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さて送付した履歴書の結果がそろそろ出ます。 一次選考結果が今週からぽつぽつ郵送される…
祐華は自身で立てなくなった。 盛夏の時期で、世間はお盆期間中だった。 その朝、彼女の…
この傷を埋めるのに、僕では不足か。 口から零れ落ちた。その瞬間に顔が強張った。ただし…
路面に陽炎が湧きたつ陽気だった。 7月に入っても鈍色の梅雨空で陰鬱な気分であったが、そ…
桜が風に煽られている。 枝にしがみついている。 離れたくない。 ここに居たい。 可…
峠には寒風が吹いていた。 そこまで辿り着くにも、先輩の四輪を出してもらうあり様だった…
蛍の光が聞こえてくる。 談話室のテレビからだろう。誰もが注視していない画面に、無音の空疎さを避けるためだけの番組が垂れ流しになっている。 季節柄だろうか、卒業とか、旅立ちとか、午前中の番組から別離の唄がよく漏れてくる。漫然とそれを耳にしながら、ああ卒業式には間に合わないだろうなと考えていた。退院時期がその日を跨いで横たわっていたからだ。 病室の枕元に甘い芳香が満ちていた。 看護師がカーテンを引いてくれたので、さらに濃密に彼女の匂いがする。 「ねえ、起きているの?」
水滴が落ちるのをじっと見ている。 漆黒の芳醇な香りの源を見ている。 雨の火曜日の午後…
梅の花が綻び始めた。 畳まれた白い花弁が、その秘密を明かすように緩くなりつつある。 …
狼を名乗るバイクがあった。 その希少なモデルが入荷したらしい。 排気量は200ccという…
季節外れの暖かい陽光が窓に映えた。 ランチタイムの鉄火場を終えて、一息つける時間帯に…
冬になり風は冷たくなった。 僕の家から高校までは自転車で通っていた。バイト先のGSを横…
冬枯れの季節になった。 僕の住まいから店までは峠を越える必要がある。 小排気量ながら…