許すってなんだ!|セリフ紹介シリーズ③
こんにちは!稽古場助手の谷川です!
少し前から集中稽古に入っておりまして、毎日ぐんぐん作品が面白くなっていってるのを感じています。戯曲のパンチラインもどんどん増えているので、できるだけこまめにブログ更新して少しでも「共演者」の面白さを共有していきたいと思っております…!
皆さんご予約はお済みですか?
3回目となりましたセリフ紹介シリーズ、今回は再演で新たに加わったセリフをご紹介したいと思います!ばばん!
まなみ「かーくん!私の罪を許…せる…?!」(長編ver.)
前回はゲネプロ写真をのっけましたが、今回は再演ver.からとってきたセリフなので稽古場の写真をのっけました。
「共演者」の核となる、劇団主宰・まなみのセリフです。物語終盤の土壇場の土壇場で、まなみはようやく恋人のかーくんと向き合います。かつてかーくんを傷つけてしまったまなみは、かーくんに対して「私のことを許せる?」と問いかけます。
前回のブログで、作品のキーワードとして「嫉妬」について書きましたが、私は、女の戦いや笑いだけではなく「許す」にもちょっと注目して観てみるとおもしろいんじゃないかと思ってます。バッチバチに争い傷つけあったあと、登場人物たちはいったいどうするのかが再演では加わってる感じがするからです。
というわけで、今回は「許す」ってなんなんだ!とうにゃうにゃと考える記事を書いてみることにします。
許すって!なんなんでしょう!難しいですね!
たとえばAさんがBさんを傷つけてしまったときに、AさんがBさんに対して罪を償ったり責任をとったりといったことは本当の本当にはできないと私は思うんです。だって、Bさんが傷ついたという過去は、Aさんが何をどう頑張っても消すことはできません。
また、BさんはBさんで、Aさんに対する気持ちに折り合いをつけようとしたり、自分の傷を癒そうと色々試してみたりするでしょう。たぶんそれは中々難しいことだし、できたとしても、Bさんの傷が癒えたからといってAさんがBさんに許されたかというとそうでもないと思います。
Aさんが何をしてどういう気持ちになったら、Bさんが何をしてどういう気持ちになったら、AさんはBさんに許されたことになるんでしょう。
私は今のところ、「許す」は傷つけられた側からの一種の宣言であり、また、傷つけた側と傷ついた側の関係性の中で生まれる約束であると思っています。「許す」は具体的な行動ではなくて決心だと思うんです。
具体的に何をしたから・何かを達成したから許したことになるというわけではなくて、傷つけられた側が「もういい(ってことにする)よ」と宣言することが許すということなんじゃないでしょうか。なかったことにするとか、相手に対する憎しみや悲しみに折り合いをつけるとか、傷つけられたことを受け入れるとか、宣言したあとの行動は人それぞれになります。
で、許しのプロセスには、その宣言とセットで傷つけられた側と傷ついた側の、新しい関係性を探すことがあります。
私は、誰かと誰かの関係というものは、「私たちはこういうことを言い合う」とか「お互いのためにこういうことをする」といった約束のことだと思っています。人と人との関係性は日々変わりゆくものですが、傷つきが生まれるとその時点で大きく関係性は変化してしいます。
「消化しきれない気持ちとかあるかもしれませんけど、私たちこういう形で関わっていきませんか」と、新しく約束し直すことで、「許す」は完了するんだと思います。
さてさて!私なりに「許す」について色々と書いてきましたが、『共演者』では一体どのように描かれるんでしょうか!まなみからないがしろにされた恋人のかーくんは一体どうするのか、やっちゃんのせいで演劇から離れざるを得なかったショウは一体どうするのか、台本を書けないまなみに対して周りの人たちは一体どうするのか!
ぜひ!劇場に足を運んでみてください!
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ではまた!年内最後の更新になる気がしています。皆さま良いお年をー!
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