セルフマネージメントの世界。
イギリス大学院の生活はセルフマネージメントの世界だ。
とくに文系は授業に顔を出す時間が少ない。
私が修士課程の頃は、多くて週に2回、一回の授業は長くて3時間程度だった。
そして博士課程になってからは、もっと大学に行かなくてよくなってしまった。よくて週1回。最悪月1回先生に会えば、それで良いという世界なのだ。
この世界を体験したことがない人からすると、そんなに大学に行かずして、何をしているのか?と思われてしまうかもしれないが、この生活はそれもそれでとっても厳しい世界なのだ。
課題と締切に追われる日々
私は大学院留学を目指し始めたころから、締切に追われる生活が始まった。もちろん、その前も仕事をしている時、日本で大学院生として勉強をしている時も、何かの締切というものはあったが、イギリスの大学院から課される締切というものは、自分の能力の限界突破をしてやっと守れる期日なのだ。
だから、とても大きなプレッシャーがのしかかる。
授業料に多額のお金を支払い、日々の英語の授業ではこれでもかというほど言語的な制約による劣等感を感じつつも、常にこれも、それも、あれも、とどんどん課題が追加される。
そんな生活を送っていると、平日と休日という概念なんてなくなってしまう。人によっては、朝も夜も関係なくなってくるであろう。
ここは、身体的にも精神的に不健康な世界なのだ。
セルフマネージメント力
ただ、ここで別の視点から私が思うことが一つある。
「身体的にも精神的にも不健康な世界だから仕方ない」でまとめては何も改善しないということだ。
もちろん私たちには英語力にハンデがある。
大学院という世界にくると、自分がいかに無知で、学ばなければいけないことが無限にあることがわかり、もっとやらなければ、もっと頑張らなければという気持ちになることもよくわかる。
でも、それでは身体的にも精神的な限界を突破するどころか、限界を突破できずして、何もできなくなるほど疲れて果ててしまう可能性がある。
だからこそ、ここで私たちが学ばなければいけないことは「セルフマネージメント力」なのだ。
誰かに管理されなくても、勉強の時間と休む時間をしっかりと分ける。
期日まで自分の体に負荷をかけすぎないように、計画を立てて、遂行する。
イギリスの大学院生活では、少し無理をして体調不良となり寝込んでいる暇なんてないくらい一日という時間が貴重な日々の連続だからこそ、自分を労わることも大切なのだ。
そしてもう一つ。
英語のハンデがあるからこそ、自分で全てなんとかしようとせず、身近な人に頼るということも大事なスキルのような気がする。
イギリスの大学の先生方
私には日本の大学の職場環境はよく分からないが、最低限言えることは、イギリスの大学の先生方は、驚異的なスピードで論文を書き上げ、多くの学生の指導にあたっている。
私の指導教官は子育てをしながら、修士の学生5−8人、博士の学生5−6人、学部生も同じくらいの人数を指導を行いながら、授業を運営し、研究のためにフィールド調査にでかけ、いつの間にか論文を出版している。
そんな先生を見ていると、どんな時間の使い方をしているのか不思議に感じてしまう。なんだか、私とは異なって1日が48時間のサイクルなのではないかとも感じる。
それでもって、クリスマスとかにはちゃっかり大学のパーティーに参加し、わいわい楽しんでいるのだ。そんな先生方を見ていると、イギリスの大学の先生は強靭なマルチタスク人間の集まりなのではないかとも感じてしまった。
でも、そういった先生方の後ろ姿を見ながら、先生方の今のスキルは自然と身についたのではなく、先生方がまだ修士課程の学生だった頃、博士課程の学生だった頃、そして若手研究者だった頃に、必死になって身につけた「セルフマネージメント力」の賜物なんだろうと思う。
イギリスの大学院の生活
イギリスの大学院生活をどのように過ごすかは自分次第である。
もちろん一生に一回であるから、少しは負荷を大きめにして無理をすることも必要となってくるだろう。でも、授業に出ること、授業の資料を読み込むこと、それだけで十分負荷の大きいことであることは忘れてはいけない。
無理をしてなんとかなるのはある一定の水準まで。
だからこそ、考えなければいけないことは、あまりにもたくさん与えられすぎている自由な時間を、どのように自分でマネージメントし、適度に自分をプッシュしながらバランスをとっていけるかなのだろう。
もちろん私たちにとって
休むことも勉強の一つであるということを忘れてはいけない。
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