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22歳ニートの親父に就職支援を依頼され

私はグラフィックデザインやWebデザインを30年以上続けてるデザイナー。
2020年は補助金の数々で、例年になく多くのご依頼を頂くことができた。
毎日それはそれは忙しく充実している。

そんな去年の9月のこと。
近所のオヤジ、といってもわたしよりいくつか上のセンパイが、
イカが釣れたからと届けてくれた。その時は美味しく頂いた。

そのうち電話があって、なんでも息子がパソコンで仕事したいと言うから話を聞きに行ってもいいかと聞く。
女所帯に来てもらっても困るというと、じゃあ仕事場に午前中来てくれと。

ある朝行ってみると、でっかい息子が伏し目がちに座って親父の仕事を手伝っていた。でっかい私に言われる筋合いはないことだけど。

彼は高校生の時に、職業訓練校の私の授業を見学に来たことがある。ジョブなんとかという仕事の体験のような夏休みのタスクだったと思う。
その時はWeb制作の時間で彼も周りのご婦人たちを手助けしていた。まぁまぁ飲み込みはよくパソコンは使い慣れているなと思ってみていた。

そこそこイケメンで、でっかくはなったが健康な男子そのものだ。

そしてその日、どんな仕事がしたいのかときくとわからないという。
ふだんはゲームばかりして過ごしているらしい。

ならばということで、持参したPhysonの初心者向けの本を渡して、ネットでプログラミングが学べるサイトや有料で学べるサイトを案内してその日は去った。

そして月日がたち今年1月の終わり頃。ドカ雪が降って石段の雪かきをしていると例のオヤジが通りかかった。

オヤジ「息子がパソコンの仕事したいって言ってる。勉強するにしても就職して仕事したほうが早いし、経験ないと行きたいところにも行けんだろうから」

との事。しかし未経験で採用してくれる会社がこのご時世あるだろうか。

「なんか見せられるようなプロフィールのページとか作った作品とかある?パソコンの仕事と言ってもピンからキリなんだけど」
オヤジ「いやーないんじゃないかなぁ」

あれから数ヶ月いったい何をしていたのだろう。
一応、彼が訪れた職業訓練校の社長に聞いてみると返事はしておいた。
でもエンジニアを採用したばかりで精鋭揃いだから未経験者はいらないはず。それも念のため伝えておいた。

電話で忙しい社長を捕まえて聞いてみたら、案の定いらないと言われた。
そりゃそうだ^^

何と言われたかオヤジに伝える気にもならず、そのまま数日が経っていた。

先週土曜日ふと思い立ち、同級生が経営してるパソコン修理とスクールの店に立ち寄った。
プログラマ男性がかなり前から顔見知りなので事情を話していたところ
友人が入ってきたので意見を聞いてみた。

「こういった未経験者の場合、どこから手をつけていったらいい?」

「たいていのそういうIT企業は忙しいし多くはブラックだし、22歳ならまだ間に合うから県職員に応募してその中でパソコンの仕事をしていくとこから始めたら。
高卒で県職員でも出世してる人はいっぱいいるよ」

なるほど、今なら間に合うかもしれない。

帰路について駐車場に車を入れるとタイミングよくそのオヤジが別の駐車場にいるのが見えた。

「今パソコンの店をやってる友人に聞いてきたんだけど、まだ若いから県職に応募してその中でパソコンの業務について、なんなら補助金とかもらって勉強させてもらったらどうかと言ってたわ」

オヤジ「県職かぁ、勉強するかなぁ」
(させろや)「職業訓練校でおばちゃんたちに教えてたから飲み込みは早いよ」
オヤジ「8時5時の仕事したくないらしいわ。ゲーム好きだし夜中にする分にはいいけど。この土地から出たくないと言ってる」
(ピキッ!)「はっはっはっ、そんな会社この辺にはないわ。それならゲームの会社に勤めるかオンラインで勉強するしかないんじゃない?学校入るならアパート代とか必要だしそれがなくなるだけでも安く上がるし」
オヤジ「美帆さんが教えてくれないかなって言ってるけど」

はぁ!?
つまりアレか?
道楽息子が自分で勉強しないから私の大切な時間を使っておまえの息子の道楽の手助けをしろと?

先日もらったイカの値段が高すぎるでしょうが。

(ことわる!)「ムリムリ。私プログラマじゃないから。デザイナーだし朝7時まで仕事してるけどそんなに楽じゃないよ」
オヤジ「息子が何をしたいかだねえ」(今頃かい!)
「ひとまずUdemyとかテックアカデミーとかそのあたり検索して受講してみたら」
オヤジ「息子から連絡させるわ」

知らん!

もう一生連絡してくるな。

問題なのはニートのせがれよりゆるすぎるオヤジの方だ。

就職させたいのか遊ばせたいのかどっちかに決めれ。

イカやら魚ばっかり釣って息子を放置してハゲ散らかしているからこんなことになっているのに他人任せってどういう事や。

近所だから私に頼めばいいと思う、つまりそのほうが安く上がる。私をそれくらいなものだと安く見積もっているのだろう。

そもそも本人がここ数ヶ月、渡した本で勉強してるかどうか知らないが、自分から行動を起こしていないのに他人が口を挟んでモノになるわけがない。

『あれからここまでやってみたけどどうでしょうか』と言ってきたら、とりあえずもう少し骨を折ってやってもいいかなと期待していたのだがとんでもなかった。

世の中の役に立って自分で稼いでいこうという人は、オヤジにそういうことは言わせない。私だって全然ひまじゃない。
何が悲しくてこの忙しいのに堕落した人生を送る手伝いをせにゃならんのよ。自分の時間をだだ漏れに使っている人は他人の時間も大事にできない。

人がなぜ生まれてくるか。それは魂を進化させて世の多くの人を助けて徳を積んで幸せになるために他ならない。あなたの進化は世の人を助ける徳積みなのだから。

あなたが行うすべてのことが、誰かを助けることに繋がる。仕事とはそういうものだし会社に所属していれば売上に貢献するだけでそれが成り立つ。

そのために必要なのは、顧客や会社や周囲の人に対する愛情がメインになる。相手を思い会社を思い同僚を思い、自分の家族の幸せを思って働くときに神様や守護霊様ご先祖の皆様が加勢して一厘の後押しをしてくれて商談がうまくいき成果が現れる。

自分がただ遊んでいるだけではそれらは成り立たないのだ。

自分スイッチを入れられるのは自分だけなのだから。

いや、ゲームをすること自体否定してはいない。
私も母も仕事の合間にかなりゲームのお世話にはなってる。
思ったように仕事して、残った時間で遊べばよい。

私だって昔はおとなしくって外へ出て仕事するのが苦手、8時5時が苦手だったから気持はよく分かる。喘息持ちで夜どおし発作を我慢して朝医院に行ってボスミンを注射する。そして学校に行く。
そんなわけで学生の頃から夜型だったから朝は辛い。だから30年かけて夜型の仕事にシフトしてきた。いや、正味15年位だけど。

彼と同い年の頃までは愛知県でテレビの製造ラインに就いていた。
病気で休みがちだから部品課に飛ばされ座って検査ができるようになった。

そのうち、仕事に時間を使っただけで何も技術が残らないのに不安になって地元金沢まで戻ってきた。やっぱり絵に関する仕事がしたいと思った。
加賀友禅の絵付けをやってみたけど給料が月8万円と安すぎる。借金が増えてそれはそれは大変な生活の始まりだった。
そこでデザイン事務所に飛び込んだ。

23歳のときだったから、社長には「来るのが遅かったね」と言われたけど、今まで続けてきて客単価年間150万円以上売り上げるようになった。

その間色んな仕事をした。昼仕事したくなくて夜活動したかったから遠回りもいいとこだ。実際息子のことは笑えない。
東海地方で雑誌の広告を作る仕事もしたし、機械のメンテナンス営業の仕事もした。その中でパソコンスクール講師にもなった。

そんな中で、電話が苦手とか人と話すのが苦手というのは無理やり克服していくことになる。機械メンテナンスでは嫌いな蜘蛛を退治する必要があり、今では蜘蛛が現れてもお水を飲ませて接待できるほど平気になった。
よく見ると案外可愛いのだ。ここまで思えるようになるまで数年かかったけどね。

YahooBBの接続設定の営業メンテナンスを引き受けて、住んでいる地域全体の家庭をまわって設定した。昔のパソコンって再起動にめっちゃ時間がかかるし、山間部ではADSL回線なんかは全くつながらないので大変だったから、いまのネット環境の速さと安さには頭が上がらない。

そうやっていろんな仕事をしているうちに、職業訓練校のIT講師に招かれた。ホームページは最初は独学だったけど、お客様が我慢してくださったおかげでその間勉強して、優秀なブレーンに恵まれて制作を依頼し、勉強しながらガンガン仕事を取ることができている。

そうしているうちに入ったアフィリエイト塾で、先輩からアフィリエイト塾講師に招かれ2019年まで8年間それを務めた。

そんな諸々があって今、自分ひとりでオンラインで収益を上げる方法が培われていて日本中にビジネス仲間もいっぱいいる。

仕事をする、ってことは必ず相手がいる。発注して支払ってくれる人にどれだけ誠意を持ってお互いすり合わせられるかが長続きするクライアント様や雇ってくれる会社との関係確保につながる。一人じゃできないこともあるからブレーンも必要。中には搾取しようとする人ももちろんいる。
それらも含めてみんな魂を磨いて世の人を幸せにする糧なのだ。

一気に好きな仕事につくのではなくちょっとずつシフトしていく。
それが好きな仕事をするということ。

今の仕事をしながら好きな仕事の量を増やして、やりたくない仕事を少しずつ減らしていけばいい。

そしたら知らない間にいろんなスキルが身について、誰も真似できない仕事ができるようになる。点と点が線になってずっと太くなっていく。

彼にもそうして好きな仕事をしていってほしいと思う。




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