VOICARION ⅩⅨ スプーンの盾
2025年最初の朗読劇鑑賞でした。
スプーンの盾は何回も公演されていますが、実は観劇するのは初めて。
キャストが発表された時からこの座組だけは見たい!と思い、選択希望順エントリーで第一希望しかエントリーせず、懸けてました!
そして、当選!嬉しかったぁ…当日は完売御礼でした。
と、いうわけで、1/11(土)夜公演をシアタークリエにて観劇してきました。
個人のぬるっとした感想ですので、温かい目でご覧ください。
以下、キャスト陣(敬称略)ごとの感想になります。
アントナン・カレーム(安元洋貴)
おそらく、史上最も肩幅の広いカレームだったのではないでしょうか(笑)
安元さんと言えば、低音ボイスで大人の男性やガチムチ系の役、または裏ボス的なが多いですが、この若き天才料理人・カレームをどのように演じるのか…とっても楽しみでした。
1幕冒頭の大慌てカレームの演技で、安元さんってこういう感じも合うね…(上からw)と思いました。さすが、声優さん。なんにでもなれる。
実際、お料理好きとしても知られる安元さん。うんちく語るあたりも実直でお料理バカな一面が出ていて、とても素敵でした。
終演後の挨拶で”安元さん100%でお届け”とご本人が言っていましたが、割と料理番組とかで見せる素?の安元さんに近い感じがしました。
ハーブ類にテンションアゲ↑なカレームも素敵だったし、ナポレオンと語り合う場面も素敵でした。カレームの幼少期は泣かせにくるよね…(実際、周りからすすり泣きがたくさん聞こえました)
硬いパン同盟からのバゲット(フランスパン)爆誕の流れは脚本の妙だなぁと思いました。
マリーとの寝てない天丼とか、僕は殺されるんですかぁ?とか、めちゃくちゃ面白かった。ああいうのは文字で書いてある台本だけだとそれほど面白くないと思うんですが、役者さんたちが声と演技で表現することによって、面白さが出てくるなぁと思いました。
あと、衣装も可愛くて素敵でした(最後に公式のお写真貼ります)
カレームの「人はお腹が空いているから争いを起こす」ってセリフを心に留めて、お腹いっぱい食べられることの幸せと、喜びを噛みしめたいと思いました。
ナポレオン・ボナパルト(諏訪部順一)
立ち姿が美しいのなんのって!諏訪部さん、本当に見た目から役をいつも体現しているのが分かります。
孤高で唯一無二の自信家、だけどどこか悲哀も持ち合わせていて、皇帝になってからの「世間のナポレオン像」と実際の自分の乖離に苦しむ様子など、繊細な感情の動きを声で十二分に表現されていたと思います。声質(音域)的には、跡部様に近いのかなって感じがしました。最初は食に全く興味がなかったのに、カレームとの出会いで変わっていく。
若いころのツンデレナポレオン美味しすぎましたね(笑)特にタレーランとのやりとりは最高でした。
ナポレオンは肖像画を美化しすぎwって言われてましたね。まぁ写真が登場するまでの肖像画は権威を示すためであって、似ているかどうかは別の話ですが…。
2幕で、島流しにされたナポレオンと様子を見に来たマリーの会話もすごくよかったです。あの時、カレームが作ってくれたスープ。
どこから間違ったのか、最初から間違っていたのか…今となっては分からない気持ちに思いを馳せる。ナポレオンの声も全然違いました。
めちゃくちゃナポレオンに興味が湧いて、思わず、帰りの電車でナポレオンについて調べちゃいました。コルシカ島も調べました。海がきれい…
諏訪部さんは、マリー以外の全役コンプリート!あとはマリーだけ…?
全員女性が演じる回もあるので、全員男性の回があっても不思議ではないですが…(今後に期待)
マリー・グージュ(高垣彩陽)
本当は、日髙のり子さんが演じる回だったのですが、体調不良とのことで、同日昼の部でもマリーを演じていた高垣さんが続投。
マリーは盲目ですが、視覚以外の感覚が発達していて、カレームの弟子であり相棒です。
また、物語中の号泣ポイント・カレームの幼少期の回想シーンでの、カレームの幼少期も高垣さんが演じていました。
マリーは時に母のように姉のように、他3人の男性陣の悩みを聞いたり、アドバイスしたりで、物語に欠かせない存在でした。神はマリーから視覚を奪ったけど、他にたくさんのものを与えてくれたんだなぁという気持ちになりました。
ナポレオンと島で話しているときに過去、カレームが言っていた「宝物探し」の話をするときとか、ほんと泣けました。たぶん、マリーはカレーム以上に「なんでこうなっちゃったんだろう…」と思っていたと思うんですよね。
カレームやナポレオンとの漫才のようなやり取りと真剣に気持ちを語るシーンとのギャップの演技がすごかったです。
安元さん、諏訪部さん、明夫さん、みんな振動幅(響き)が大きい声の方なので、その中に割って入るのは、かなりの声量が必要だったと思いますが、声の大きさだけではなく、説得力のある物言いがマリーとして心に残ったなぁと思いました。
モーリス・ド・タレーラン(大塚明夫)
終演後の挨拶で自ら告白してくださったのですが、なんと初!タレーラン。
「もう、冷や汗かきながらやってましたよ…」と言ってましたが、すごかったです。
タレーランはまくしたてるように話したり、演説したり、おそらく言葉数が一番多いんじゃないかなぁと感じていました。
諏訪部さんのナポレオンともかなり相性よく、駄々っ子のような若きナポレオンを諫めたりする様は微笑ましくなったり、優しいかと思えば厳しくなったり、振れ幅がすごかったです。
特に明夫さんは声の抑揚がすごくて、圧もすごいし、声が飛んでくる…!って感じがしました。
ナポレオンに進軍を辞めるよう説得した時もナポレオンにブチ切れられてしまったけど、熱い気持ちのぶつかり合いみたいなものが声を通して伝わってきました。カロリー消費の激しい役だな、とも思いました。
藤沢文翁朗読脚本は英雄とそれを支える相棒(チーム)たちって感じが多いのですが、”俺たちなら最強!”から(だいたい1幕の終わり)の様々なすれ違いにより分裂、とかがマジで一番悲しいんだけど、その落差を明夫さんが十分表現してくださったと感じています。
最後、フランスの分断を避けるためにカレームと協力して最後の料理外交に励むシーンのタレーランの覚悟みたいなものは本当にすごかったと思いました。「フランスを…裏切ったことはない…!」
相変わらず、音楽も特殊効果もすごくて、劇中、戦闘シーンでピストルが何回か鳴る演出があるんですが、私は毎度のことながらビビり散らしてました。いや、ほんとにリアルなんですよ…
最後にみなさんのSNSなど。
諏訪部さんはこの公演回でナポレオン納めだったので、役作りの裏話などポストされてました。
安元さんカレームの衣装、ほんとこの1回のためだけに作られたのすごいです…!(個人的にズボンとタイツとショートブーツのバランス、コック帽がツボでした)
諏訪部さんの役作りのお話。
是非、つながってるツイートもご覧になってください。
余談…
シアタークリエは夜公演で、オケの練習の後、楽器を背負ったまま行ったのですが、入り口を入るなり、スタッフさんがすぐ来てくれて(別に呼んではいない)「お荷物お預かりしましょうか」と声をかけてくださって助かりました。
荷物を預かってくれることは知っていたのですが、受付どこだろ…と思っていたので。
さらに「どのように置いたらよいですか」と確認してくださって、素晴らしい心遣いだと思いました。壁際にこの向きで置いてください、とお伝えできました。おそらく公演で音楽隊の方もいるからでしょうが、楽器や荷物に対するホスピタリティが素晴らしくありがたかったです。
では、ここまでお読みいただきありがとうございました。
また、どこかの感想で。