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「人の悪意も笑っていきたい」大石晟雄(作・演出)インタビュー

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高校の頃は演劇部に入っていて、同級生は私たち4人だけだった。
昔は朝ドラに出たかったけど、今は深夜ドラマの脚本を書いている。同期で旗揚げた劇団の公演はとても楽しいのに、たったひとりのストーカーのせいで大変な目にあった。仕事はある。結婚はやめた。全ての画面が気持ちに水を差してくる。普通と憂鬱の区別がつかなくなってくる。

楽屋は実は戦場だから、私は少しだけ落ち着く。
今夜、4人がまた集まる。
体は熱を帯びている。

「わたしは気づいたわ、っていうやつの顔が一番ブス」
劇団晴天、昨冬上演の短編を、大規模加筆修正で長編化!
女が生まれて生きるまで、一番強い気持ちの話。

作・演出を担当する大石晟雄さんに、創作時の心構えや『共演者』への意気込みを伺いました。

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ー初演時のお客さんの反応はいかがでしたか?

すごく好評だった…ような…気がします。笑える作品だと思って作ったんだけど、泣いてる人とかいて。不思議だなって思った。

ー再演するにあたって、『共演者』をどんな作品にしたいですか?

自分は行儀良く芝居作ろうとしたがってるところがあるなって思って。誰からも責められないように、誰からも文句言われないように創作しようとしてる。そういう無意識の部分が今回は良くない方向に進んでる気がして。
丸い芝居よりも強い芝居、尖った芝居にしたいなとは思ってます。どうせ丸い方向には向かうので。

ー今回の稽古場はどんな雰囲気ですか?

最高です。とにかく俳優が上手い。本当にすごいなーっていつも思う。みんなすごく頼りになります。こりゃ傑作を作んねえとって気持ちになる。
晴天はいつも初めましての人に何人か出てもらうんだけど、今回は一緒にやったことある人だけで、オールスターですね。

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(撮影:大河原恵)

ー創作の時にいつも意識してることはなんですか?

広い芝居が作りたいと思ってるんです。私は個人の感情とか関係性の芝居をよく作るんだけど、それで収束させちゃうんじゃなくて、もう一個広くしたい。六畳一間の話をやっても、その中で終わっちゃう話と、その後とか外とか、他の世界が見える話とあって、そっちの方が素敵だと思う。個人の話が世界の話にも見えるみたいなことをやりたい。大きな仕組みの根っこは小さな仕組みだから。

ー今回はこれまでの晴天作品と何か違うところがあるんですか?

人間の良い面も悪い面もちゃんと書かなきゃなって思った。
私、脚本で嫌な人あんまり出さない主義なんですよ。反・善人だけの芝居ってつまんないよね主義というか。でもそれってすごい一義的な見方じゃないですか。だから、これまでは人の善の面が結果的に悪になるって形で悪い人を出すようにしてたんです。意識的に誰かの足を引っ張る人とか、嫌味を言う人の姿とかはあんまり書かないようにしてた。あんまり好きじゃないし。

でも「嫌な人」って言う言葉が違うんじゃないかなって思って。そういうのも普通の範囲に入るってことにしないといけないなって思う。だって皆んな嫌なとこはあるじゃん。
嫌なこととか、ムカつく気持ちとか、そういう人の悪意も笑っていきたいって感じ。すごくドライな感じにして、色んなことを笑えるようにしたいなって。

ー稽古していて楽しいシーンはありますか?

性格の悪いシーン楽しいんですよねー。自分がリアルに言われるとすごい嫌な気持ちになるんだけど、芝居で見ると「なんでこんなに笑うんだろ」ってくらい笑っちゃう。「そんな性格悪いところで笑ってるとひかれるよ」って出演者の角田に言われた笑。喧嘩するシーンとかもすごい楽しいですね。自分の性格の悪さを自覚する。

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(撮影:大河原恵)

ー逆に、難しいことはなんですか?

女性を書くのが難しい。
初演の短編を書いたときに、「女性の話」って思ってたら全然書けなくて、「結局は人間の話だ!」って思って、なんとか書いたところもあって。「女性」ってくくること自体がナンセンスという意見もすごく分かるんだけど、やっぱり女性の気持ちがわからない部分は正直あって。
普段、芝居の中に女性を出すのって私にとってはあんまりハードルが高くないんだけど、「女子会」みたいなのを書くときって私の中ですごいハードルが上がるんだよね。
芝居に耐えうる生々しさは残しつつ、出したくないとこは出さないようにしつつ、「そういうやついるよね!」ってとこまで登場人物たちを持っていきつつ、あるあるネタじゃない感じっていうのは結構難しい。

私には女性への憧れと嫉妬?がたぶんあって。女の子に生まれたかったなぁって思うときが多々あったんですよ。それはもちろん私が女性(であることの大変さ)を知らないから、もしかしたらすごい失礼なことでもあるかもしれないけど。割と憧れなんだと思う。だから嫌なとこまで全部書くのがちょっと嫌なんだと思う。でも性格悪い人ってやっぱ舞台だと映えるよな…って思ってるので、頑張ります。
あ、たぶん、「それは憧れじゃなくて男の理想だよ」って言う意見もあるかもしれないですね…どうだろうね。

ー最後に、お客さんに一言お願いします。

おじいちゃんにもおばあちゃんにも受ける尖った芝居を、地道にちゃんとちゃんと作ってます。俳優のクオリティも高いし、面白いのでぜひ観に来てください。

(編集・構成:谷川清夏)

「共演者」
日時:2019年1/9(木)~1/15(金)
場所:小劇場 楽園

予約:https://ticket.corich.jp/apply/104093/

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