平戸を走る 3
夕陽を追いかけるように生月島を抜ける。
平戸に宿泊するのは初めてのことだけど。
実はよく訪れていたホテルに入る。平戸海中ホテルという、ナニコレ世界百景で紹介されたことのあるホテルだ。
娘が幼い頃から、よくこの温泉に入っていた。
この写真はその当時のもので、電飾のなかで多くの魚群が悠々と泳ぐ姿が見えた。その光景を間近に見ながら、身体を洗うという異空間がある。
残念ながら今回は水槽が清掃されたものの、お魚の数がぐっと減っていたし、電飾もなくてLEDの味気ない照明になっていた。
いや。それって大浴場に対する不満じゃないよね、普通。
このホテル、料理の評価が高かった。
なのでちょっと夕食をグレードアップして愉しんだ。
お刺身も美味しかったが、平戸鮑の踊焼きと平戸牛の陶板焼きは絶品でした!こんな素材のみの旨味で勝負できるほど、新鮮な食材に恵まれている。
そうなんよ。
長崎の食材の旨さは格別と思う。
しかし、なんだわ。
世の中、ままならないもんで。
夜半に寝苦しくて何度か目が覚める。
体調がおかしい。ベッドから立ち上がると激しい眩暈に襲われる。部屋が渦巻きのなかにいるようだ。
ああ。
これ。
以前にストレスで睡眠障害の頃にあったメニエルというやつか。
三半規管が過敏に反応して、視界が酩酊した時のそれになっている。
ふらふらとトイレまでいって、せっかく頂いたご馳走を全て水に流してしまった・・・味わえたから、いいかと慰めるしかないね。
しかしながら。
バイクでここまで来ている。
まだ吐き気の残る身体を引っ張って、早朝から露天風呂に入る。
身体を温めて血流を循環させないと。
それでも朝食は喉を通りにくい。
きっと、美味しいんだろうけど。
何とか眩暈が治まってきたので、バイクに跨ってキックで始動した。