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音楽朗読劇READING HIGH「Chèvre Note」イオンシネマ上映会

すっかり藤沢朗読劇大好きになった私、過去作の上映会があると聞きつけて、早速チケットを取って、見にいってきました。
今年の1月に上演された「Chèvre Note」ジャンヌダルクを題材にした物語。キャスト陣もとても素敵だし、なんといってもジルドレが主人公でしょ!?いやー、これキタ!!!って感じ。

さて、私思いました。
なんでタイトルは「Chèvre Note」なんだろうって。
Chèvre は山羊。ロゴにもある通り、悪魔崇拝、黒魔術の象徴として山羊は作中にも出てくるんですけど、いろんな面から考えて、“生贄になった記憶”って意味なのかなと思いました。作中に印象的に使われる“忘れがたき記憶”とも重なってきます。

簡単にあらすじ。
今、まさにジルドレはシャルル7世とリッシュモン大元帥によって異端審問裁判にかけられようとしていた。ジャンヌダルクを失ってから抜け殻のようになってしまったジルドレはなんの反応も示さない。しかし、唯一無二の親友、アランソンと部下、ライルがジルドレの無実を晴らそうと会場に駆けつける。
しかし、ジルドレは本当に悪魔と契約していて…
本編は1部と2部に分かれていて、1部はいかにしてジャンヌを失ったかを回想する過去パートが主。2部は魂を肉体に戻され、悪魔と契約したジルドレがジャンヌ復活を目指し、フランス軍およびシャルル7世とリッシュモン大元帥との対立パート。

私が藤沢朗読劇が好きになった理由に劇伴音楽の生演奏が挙げられます。
今回は音楽朗読劇なので、管楽器もそろってかなりの大編成。そして、演出も素敵でした。星空や夕日、満月、効果的なライティング、シルエットの演出、衣装、なにをとっても素晴らしいの一言。まるで本当に物語を役者自身が生きていると感じることができました。本当に感動したし、2,5時間が本当にあっという間に感じました。上映会ではカットされてましたけど、カーテンコールと休憩を含めたら、3時間近く公演はあったのだろうと思いますが、まったく感じさせませんでした。特に後半のどんでん返し(私は悪魔契約祭りやんけ…と思ってましたw)はもうスピード感がすごくて。最後まで駆け抜けたって感じでしたね。

以下、役者さん(敬称略)ごとに印象的だったことなど。

中村悠一(ジル・ド・レ)
ホント衝撃的でした。言葉が出てこない…

カ ッ コ 良 す ぎ た !

元々、ゆうきゃんの声帯はかなり好きなんですよ。
だけど、ジルドレの性格と相まって、本当に私の好みドンピシャでした(知らん)
ジルドレがジャンヌやアランソンたちとの“忘れがたき記憶”を語る時の声、初めて笑った時、怒り、苦しみ、後悔…あらゆる感情を表現してくれてました。ジャンヌになぜ、騎士になったのか聞かれた時に「騎士の格好がしてみたかったのだ!」と答えるところが可愛すぎて悶絶しました。あと、何気にすぐ酒を飲みたがるよねw 「酒をくれ!」
あと、表情が全然変わらないのに絶叫するところとか、声帯つおぃ…って思ってました。結構、絶叫してたと思うんですよね。あと、個人的には魔術を使う時の詠唱がめっちゃ好きです♡ 厨二心が疼きますよね!
ジャンヌが過去に言った言葉をジルドレが現在で言う場面があるんですが、それもめっちゃいいですよね。当時は、興味ないみたいな顔しておきながら、ちゃんと全部覚えてるっていうね。はぁぁぁぁ〜〜、好きです♡
ラストのジャンヌとアランソンとの記憶をもったままの再会も素敵でした。あの3人しか共有できない雰囲気、よかったです。

梶裕貴(アランソン公)
みんな大っ嫌い、リッシュモン大元帥を叔父に持つ、お坊っちゃまでありながら、ジルドレの唯一無二の親友で幼なじみ。立場と親友の狭間で懊悩…
梶くんの声は本当に真っ直ぐ心に届く、意志の強い、ハッキリした声だなっていつも思っていて。主人公キャラっぽいっていうか。最初は、ジルドレが悪魔と契約したことについて、意味が分からないし、大切な記憶を失ってまで、こんなことはやめろ!と言うばかりだったアランソンが、最後には理解を示してくれるっていう。しかも、最後、アランソンまで悪魔と契約した時はホントびっくりした。ジャンヌともう一度、話したい、会いたい、という観点においては、アランソンもジルドレと同じだったのかなと思いました。
アランソンの心の流れとしては、ジルドレが悪魔と契約しているはずがない→契約してた→叔父上にジルドレ討伐しろと言われ、困惑→説得→できない→俺の体も記憶も持ってけ!だから、結構幅があるんですよね。ジルドレに「お前、誰だ…?」と言われた時の衝撃がね、ホントよく伝わってきました。

沢城みゆき(ジャンヌ・ダルク)
なんといっても!演じ分けがすごい!!!これしか出てこないですよ。
素性のジャンヌと聖女モードのジャンヌ。さらに後半にはフランス軍にも気を許し始めたフランクな感じの演技も好きだったなぁ。かなり最初の方で、ジャンヌが食事しながら喋るってシーンがあったんだけど、本当にパンを食べながら喋ってるみたいな演技をしていて、すごっ!と思った記憶があります。
ジャンヌは後半、怪我をしていたり、怪我を隠して演説したり、痛いシーンがたくさんあったので、苦しい息遣いとか、さすがだなぁって思いました。
ラストの再会のシーンで「私、詐欺師だから嘘は分かっちゃうんだよね…」って言ってたのが、もう〜〜、ジャンヌ〜〜って感じで泣いた。あと、怪我を隠して馬上から演説したシーンでジルドレに「手を離さないでね」って言ったのが、うぉぉぉぉぉ〜〜って滾りました(何)「私の代わりにケツの穴に矢をブチこんできて!」も好きだったなぁ、それにジルドレがちゃんと答えてたのもよかった。

梅原裕一郎(ラ・イル)
梅ちゃんは顔面が綺麗すぎて…(定型句)
脇役と思いきや、ラストでなかなかの重責を背負われたライル。本名は別にあるんですが(忘れた)“ラ・イル”(癇癪持ち)というニックネームで呼ばれている。戦争孤児で気づいたらナイフを持って生活していたライルを拾ったのがリッシュモン大元帥。リッシュモン大元帥の命でジルドレの部下となり、次第にジルドレを“我が君”と呼ぶほどに心酔していく。彼もまた、アランソンと同じく、育ての親と軍人としての上司の狭間で懊悩…
まぁリッシュモン大元帥は己の益にならないことはしないので、最終的には、いずれライルにジルドレを殺させてたんじゃないかな、と思いますね。ライルは後半に印象的なセリフが多いんですが、特にグッときたのは「ラ・イルは殺すのだけは上手だから…」と言ってリッシュモン大元帥をぶっ殺すところですかね!飼い犬に手を噛まれるとはまさにこのこと!
ジャンヌを蘇らせる為に、逃亡を続けるジルドレに付き添うフリをして、リッシュモン大元帥の密偵として働いていたライル。「どうして我が君を裏切ってしまったのだろう」「私たちは全員咎人だ!」とか、印象に残ったセリフはたくさん。あと戦闘時やテンションが上がった時に昔の粗野な言動が出る、という設定でして、バーサーカーっぽいなと思いました。ラストシーンでは、実はライルが一番“忘れがたき記憶”をたくさん持っていることが分かったり「3人のお姿をこうして見ているのが、ラ・イルは一番好きなのです」とか…泣かせにくるんだよ、梅ちゃん。

津田健次郎(シャルル7世)
あんなに白タイツの王の格好が似合う人います?(いきなり)
かぼちゃパンツ(白)があんなにスタイリッシュに着こなす人がいたとは…!と思いましたよw
いやいやそうではなくて。津田さんも本当に素晴らしかった。良い意味でボンクラ・シャルル7世完璧でした!「余は退屈じゃ」と言わんばかりの演技とか「悪魔、初めて見たよ!」とか「僕はいつになったら戴冠できるの〜?」とリッシュモン大元帥に甘えてみたりとか…演技の幅が広すぎる!そして、最後に地獄の釜を開いちゃった時は、顔すらも!
史実では100年戦争の後、ちゃんと復興もしていたので、この薬は効いたのか?ってとこは定かじゃないですけども。リッシュモン大元帥とのやりとりは最高でした!

諏訪部順一(リッシュモン大元帥)
諏訪部さんなくして、この物語は始まらなかったし、終わらなかった。さすがの一言で言い表せないです。策士すぎる(日本語として正しいのか?)
シャルル7世の忠実な僕であり、軍の最高責任者であるリッシュモン大元帥が、ジルドレたちとの最後の戦いで、まさか自身も悪魔・ルシファーの契約者だったことが発覚するんですが、ここからの諏訪部さんがマジで凄すぎて!そこまでもかなりのセリフを喋ってたのに、今度は呪文まで詠唱し始めちゃって!諏訪部さんレベルなら「詠唱破棄」とかできそうなのに(笑)
今まで忠実な僕だと思わせていたシャルル7世に「お前もだよ」と牙を剥く演技が最高でしたね、ゾクゾクしました。しかし、リッシュモン大元帥には“忘れがたき記憶”が少なかった。ライルに「ラ・イルのことを今も覚えているということは、私のことは大切に思ってくださらなかったのですね…」(大意)と言われてましたが、リッシュモン大元帥は直近のことは全て覚えているので、シャルル7世やジルドレ、アランソン、なにもかも大事に思っていなかった。過去、捕虜になる前の若い頃の記憶だけを悪魔に渡していたのですね。最後の大技のところで魔術が使えなくなるという最悪アクシデント。ここに改めて悪魔たちが提示してきた“忘れがたき記憶”の威力を感じるわけです。まぁ、ジルドレは最後にジャンヌの立ち姿の記憶まで渡そうとしてるわけですからね…
地下通路から出るときに言われてましたね、「暗闇の中から光の中へ飛び出す時の方が、足元を掬われないか気をつけるべきだ」と。「私の脚本は完璧です!」とあれほど言っていたのにね、飼い犬に噛まれるしね…

大塚明夫(グラシャ=ラボラス)
ジルドレが召喚方法を間違えた(故意的に間違えさせられた)故に出会えた悪魔。明夫さんが演じると、どんな悪役でも、茶目っ気たっぷりなイケオジになっちゃうのなんでだろ〜
素晴らしかったです。主にゆうきゃんとのやりとりなんですけど、声量?圧?がすごくて、どんな時も負けない声がすごいなぁって。本編とはあまり関係ないかもだけど、1部の終わりで、ジャンヌ以外の男性陣が燃える十字架と共に奈落に落ちていく演出で、みんなそれぞれ自分の席から奈落のところまで歩いてくるんだけど、明夫さんが「どうぞ」みたいな感じで待ってたのが、めっちゃイイ!と思いました。そういう些細なとこ!
最後のライルとのやり取りで「日没まで、みなさんの記憶を保ったままで、ありがとうございました」とライルが言った時に「なぁに、サービスだよ」っていうようなのがあったと思うんですが、その言い方が最高でした。こういうの明夫さんクラスじゃないとできないよなぁって。
セリフ量も出番もそこまでではないんだけど、ここぞ!という時の圧がすごくて、存在感がありました。ちょうど、ゆうきゃんのスタンドみたいな位置だったしね(笑)

つらつらと書いて参りましたが、こんな感じでした。
やはり創作の面白さは、事実にほんの少しの虚構。今回は史実をベースにしているので、粗方の展開はこちらでも分かるし、じゃぁそれをどう色付けしていくかっていう部分で、悪魔だったり、魔術だったり、実はジャンヌは元詐欺師でフランス王国に“作られた”存在だったっていうことが加わるとこんなにワクワクする物語になるんだなぁって、思いました。
個人的な見解としては、ラストシーン、ジャンヌは蘇ったのではなく、ジルドレとアランソンにちゃんとした別れの時間を与えたって感じのような気がします。

READING HIGHも次回公演(来年)が決まっているみたいなので、またとっても楽しみだなと思いました。
ここまでお読みいただきありがとうございました〜