこと』であることが語られます。
壊すことが役割であると考えているのに『マエストロ』などと呼ばれて評価され、文化人扱いを受ける現状に、山本氏は思うところが深くあるようです。壊すつもりで挑んだ相手に受け入れられてしまったら、次は何を壊せばいいのか。

現状:購入した服を大事に着ようと改めて思えたし、来シーズンも気になっている

一通り読み終えてみての感想ですが、私は山本氏の女性観については、特に何か思うところはありません。そうなんですね〜、くらい。でも、こういう女性である私を、山本氏は良いものとは思わないのだろうな〜とも思います😅

とりあえずは購入した服が気に入っているのは変わりませんし、むしろ読書によってクリエイションの裏側を垣間見れてますます気に入ったところがあります。
来シーズンにも気になるアイテムがあるので、しばらくはヨウジヤマモトを追うことになりそうです。

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